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白猫夜話

フィギュアスケートっていいな

全日本フィギュア雑感 女子編

2010-12-30 18:16:04 | 2010-11全日本

女子を観る上で興味があったのは以下のとおり

①浅田真央は結果を出せるのか

②安藤美姫はGPFで未完成に終わったSPを進歩させているだろうか

③村上佳菜子のスピードや空間表現はテレビ観戦と同等なのか

④鈴木明子のFSは完成するのか

⑤今井遥は村上と同格なのか

⑥庄司理紗はどんな選手なのか

⑦村主章枝の力は落ちているのか

⑧武田奈也や澤田亜紀といったかつてGPSにも派遣された選手の今は

これも男子雑感と同じく、後ろから感じたことを書いていこうと思う。

⑧澤田は22位(SP24位・FS20位)に終わり、武田はSP(20位)後棄権した。両者とも会場はあたたかく迎えたし、ミスがあれば拍手で励ました。けれど、彼女たちの滑りに以前感じた輝きを見つけることはできなかった。シニアの世界大会に出られることの喜びでキラキラしていた選手たちが、その後伸び悩み、そのまま消えていくことも多い…勝負の世界とはいえ、悲しいことだ。

⑦SPでは5位と存在感を示した村主だったが、FSでは9位…結局、新星庄司や西野の後塵を拝することとなった。もともと全日本には滅法強いだけにこの結果は悔しかったことだろう。30代になっても現役を貫く村主に、もう若手に道を譲れという人もいる。だがわたしはそうは思わない。譲られなければ上にあがれないようならば、世界でなんて戦えない。

⑥庄司理紗…彼女の演技、特にSPの演技は衝撃的だった。14歳という年齢とは裏腹に、幼さなど微塵もない。といって無理に背伸びした演技というわけではない。ナチュラルに空間の広い選手だ。もちろんまだ14歳、身体の変化はこれからおとずれるだろうし、それをどう乗り越えるかが課題となる。けれど、国内大会に出ただけで、複数の世界トップランク選手と戦えるという今の日本の環境が、彼女の成長を促すだろう。ソチの星は彼女かもしれない。

⑤結果を見ればSP17位、FS11位の総合12位。彼女にとっては苦い苦いクリスマスだったと思う。でも実際に見て思ったのは、テレビで感じていたよりも大きく見えること。全日本の苦戦や、同時期にシニアデビューした村上の活躍を見ることは、今は辛くても将来のプラスになるかもしれない。経験を表現力として出せる資質のあるスケーターだと感じられるからだ。来季の彼女に期待したい。

④思い通りの演技ができず涙した鈴木明子。彼女の涙を見るのは2度目だ。去年の全日本、オリンピック選考試合で、わたしは彼女の歓喜の涙を見た。そんな鈴木を見て、次の演技者だったにもかかわらずもらい泣きし立ち位置を間違えてあたたかい笑いをさそったのは、村上だった。人生は皮肉だ。もしも浅田が不調でなければNHK杯で村上があれほど注目を集めることはなかっただろうし、その後の快進撃もなかったかもしれない。注目を肥やしに出来る村上の性格がなければ、GPFで表彰台になど乗っていなかったかもしれない。「運」というものはあるのだと思う。その村上が鈴木の眼前であざやかに世界フィギュアへと駆け上がっていった。

鈴木のFS…高橋ほどではないにしろ、カメレンゴ振り付けは選手に多くのものを求める。それに応えるには今季の鈴木は不安定だった。オリンピックにも2010ワールドにもGPFにも出てそれなりの結果を出してきた鈴木だが、来年3月代々木のリンクに立つ夢は…叶わなかった。結果には納得せざるを得ないが…切ない。

③今季最もテレビで放送されたのは、彼女の演技であり、笑顔だったのではないだろうか。いろんな意味で風に乗ったという印象がある。

村上というと「スピード」「3×3」という印象が強い。わたしも楽しみにしていたんだが…正直な感想を言うと…あれ?スピードは確かにあるけど他の選手と格段の差ってほどじゃないんだ~。思ったほど空間は大きくないのかなぁ…という印象で、テレビ放送よりもインパクトが小さかった。ただしわたしはSPしか現地観戦していないので、ノーミスのFSだったらどう見えたかはわからない。

②安藤美姫!SPで一番感動したのは浅田だったが、一番驚いたのは安藤の美しさだった。もう少し荒いイメージがあったんだけど…すべてが美しかった。滑りも、表情も、音楽も、そして衣裳も(すごぉく素敵な衣裳!)。GPFで消化不良だったあのSPがこんなに美しくなるなんて。優雅な中にも、持ち前のバネのあるジャンプを危なげなく決め、SP・FSを通してただ一人、エラーマークもマイナス表示もないまったくクリーンなジャッジスコアを出して見せた。彼女とてもともとはフリップジャンプにエラーがあったはず。ここまで来るのにいったいどのくらい地道な反復練習を続けたのだろう。拍手と光の中でほほ笑む柔らかな表情を見ていて、何故かうるっときてしまった。

①やっぱり真央ちゃん、なんてったって、なにがなんでも真央ちゃん!と叫びたくなった。

冷静に見れば、ルッツのエッジは治っていないし、SPの3A判定などは甘いとも言える。けれど、そんなことではなくて…滑りだした途端、空気が変わるあの感じが、彼女の凄さを伝えている。ああ、格が、レベルが違うんだ…と、否応なく思わされた。キムヨナに対抗できるのはやはりこの人をおいて他にはいない。彼女が何位であっても、だ。今回の選出に異を唱える人もいるが、実際問題、勝てる可能性のあるのは浅田と安藤だと思う。この2人だけ別のレベルの大会みたいだったよ。


全日本フィギュア雑感 男子編

2010-12-29 18:14:59 | 2010-11全日本

観戦前に楽しみにしていたこと

①高橋大輔はSP、FSとも完成形を見せてくれるだろうか

②織田信成はこんどこそ、SP、FSを納得いく演技で滑りきれるだろうか

③小塚崇彦は本当にすごいのか

④羽生結弦はどのくらい進歩しているのか

⑤無良崇人はいつの間にか後退した4番手の位置を取り戻せるか

⑥村上大介、町田樹の演技は、トップ3に迫れるのか

⑦中庭健介、南里康晴は悔いのない戦いができるのか

以上のことに興味があった。

後ろから感じたことを書こうと思う。

⑦ミスはあった。けれど、観客はこの2人に惜しみない拍手を送った。もちろんそういった個人の事情と演技そのものには関係はない。ないが…それも含めて感動させられるのが人間の性である。男子フィギュアの放送なんてほとんどされない時代を滑り続けてきた彼らの最後の演技くらい、放送してほしかったな。

⑥正直のところ印象が薄かったな~。

⑤FSの滑走順が不利だった…高橋大輔の後だったんだもの。いろんな意味で人には「運」というものがあるのだな~と感じた日だった。スケートへの熱があって好きなんだけどなぁ…。

④ものすごい進歩!…といっても今季の彼をライブで見るのははじめてだから、テレビ観戦したNHKやロシアと比べて、ということになるが。意外だったのは、空間の大きさ。手足が長いことも影響しているのかもしれないが、想像していたよりもずっと大きな演技が出来るんだなと思った。FSのミスは残念だったが…なによりも、新採点方式時代のスケーターのはずなのにギラギラした野心が燃えているのが、いい!感動などともなわなくともエレメンツの完成度が高ければ得点は出る。が、それではおもしろくない(あくまでわたしは、だよ)。羽生はおもしろい!

③得点は、すごかった。スケーティングスキルに優れ、エレメンツの弱点がなければ、こういう得点になるんだと思う。スポーツだしね。個人的には…う~ん、なんというか、実際に見るまでは「好きでも嫌いでもないけど好きに近いかな」だったんだけど、「好きに近いかな」が取れちゃった感じ(笑)。もちろん熱演が全てじゃないし、フィギュアスケートは演劇じゃないから、こういうアプローチもありだと思う。むしろ現採点方式では鉄板に近い方法だ。感性にあまり左右されないからミスしてもすぐに立て直せる。だから、今回の結果は妥当だと思うし、大盤振る舞いの得点も許容範囲だと思う。感動は得点にはならないし、なくても得点は出る。

②う~、なんだってこういう時に勝ちきれないんだよっ!と言いたくなるが…まぁ、正直に言うと4回転を神技のごとく複数決めないと、小塚には勝てないかもねぇ。相変わらず目のさめるような着氷だし、スピンも良いと思う。個人的には織田と小塚の表現力ってどっこいどっこいだと思うんだが、あちらがいきなり高評価になっちゃったので、織田には不利だったかも。でも、SPで1回、FSで2回以上の4回転を決められるのは日本選手では織田だと思うので、滅茶苦茶技術に走ってもいいんじゃないのか?

①おそろしいもので、つい3週間前までは世界フィギュアの2連覇を彼が狙うのは当然だし、可能性も高いと誰もが思っていた。ところが、GPFの失速、全日本のぎりぎりやっとの表彰台…で、風が変わった。もはや日本のエースは小塚崇彦で、高橋大輔は注目の的からはずれようとしている。

今季高橋は限界に挑むようなプログラムを用意してきた。SPもFSも体調不良では滑り切れない難易度のものなのだろう。このことが、ここ3週間の彼に重くのしかかっていた。もっと簡単なプログラムであればなんとかなったのではないかとも思う。

期待していたSP、FSの完成形どころか、体調不良がもろにバレてしまう結果となった。それでも、FSであれほどの演技をしてしまうのが、高橋大輔の高橋大輔たるゆえんだし、彼の存在価値なのだろう(得点にはあんまり反映されないけどねぇ)。

体調が戻るのかどうかはわからない。彼は若くはないし、大怪我を乗り越えてきた選手だ。その影響もまだ残っている上で背負い込む羽目になったダメージは、冷静に考えれば、完全復調しないままの引退への引き金になる可能性もある。そういう不幸な選手はいままでにもたくさんいた。

これが「運」というものなのか…だとしたら、神様はずいぶんと残酷だと、表彰式で笑顔を振りまく3選手を見ながら思った。


世界チャンピオンへ

2010-12-26 18:46:26 | 2010-11全日本

ねぇ、チャンピオン。

やっぱり、君は、正真正銘のチャンピオンだったよ。

ホワイトクリスマスになった長野のビッグハットを、信じられないくらいの求心力でひとつにしてしまったのは、やっぱり、君だった。

プログラムの中盤からすべてのジャンプに悲鳴のような観客の想いがあふれた。君の一挙手一投足を息をつめて見守っていた…いや、見守っていたんじゃないね。不思議だけど、観客も一緒に戦っていたんだ。君はそういう気持ちを起こさせるスケーターだ。

ピアソラの最後の一音が消えた後、君は、小さくガッツポーズした。

悲鳴のような歓声、拍手、総立ちの客席…後から後から投げ入れられるプレゼントが、氷の上を滑って行く。中央に立つ君の元へ花束が、ぬいぐるみが、手紙が…流れ続けていく。あのすさまじい景色は、きっと忘れられない。

拍手はそのままなりやまず、ゆっくりとキス&クライに歩む君の背中へ向かう手拍子となり、高得点を促す速いものに変わって行く。演技後一度も消えない拍手なんて、フィギュア観戦ではじめての体験だったよ。

理性ではわかってるんだ。君のジャンプは回転不足があったし、スピンの取りこぼしもあったと思う。だからTESは伸びなかっただろうし、何度もすっ転んだ選手たちを超えることができなかったんだって。くやしいけどね。

でも、得点云々よりも、公式練習や6分間練習を見ていたわたしには、あのFSの滑り自体が信じられなかったよ。だってさ、本当にとんでもなく調子は悪かったよね。何も言わない君を見守るコーチ陣や解説者から君の怪我をにおわせる発言が出るほど、ね。

だけど、そんなこと君にとっては関係なかったのかもしれない。

あの氷の上で、君は、たしかに全てをかけて滑っていた。現採点で評価されなくても、魂を削るような君の演技が巻き起こした大きなうねりは、わたしたち観客をのみこんでいったよ。わたしは、それを現地で体感できたことを幸せに思う。テレビではあれほどの感動はきっと伝わらないよね、残念だけど。

オリンピック銅メダリストで世界チャンピオン。優勝候補筆頭の君が、まさかの、3位。しかも、ようやくの、3位だ。

でも、チャンピオン、素晴らしい演技だったよ。数字にはあらわれなくても、あそこにいた人たちはみんな感じていたと思うよ、君の演技がどれほどこころを揺さぶるものだったか。

君がいなくなってしまったら、きっと、もうこんなに観客のこころをひとつに出来るスケーターはあらわれないだろうね。スケートでこんなことができるなんて、本当にびっくりだ。

ねぇ、チャンピオン。

やっぱり、君が、チャンピオンだったよ。

こころの金メダルは、君にあげたいよ。


さぁ!全日本フィギュア!!

2010-12-23 16:53:52 | 2010-11全日本

世界一熾烈な国内選手権が、やってくる。

男子は、高橋・織田・小塚が三つ巴の戦いを繰り広げ、そこに羽生・無良・村上・町田などトップの座を虎視眈々と狙う若手たちが乱入してくる。

現時点の予想では、上位3人の強さは揺るがないと思うが…なにがあるかわからないのがスポーツの世界。

高橋も織田も、そして小塚も、「日本のいちばん」を取ることに意欲満々だ。…まぁ、織田、小塚にしたら、高橋を倒すってことは現世界王者を倒すってことだもんなぁ…そりゃ燃えるだろう。

それに、織田には4回転+3回転をSPから跳んでいける、とんでもない(シャレではない)ジャンプ能力がある。今季の彼がおもしろい戦いを繰り広げているのは「ジャンプを決めないとぼくは点数が出ない」とはっきりと割り切ったからじゃなかろうか。彼がもしもSP、FSともに4回転を揃えられたら、高橋・小塚の出来次第では頂点の可能性がある。

小塚は今季最も変わった選手の一人だ。その原動力となったのは、おそらく、「自信」。いまや彼は自分を3番手と位置付けていない。エリックの高得点は、世界を狙えるという自信につながっていると思う。自分が現採点方式で有利であること、今季のルール改訂が追い風になっていることも、自覚しているだろう。GPFはアクシデント後の心労もあったのか、思うような滑りができなかったと見えるが、それでもFSは2位となっている。スケーティングスキルと穴のなさ、スピンの巧みさが高得点を出す秘訣というのは周知の事実だ。小塚が下剋上を達成するのか興味深い。

そして、最も心配なのが高橋大輔(苦笑)。体調はともかく、4回転の安定感では3選手中最も劣るのではなかろうか。…ま~、といってもいきなり本番で決めちゃうこともあるのでこのお人はよくわからんが。ともかく昨季は武器だった安定感あるSPが、今季はミスだらけ。そこでトップに立てなくてFSでも不安定さを見せてしまうという戦いが続いている。ある意味この時期に完成するほど簡単なプログラムではないと言えるかもしれないが。GPFばりにジャンプをノーミスで決めてステップで盛り上がれば、たとえ織田が4回転をクリーンに降りても高橋を上回れるかどうか疑問だ(多分無理じゃないかと思う)。FSの4Fは…ま、できればアンダーローテくらいになってるといいな~と思うが、その他のジャンプの成否が鍵。体調が戻っているならば演技面のクオリティは揺らがないだろうし(ジャンプと違って博打要素は少ない)、その意味では優勝に最も近いのはやはり彼だと思う。…魅力的だしなぁ…いや、単に個人的な感想だが(苦笑)。

女子は…わかんないっ!(爆笑)

何がわかんないって、いちばんわからないのは、現世界女王だ。ジャンプさえある程度(完全じゃなくても)決まってくれば、彼女の優位はあきらかなのではないかと思うんだが…いや、だって、やっぱりスケーティングが違うな~と思うわけですよ…。スピンも問題なしだし、コリオスパイラルは女子中最高得点を取れるポテンシャルがあるし、スケール感も他選手とは格が違うとやはり思う。ただ、ジャンプが…どうなんだろう?そうそう簡単に矯正できるようなレベルのもんでもないと思うし…ね。できれば、少しだけズルくなって、後半の3Aを2Aに変えて難易度を落としてまとめ、ともかく世界フィギュアの切符を手に入れる…ってできないかなぁ?世界フィギュアまではたっぷり時間があるんだから、全日本後に完璧を追及していけばいい。なによりも浅田真央のいない世界フィギュアって…きっと面白さが半減しちまうと思うので。

安藤美姫。ファイナルのガッツポーズは男前だったぜ。SPの評価は全日本で決まるのかもしれない…あの衣裳はなんとなくやぼったかったような…あえて、なのかなぁ。彼女比で美しいスケートになってきたと思うけれど、ファイナルのコストナーやシズニーと対すると、やはり荒さが見える。むしろその荒さの中に、天才ジャンパー安藤の魅力がつまってる気がする…でも優雅さがあらわれにくいと得点が伸びないのかな、今は。でも日本国内ならば、浅田以外は優雅さを感じさせる選手はあまりいないので、勝つ可能性は最も高いと思う。

鈴木明子。この人の雰囲気や、演技に向かう姿勢、あふれでる情感など、大好きだが…今季は少しまとまった感じがする。世界のトップランクに入っていけそうな位置にいることが、逆にプレッシャーにもなるのかもしれない。でも、是非、世界フィギュアに行ってほしいと思う選手の一人だ。FSはもっともっと素敵な作品になりそうなので、時間をかけて熟成するのが見たい。

村上佳菜子。登場以来、あっという間に中心選手に躍り出た感じがする反面、ネット上での批判的なコメントも多い。浅田の不調(単なる不調ではなくちゃんと理由があるわけだが)が呼んだ過剰報道でもあり、同時に過剰批判でもあると感じている。でも、そういう相反する反応が出てくるのがすでにスターの証みたいなもの。どんどん成長しちゃってほしい。来季はロシアの恐ろしいジュニアが大挙してシニアに出てくるだろう。彼らと戦うためにも、世界フィギュアで滑ること、そして結果を出すことは、大きな意味がある。

てなわけで…あ~、女子は4枠ほしいよねぇ(無理だがぁぁ・笑)

とにかくっ、長野へ、行ってきます!