サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

気候変動適応を通じた地域ブランド開発への期待

2014年06月08日 | 気候変動適応

 地域における気候変動の適応策とは、地域に発生している、あるいは地域に発生する可能性がある気候災害に対して、地域の安全や安心を守ることである。この点では、地域活性のマイナスの状態をゼロに近づけることが適応策である。

 

 しかし、地域における適応策には、気候変動適応策を通じて、地域活性化を図ろうとする、巧みな取組みがある。ここでは、地域名を明かさず、その取組みの概要を紹介をする。

 

 その取組は、夏場に鶏が卵を産まなくなるために、抗酸化作用のある餌を与えるというものである。抗酸化作用のある餌としては、地域の特産品であるサンショウの実の種の部分を使う。この取組みのユニークかつ学ぶべき点は下記にある。

 

・餌料代が高騰する中、費用がかからない抗酸化作用のある餌である必要がある。サンショウは、実の殻の部分だけを使い、種の部分は廃棄物として処理される。これを使うことで、餌代の上乗せが回避できる。また、地域の特産品であるため、量の確保に困らない。

 

・サンショウの種の飼料への配合は、飼料メーカーが行う。養鶏農家は、その餌をあげるだけであり、新たな作業負担が発生しない。

 

・サンショウの種を食べた鶏が生んだ卵は、「サンショウ卵」としてブランド化し、夏場も元気な卵として、市場競争力を高める。

 

・地域ブランド化にあたっては、この技術試験を行う公設試験研究機関と地域の養鶏農家による協議会を設け、特に零細農家を中心に連携した取り組みを行う。

 

・もとより、大規模な養鶏農家は鶏舎の暑熱対策の投資が可能であるが、零細農家の適応策を地域ぐるみで行うことで、零細農家の経営支援にもつなげる。

 

 以上の取組は、まだ試験中であり、その試験の成功と今後の協議会の立ち上げが期待される段階である。しかし、この取組みは、気候変動適応策を単なるリスク対策とせず、適応策を通じて、養鶏の付加価値を創出し、また養鶏農家間の連携を促すという点で、非常に優れたものであり、いさみ足であるがあえて紹介をさせていただいた。

 

 適応策よりも先行する緩和策(二酸化炭素排出削減対策)についても、地域資源を活かしたり、地域主体の力を高めるような地域づくりとしての取組実が行われている。適応策もまた、地域活性化と一体的に進める、地域での創意工夫が期待される。

 

 

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