サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

地域における気候変動適応策の実装化のために

2011年12月03日 | 気候変動適応

気候変動適応策の実装化のために、法大大学地域研究センター及びS-8研究の地域総括・関東中部班では、次の仕事を行っている。

1.特定の地域において、気候変動の影響を分析し、適応策を検討するモデルスタディの支援

2.1の結果を踏まえて、地域における適応策の検討手順を汎用化したガイドラインの作成

3.1や2の結果も含め、適応策の検討に必要なデータやツール、事例等を共有するための情報プラットフォームの運営

4.情報プラットフォームや会合を通じて、関係者が交流する場としてのフォーラムの運営

上記のうち、情報プラットフォームとフォーラムは既に立ち上げており、段階的に拡充をはじめつつある。1のモデルスタディについては、現在、S-8研究の一環として長野県でスタディを開始しており、同県の地球温暖化防止計画の中に適応策をどのように盛り込むべきかをまさに検討しているところである。

この長野県に加えて、来年度は全国各地でのモデルスタディを実施すべく調整中である。それらの成果が出そろってくると、日本の地方自治体における適応策の具体像が示せることになり、適応策の普及が加速するものと考えられる。

地域における適応策の検討において、重要と考えられる点を以下に示す。

1.農業分野や防災分野では、猛暑や豪雨等に対応する形で適応策に相当する施策に既に着手している。これらの既存施策を再整理して、位置づけるとともに、不足していて追加すべき適応策を検討することが必要である。

2.追加すべき適応策は、S-8研究のアウトプットである将来予測情報をもとに、2050年やその先の影響を定量的に把握することで検討することができる。将来予測情報は、今のところ20kmメッシュの空間精度で、水災害、水質、水資源、農業、自然・森林、熱中症、感染症等の分野毎に提供される予定である。

3.また、追加すべき適応策は、気候変動の影響を顕在化させる脆弱性の改善として、土地利用や社会構造、社会関係資本(地域環境力)等も含めて根本的な部分で検討すべきものである。脆弱性は、影響の受けやすさ(感受性)と人の意識や制度的な備え(抵抗力)で構成される。

適応策検討のためのツールは今年度中には出揃う予定である。それを踏まえて、適応策という政策イノベーションがどのように普及するのか、その普及過程もまた、研究対象としていきたい。

注)S-8研究とは、環境省環境研究総合推進費「S-8温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究プロジェクト」を指す。

参考サイト:地域適応フォーラムのサイト http://www.adapt-forum.jp/index.html

 

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