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環境技術の実証事業

2015年07月04日 | 環境イノベーションとその普及

 エコベンチャーが商品への熱い想いを語るのだが、本当に環境によいのかどうか、わかない場合がある。環境負荷を本当に削減するのか、その有効性を示さないと、「環境にいいので使ってみればわかります」と主張しても、購買には結びつかない。

 

 そうした中、筆者が出会ったのが、環境省の「環境技術実証事業」である。この事業は、開発された環境商品(技術)が環境保全効果を顧客に十分に説明できないために、商品が普及しない場合があることから、「信頼できる機関が、環境商品を実際の現場等で使用してみて、その環境保全効果や維持管理費用等の測定結果を公表することで、環境商品の普及を支援する」ものである。2003年からモデル事業が開始され、2008年から本格実施になっている。

 

 もともとはあるシンクタンクが海外の類似事業を環境省に提案したことから始まったと記憶するが、筆者も事業の初期段階で、事業のデザインや評価等に係る委託業務を担当したことがある。

 

 対象とする商品分野は、水質汚濁が進んだ湖沼の浄化技術、中小企業等で発生する化学物質の除去技術、山岳地域等で使うトイレ、ヒートアイランド対策とある遮光フィルム等から始まり、近年では省エネ照明、中小水力発電等も対象になっている。

 

 この事業の特徴は、実際に使ってみて、環境保全効果等を測定し、そのデータが信頼できることを環境省が確認し、情報公開を支援することにすることにある。エコマーク等の環境ラベルとの違いは、環境にとってよいことを第三者が認証してくれるものではないことである。あくまで、環境保全効果等の数値の信頼できるデータを証明すること、さらに実際に使用をしてみて、環境保全効果等を測定することも特徴である。「認証」ではなく、「実証」という言葉が使われている。

 

 さて、この環境省事業は、測定や分析に必要となる手数料を環境省に支払う必要があり、気軽に実施することができるわけではない。また、多様な環境商品をすべて網羅しているわけではなく、分野も限定される。

 

 このため、中小企業等は自主的な方法をとらざるを得ない場合もある。エコベンチャー同士あるいは公共のユーザーに、環境商品を実際に使ってみてもらい、データをとってみることも考えられる。この際、環境省事業では実証を行う評価項目やその方法を丁寧に設計しており、それを参考にしてみるのもよいだろう。

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