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白猫夜話

フィギュアスケートっていいな

記憶の螺旋~四大陸のcrisis~

2012-03-01 15:10:58 | 2011-12 四大陸

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アンドリュー・ワイエスという画家の存在をはじめて知ったのはいつだったろうか。

埃っぽい美術教室の画集の中にみつけたのかもしれない。デッサン用の木炭、パンのかけら、イーゼル・・・。窓から入る午後の日差しに小さな埃の粒子が舞い、とろんとした眠たさが漂っていた。こういうのは、そうだな、脳の記憶というよりも、感覚の記憶に近い気がする。

「Wind from the Sea」・・・「海からの風」と題されたその絵には、海はほとんど描かれていない。窓辺を揺らすレースのカーテンと、広がる景色、轍のような細い2本の道、その先に少しだけ顔をのぞかせている水面の鈍い輝き・・・。これが海かな、そうかもしれないし、これは川か湖で、本当は海なんてはるか遠くにあるのかもしれない・・・などと、ぼーっと思いめぐらしながら長い時間その絵を見つめていた。

ふたたびこの不思議な感覚を味わうのは、大学入学とともに初めての一人暮らしを経験して、すぐ。隣に住む先輩の部屋に招かれたとき、壁に大きく飾られていたのが、同じワイエスの「クリスティーナの世界」だった。丘の中腹、腰をねじるように背を向けて丘上を仰ぎ見る一人の女性。その先には2軒の家。彼女の表情は見えず、説明もない。じっと見つめていると、音がないのに音が聞こえるような気がした。それは時によって、風が揺らす草のざわめきだったり、女性の放つ小さな叫びであったりした。 

4回生だった先輩は、部屋を出るときにその絵をわたしにくれた。それがいまでも我が家の壁にある。

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高橋大輔、四大陸エキシビションの 『 The Crisis 』 。

不思議なことに、わたしはあの時の浮遊感のような感覚を思い出した。今季、生観戦も含め何度も見ているcrisis。いままでに比べてより切ない表情で迫ってくるわけでもなく、キレキレというわけでもない。

それなのに、なんなんだろう・・・この感覚は。

背中を見せる彼の表情が見えるような気がする。次の瞬間、大写しになる表情。けれど、どアップなのに何故か見るべき焦点が定まらない。画面いっぱいにひろがる彼の眼差しの向こう側、その先を見ているような気さえする・・・。今見ているもの以上の空間を見つめているような気がしてくるのだ。

過去、ほとんど青一色だった照明に、今回は赤が混じり、重なり合い、紫になったり、ピンクになったりする。いつもなら気になるはずなのに、気にならない。赤が一瞬かすめても、紫にとりまかれても、彼の紡ぎ出す世界に触れることはできない。

この演技をどう感じているのか・・・自分でもよくわからない(好き嫌いではなく、どう好きなのかという点だが・・・)。でも、何年先でも、何十年先でも、この日の不思議な浮遊感とともにわたしはきっと思い出す。

四大陸のcrisisは、わたしの記憶の螺旋の中に、感覚として巻き込まれて、落ちていった・・・。

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無良崇人の四大陸

2012-02-27 05:27:14 | 2011-12 四大陸

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FSのピアソラ、最後のポーズ。

跪き両手を差し出す・・・切ないメロディーが消えたとき、彼の掌から、主要国際大会初のメダルという夢も儚く消えていった。一瞬目をふせたあと、悔しそうに中空を見つめ、立ち上がって一歩二歩・・・無良は両手で顔を覆った。

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無良崇人が一躍脚光を浴びたのは、もう随分前のことだ。

ノービスを連覇し、JGPFにも出場、その後全日本ジュニアを制し、シニア参戦。いきなりフィンランディア杯で優勝、初GPSを経験し、全日本選手権では初表彰台、そして世界選手権にも出場した。まさに順風満帆だった。

ところが、その後、怪我もあって思うような結果を出せず、昨季は引退も考えたという。環境を変え一からの出直しを決意した無良は、気が付けば21歳になっていた。もう若手ではない。日本男子の厳しい状況の中では、GPSの枠にも入れず世界選手権も一度だけという彼のキャリアは決して華々しいとは言えないかもしれない。

無良のスケートが変わったと感じたのは、あれは、今季初めのフィンランディアの動画を見た時だったろうか。思わず「え?」と何度も見直してしまった。豪快なジャンプはあるものの全体に荒っぽいという、彼に抱いていた印象が吹っ飛んだ。魅力的なジャンプはそのままに、演技に溶け込み、叙情性が見え始めているように思えた。今季の無良は期待できる!なんだかわくわくした。

けれど・・・悲しいことに、彼は今季GPSに出ることはできなかった、一度も。

そして勝負の全日本。

どうしても結果を出したかったのだと思う。それが彼のSPからゆとりや伸びやかさを奪ったのかもしれない。狙った4Tは2Tになり、3Lzでは転倒・・・なんと12位に沈んだ。それでも翌日のFSで見事な4回転を決めた無良は、FS4位・総合5位で全日本を終えた。

5位・・・世界選手権はもちろんのこと、四大陸選手権の派遣ですら微妙な順位だった。けれど、彼の努力と、そしてなによりもその進化を、日本スケート連盟は認めたのではなかろうか。無良の四大陸派遣を決めた。英断であったと、わたしは思う。

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空気の薄いコロラド・スプリングス。無良崇人は、自身最高のSPを滑りきる。

全選手中唯一の4回転を決めてのSP2位、エース高橋の上に立った。「ちゃんとやればここまで点数出してもらえるんだ」演技後のことばは弾んでいた。

しかし・・・FSでは思ったような演技は出来なかった。メダルが見える位置、ビッグネームの集まる最終グループ・・・緊張と重圧、さまざまなものがのしかかった4分半だった。

4回転は不発に終わり、得意の3Aでステップアウト、焦りが演技を狂わせる。ミスがミスを呼び、伸ばした指先から放たれる気迫も揺らいで見えた。それでも、昨季までとは違う無良崇人が、確かに、そこに、いた。

FS6位・総合5位。悔しさの残る結果だったろう。演技後の彼の背中が、表情が、言葉にならない思いを語っていた。・・・けれど、それでも、来季につながる演技だったとわたしは思う。

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四大陸ジャッジ陣は、彼のFSに71.56点のPCSをつけた。世界選手権にも今季のGPSにも出ていない無良崇人に。

昨季NHK杯FSのPCSは、59.62点・・・その差はなんと11.94点だ。

この11.94点差こそ、無良崇人が重ねた努力と進化の、確かな証だ。

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四大陸選手権後発表された最新のISUシーズンランキング。無良崇人の名は、大躍進の11位にランクアップしていた・・・。

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四大陸っ! 動画まとめ(^.^) 増殖中!

2012-02-16 11:26:46 | 2011-12 四大陸

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既出も含め動画がいろいろ出てきてるので、まとめておくことにした。白猫的にはいつも大輔氏演技の海外実況は楽しみ。だって、実況席がファンだらけになっちゃうんだもん(^.^) 今回も「いただきましたっ!」って名セリフがいくつもある。価値観も利害も違ういろんな国の人たちが、いろんな国の言葉で感動を語ってくれる。得点や結果だけが全てじゃないことがいちばんわかる瞬間だな~って、いつもニマニマしちゃうんだ(^.^) もちろん、ソチでは両方手にして微笑む彼の姿と、涙の長光コーチを見たいけどね!

真央ちゃんの海外実況も見つけた。やっぱりこの2人には理屈抜きに惚れ込んでいる自分に改めて気付く白猫であった・・・へへへ(^。^;)

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【海外実況】

高橋大輔 SP UniversalSports ここだよ

                   FS   UniversalSportsここだよ  

                           CBCここだよ

                       EX  イタリア語解説ここだよ

浅田真央 SP   UniversalSportsここだよ

                   FS   UniversalSportsここだよ

                          CBCここだよ

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【スモールメダルセレモニー】

チャン高橋リッポンマイナーここだよ翻訳

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徒然に猫は語る~モヤっとの理由~

2012-02-15 21:26:38 | 2011-12 四大陸

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誤解されている方が多いみたいなので・・・(^。^;)

田村明子氏のコラムにモヤっとした理由をちゃんと書く事にします。

以下は白猫の考え方です。それが正しいと主張するつもりはなく、単に一個人の考え方というだけのことです。誰かを説得しようとか、批判するつもりも毛頭ありません。

それから・・・たくさんのコメントありがとうございます。ゆっくりお返事していきますね(^.^)

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まず、大前提として、

白猫は、自国選手アピールやロビー活動がない、などとはまったく思っていませんし、それが必ずしも悪だとは思っていません。

同時に、カナダだけがあざといとも、日本だけが清廉潔白だとも、思っていません。

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では、モヤっと理由を。理由は3つあります。

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① ひと握りの有力国・有力選手しか見ていないから

四大陸選手権に参加した国と地域がいくつあったか、ご存知でしょうか。男女シングル、ペア、アイスダンス・・・予選を通過して本選に臨んだのは17ヵ国です。このうち、毎年国際大会が開かれ、アイスショーが開催される国はいったいいくつあるのでしょう。国際ジャッジが複数いて大きな大会に派遣でき、また、自国アピールやロビー活動ができる国はいくつあるのでしょう。ジャッジを派遣することで、時には自国選手をフォローし(藤森氏が真央ちゃんの3Aについて言及したという記事・・・藤森氏自身の・・・を読んだ記憶があります)、競技後のミーティングで出たことがらを選手にフィードバックすることもできます(岡部氏は毎回やっていると語っていました)。そんなことがかなわない国や選手がいったいどれくらいいるのでしょう。もちろんフィードバックには大賛成です。それによって各選手は進化し、結果的にフィギュアスケートも進化していくからです。

けれど・・・この競技は、ひと握りの有力選手や有力国のためにあるのではない、と白猫は思っています。普段わたしたちが見るのはほんのひと握りの世界のトップ選手たちです。でもその後ろに、たくさんの名も無き選手たちがいる・・・その選手たち全員のためにルールはあり、競技はあるのだと思います。

たかだか数カ国の、実力があり、国のバックアップもある選手たちだけが戦うスポーツにしたいですか?

わたしは、嫌です。

たとえどんな国の選手であっても、スケート連盟なんかほとんど機能しない環境から出てきた選手であっても、素晴らしい演技をすればしっかり評価してもらえる・・・そうでなくていったい、世界のスケート人口は増えるのでしょうか?

わたしは泣きたいくらいに高橋大輔が大好きです。でも、彼が現役の間だけフィギュアスケートが盛んであればいいとは思っていません。50年先にも100年先にも盛んであってほしい。そして、生活のほとんどをスケートにかけたスケーターたちが、現役引退後も大好きなスケートを生業にできる環境になってほしい。フィギュアスケートの裾野がもっと広がり、たくさんの国のたくさんの人たちがスケーターを目指すことによって、それも可能になっていくと思います。

目に余るロビー活動は規制しましょう、なら、わかります。けれど、たかが数カ国しか可能ではないロビー活動を強化せよというのは、この競技全体を見た発言とは、わたしには思えないのです。

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② コラムの落としどころ

このコラムのタイトルは『なぜ高橋大輔はチャンに完敗なのか?ふたりの天才の結果を分けたもの。』です。

この「なぜ?」の答えが「カナダのようなあざとい自国選手押しがなかったから」と受け取られる可能性があります。TV中継でも、視聴者は、おそらく実況&解説のトーンに大きな影響を受けます。四大陸もJスポとフジTVでは、同じ演技から受ける印象がかなり違いました。特に女子に関してはまるで別の試合のように違ったのではないでしょうか・・・。それと同じく、この記事は、意図してかどうかわかりませんが、印象操作を含んだ書き方だと白猫は思います。

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③ ファンの反応を予想しながらこういった発信をすること

ネット環境にあってフィギュアスケートに興味があれば、陰謀論や八百長論がネットを席巻していることはすぐにわかります。つまり、こういった記事を公に出すことで起こることがらはある程度は予想できるでしょう。

実際、それみたことか、という論調のブログ記事が数多出現し、やっぱり陰謀はあったのだと帰結する記事もいくつもありました。そういうものを目にするたびに、わたしはバンクーバーの悔しさ、目の奥が白くなるほどの怒りを思い出すのです。

高橋大輔の銅メダル。忘れられない「道」の演技。

それを、国の仕分けが決まっている、と主張した人たちの多さ・・・。あの時、ジャッジはTESでは容赦なく減点した高橋に、PCSではいちばんの評価を与えました(TES9位、PCS1位)。それを仕分けだとか爆上げだとか批判する声もありました。けれど、あの感動的な演技とPCS評価の正しさを証明してくれたのはほかでもない、ライバル選手たちでした。「道」に感動したと語る選手、カメレンゴ氏に振付を依頼する選手・・・そのすべてが、高橋の演技の素晴らしさを改めて教えてくれたのです。

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氷上の選手の演技以上に優先されるべきものなどなにもない。

それを踏み外したとき、この競技は衰退していく。

白猫はそう思います。

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・・・ところで、あの全日本、高橋大輔のSPに100点が出たとしたら、ネット上には「素晴らしい、当然だ!」という賞賛の声があふれたのでしょうか? 今、ではなく、あの時です。みなさんはどう思われますか?

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四大陸っ! なんだかきな臭い

2012-02-14 23:46:56 | 2011-12 四大陸

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四大陸選手権が終了し、ネット上にはいろんな記事(公私)が出ているが・・・それらを見ていると、なんだかきな臭いなぁ・・・と感じる。こういうふうに思うのは私だけなのかな?

以下、白猫がきな臭いなぁと思っているいろいろ

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①チャンのSPのディダクションなし、FSの得点の高さは、おかしい

②浅田真央の3Aは不当にアンダーローテとされた。認定されれば彼女が優勝だった

③アシュリー・ワグナーの得点は高すぎる

④田村明子氏のコラム

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①男子SP。同じ4Tの失敗でも、回りきった+転倒ではないと判定されたP氏と、アンダーローテ+転倒と判定された大輔氏。P氏の4Tに関してはJスポ岡部解説でも「転倒になるかならないか微妙」と発言していた。白猫的には「え~、転倒なんじゃないのぉ?」というのが本音。だけど理性で割り切れる範囲。だって、どの選手にもありえる判定だもの。その分、ジャッジたちは大きくマイナスGOEをつけてるしね。ちなみにこの全ジャッジ-3の意味は、「転倒に等しい」もあれば「拙劣な着氷+ステップアウト」もあるだろう。

P氏FSの得点は・・・高いかなぁ?(まぁ構成がMAXじゃなかったけどね) 白猫はもっと出るかと思った。たとえばステップは大輔氏が№1、コリオは同点(この2人よりも高い得点の選手がいるんだけど、さぁ、誰でしょう?)、スピン総合得点は大輔氏の方が上とか・・・ある意味面白かった。両者ノーミスならPCSがどうなったか見たかったなぁ。それに・・・さ、このP氏FSのPCS(90.16)は、NHK杯の大輔氏(90.28)よりも低いんだよ?・・・まぁ、当然他の試合を比べても意味ないけどね(^^ゞ

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②わたしは真央ちゃんが大好きだ。それはもう理屈じゃない。まず最初に好きになっちゃったんだ(^。^;) だから真央ちゃんが基礎を見直して、3Aを入れられるようになってきたことがものすごく嬉しい。3Aを跳べたことを笑顔で語る真央ちゃんを見るのも嬉しくてたまらない。でもそのことと、演技や結果に関しての評価は別だ。Jスポを見ていたら、あの3Aの<にはそれほど違和感がないのではなかろうか。生放送で得点が出る前にそのことも言及してたから・・・ね(^。^;)。

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③アシュリーのプログラム、すごいな・・・と思ったら、振付のフィリップ・ミルズって、体操(高校チャンピオン)→バレエ(アメリカンバレエシアター奨学生を経てヨーロッパのバレエ団に所属)→振付師って略歴なんだね~。そりゃ、ブラックスワンが素晴らしいプログラムになるはずだ・・・(^。^;) 随所に盛り込まれてるバレエのような振付は彼が直接指導できるもんね。ちなみにこのプログラム、エレメンツ前後もGOEが取れるような振付が多い(^^)

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④いちばん、モヤモヤっとしたのはこの、田村明子氏の『なぜ高橋大輔はチャンに完敗なのか?ふたりの天才の結果を分けたもの』というコラムここだよ

これを読んだとき、ものすごく、すっきりしない胸につっかえるような感覚が残った。

この人はいったい何が言いたのだろう?

SPの4T転倒はチャンにもディダクションが与えられるべきだった(ふむふむ)→でも神がかりのFSでそんなことどうでもよくなった(ええ~っ?)→2008年の圧巻の高橋のFSを思い出し残酷さを感じた(どっ、どういう意味だいっ)→けれど高橋の音楽性はもっと評価されるべきだ(ふむふむ)→カナダのスケート連盟はいろんな手を使う、八百長じゃないけどね(微妙な言い回しだな)→カナダナショナルはその現れだ(高いといやぁ高いけどね)→全日本の高橋のSPには100点を出すべきだった(へ?)→五輪はそういった駆け引きが重要だ(過去のメダリストたちが怒るぞ

単に文を拾うとこうなる。

ちょっと待ってくれ、全日本の高橋大輔の演技が素晴らしくて、だからもっと得点を出せ、ならわかる。だが、カナダに対抗するために100点を出すべきだった??ではあの時4+3を成功しなかったらどうなったのだ?もしも大輔氏が失敗して失速し、羽生くんが4+3をきれいに決めていたら彼に100点を出すべきだったのか?・・・なぁんて思ってしまった。それに、なんつ~か、彼女の意図は不明だけど、「フィギュアスケートは駆け引きが全て」なんて取られかねない内容だ(コラムのタイトルが最終的に着地するところは駆け引きかい・・・(~_~;)

なぜ高橋は完敗したのか。

高橋大輔本人がちゃんと語っているよ。こんな内容ではなく、ね。