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好きなところはいっぱいあるのだけどね(^^) ちょっとマニアックな白猫ポイントをいくつか書いてみよう。
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【パトリック・チャン】 キーワードは「抜き」
今季のFSは白猫的には「すげぇ!」のツボがいっぱいあるプログラム。
そのなかのひとつがこれ→ここだよ(2:20あたり)。ステップの中盤、ジャッジから見て上手よりで深く沈み込み→足元が氷上から浮くほど伸び上がり→先ほどよりも少し重心を上に残して沈み込み→浮き上がりながらターン。…このターンがすごい。この時上体は、「抜き」。昨季まではなかったなぁ…。
ひと蹴りの距離を長くゆったりと滑らせてスケーティングを見せつけ、随所に圧倒的なバランス感覚を強調する振付を入れ込む。演じるチャンは、昨季より数段進化した上半身の動きでプログラム難度にこたえる。
さらに今季は「抜き」も身につけたようだ。
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【高橋大輔】 キーワードは「時間差」
いや、申し訳ない。SPもFSも全部ツボなんだよなぁ(^^;)。
でも新たなツボポイントをひとつ。FSのサーキュラーステップ。ジャッジ席前で大きく体を伸ばしてターン(ツイズル)するシーン→ここだよ(2:30くらい)。なんでこんなにカッコよく感じるのかな~とスロー再生してみた。
ジャッジを左手で指差してから→左足と両手を振り上げてターン→ジャッジ席前ではちょうど左足は90度、両手もそれにそっている感じ→ここから足だけ(つまり下半身)先に回り→左足がジャッジ席前に来る頃は上半身はまだ180度遅れている→上半身がジャッジ席前に来るくらいから右腕がスナップを効かせて速く回り始め→1回転してジャッジ席前まできたら今度は左手が主導権を持って回転し(右手は肩から抜くように回し)→両手が水平になる位置で左足をつく。(…つ、疲れるっ。大輔氏の動きのチェックは時間がかかるから厄介なんだよなぁ…今回はポイントだけ書いたけど顔の角度、上体のひねり、肘、掌、指の表現まで書くと、この短いシーンでいったい何文字になるのやら-_-;)
高橋大輔のかっこよさの秘密のひとつは、「時間差」だなぁ。
日経の「フィギュアの世界」とても興味深い記事→ここだよ
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【ジェレミー・アボット】 キーワードは「呼吸」
今季のプログラムは…いや、今季のプログラムも両方好き。
SPはスタンダードナンバーながら、クラリネットの音が印象的なアレンジバージョン選曲が良い。少しペーソスのあるアボットにぴったりだ。3A後、パッと止まって曲調変化をみせたり、スピン中の腕の表現で音の厚みの変化を出すのも素晴らしい。
FSのツボは、ステップ中、ジャッジ前で飛び上がり、沈み込んだ姿勢で着氷するシーン。ハッとさせられる→ここだよ(2:28あたり)。ハッとするって、大事なことだ。それを狙った振付が2箇所ほどあるけど、もちろんそっちもステキ(^^)。…それにしても、このプログラムは振付師が魂を込めたものだなぁ。4分30秒、息をつめて見つめ、演技後、ホーッと深い吐息をもらしていることに気づく。
今季のアボットは、観るものの「呼吸」を操る。
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【ミハル・ブレジナ】 キーワードは「これから」
ぼーっと見ていて、ディープエッジだなぁ…と思った。ブレジナは基礎的な力をしっかりと持ったスケーターだ。
ただ、今季の彼は、ここまでのところ、どう評していいのか微妙だ。昨季から持ち越しのSPはともかく、FSはよくわからない…というのが正直なところ。ロシア杯でコリオを見ていて思ったのだが、これは、クールなかっこいいプログラムなのかな?。そうならば衣装はちょっと違うのかも?
「これから」4回転が確実に入っていき、プログラムが熟成すれば、新たな面白さが見えてくるんじゃないかと思う。
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【ハビエル・フェルナンデス】 キーワードは「素直」
SPFSとも、振付師(ウィルソン)とコーチ(オーサー)のタッグを感じるプログラム。特にFSは今しかできない構成なんだろうと思う(後半の失速を見越したつくり…え~と今のところは、だけどね…のような感じなんだよなぁ)。
SPのツボは、音楽表現をより豊かに見せる振付。冒頭のトウ使い、4Tへ向かう時の音合わせ(これはハビが合わせてるんじゃなくてハビのタイミングにあったところにジャンプ構成したんだと思う)等いっぱい。例えば、コンボの後も普通に着氷してるんだが、直後大きな動きが入る。高橋の3Aみたいに1フットのままターンなんかしてるわけではないけれど、一瞬、ジャンプと連動した動きに見える。その後すぐにジャッジ席前で難しいポジションで音に合わせてしっかりエッジに乗るので、SSが強調される。こういう振り付けにも今季のPCS大躍進の秘密があるんじゃなかろうか。
長くなるので、FSはひとつだけ。ものすごく単純なんだが、冒頭→ここだよ(0:31あたり)。ジャッジ席に背中を向けて立つ彼は少し左をむいている。音楽と同時に、ゆっくりと右肩から回転し、こちらを向くのだが、顔が向くのは最後。技術的に難しいわけじゃないけれど、こういう細かなところが全体の印象を変えていくのだ。「見せ方」というようなものだな。実はスケカナはこうではなかった。おそらく演技をチェックしてのオーサーの指導だと思う。そして最も大事なのは、ハビにはそれを受け入れ実施できる力がある、ということ。
すべてを「素直」に吸収できるのがフェルナンデスの大きな才能だと思う。
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【羽生結弦】 キーワードは「輝き」
今季魅了されっぱなしの羽生の演技。才能がキラッキラ光ってますなぁ。
SPの冒頭の手の動きも良いが、ツボは最初のスピン。スピンの途中で音楽が繊細なものに変化していくのだが…これと羽生の美しいドーナツスピンが素晴らしく合うのだ。羽生ならではの表現を知り尽くしてるコーチ振付だからこそ、だね。
FSも振付の工夫と、羽生の実施が素晴らしい。イーグルからジャッジ席前でポーズしそのままエッジに乗って跳ぶ3A、ターンから入る3Fなど、GOEがとれる振付なのだ。体力温存の狙いもあってかはっきりとしたスローパートが入るのだが、腕一本差し出しただけで観客の視線を惹きつけ魅せてしまう。ツボはスローパートの中で跳ぶジャンプ。この憎ったらしいほど才能にあふれた少年は、難度の高い連続ジャンプで音楽表現までやってのける→ここだよ(2:34くらい)。
羽生は終盤、顎が前に出て姿勢が極端に悪くなり、力任せのスケーティングになりがちだ。しかしそれもまた、振付師は計算に入れている気がする。がむしゃらなロミオが前のめりであってもおかしくはない。
羽生のキーワードはその才能の「輝き」だ。
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さぁ、もうすぐ、GPFだっ!
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既にGPF会場に入って公式練習に参加していた浅田真央が、急遽GPFを欠場し、帰国の途についた。お母様の病状急変とのこと…。ことばが、ない。心から、回復を願わずにはいられない。
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