korou's Column

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松浦亜弥ディスコグラフィー 32 「Subject:さようなら」

2015-10-24 | 松浦亜弥

2011年12月21日発売のベストアルバム

「松浦亜弥 10TH ANNIVERSARY BEST」に収録された曲。

過去の録音・映像を使い回しただけのこのベストアルバムで

唯一の新曲として発表された。

作詞・作曲:竹内まりや、編曲:鈴木俊介

 

さすがという他ない。

「想いあふれて」「Fallin’」の中野雄太がいい、「真珠」の安岡洋一郎もなかなかだ、とか思っても

この竹内まりやの仕事を見ればレベルが違う。

歌詞参照サイトで歌詞を眺めた途端

言葉がまるで有機体のように迫ってくる感覚に襲われる。

ドラマティックに失恋した女性の感情のひだを抉り出していって

これでもかこれでもかと女性をうちのめす冷徹な歌詞。

そんなドラマを秘めた言の葉たちに

これ以上ぴったりの曲想はないと思われるほど

哀愁に満ちたメロディが紡ぎ出されていき

最後の最後で悲痛な叫びにも似た感情を吐露して

この4分半強の悲劇は終わるのだ。

 

もちろん、これはリアルではあるけれど

あくまでもイマジネーションで感じられる世界。

 

以下はリアル世界の話。

歌手・松浦亜弥には、これでもかこれでもかと試練が訪れた。

「砂を噛むように…NAMIDA」で、歌手としての在り方について

大きく路線を変更したのに

ファンからの賛同を得られず、世間の評価も皆無に近かった。

その一方で、ゲテモノ趣味を拡大するような自分のモノマネだけが世間に流布し

肝心の本人は、そのブームによる恩恵などなく、むしろ負のイメージを背負うことになった。

そうしているうちに、体調不調に悩まされるようになり

診断の結果、結構根の深い病気であることが判明したが

諸々の事情により、それをストレートに即発表することができなかった。

そして、w-indsの人気が微妙な感じで

スマッシュヒットもない代わりに、人気急降下ということもなく

その結果、恋愛関係を自分の都合で進めることもできない。

表向きには、ツアーの中止、中途半端な出来のアルバムのリリース、

TV出演の激減など、人気急降下のニュースばかりが続き

「落ち目の歌手」というイメージが定着する。

いろいろなことがうまくいかないという思いが

当時の亜弥さんにはあったに違いない。

 

そんなことを想像(妄想)しながらこの曲を聴いたとき

やはり、この映像が一番心に響く。

いつもの亜弥さんとは何かが違うニュアンスが感じられるのは

気のせいだろうか?

それが「何」なのか、言葉にするのは難しいのだけど。

このブログでかつて引用した映像ではあるが

これ以上の歌唱はないので、今日もこれでいきます。

 

松浦亜弥 - Subject:さようなら (live)

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6 コメント

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Unknown (mago_emom)
2015-10-25 00:30:50
この曲は竹内まりやさんによって
彼女の潜在力を引き出した傑作ですね。
松浦亜弥さん自身も
それに十分すぎるほど応えているのが
この曲を聴くとわかります。

いつも思うのですが、熱い思いを抱いていながら、
客観的に絶妙で時に辛辣な寸評をされるkorouさんに
感服するばかりです。
この記事に書いたような、大胆な
(でもその多くは本当と思います)
記述を自信を持って展開する姿に
正直少し抵抗を感じた事もありましたが、
それ以上に頼もしさを感じますね。

私はこの熱さと同居する客観的な感じというのが保てないのです。

つい活動再開の姿ばかり思ってしまいますのでね。
それもかなりレベルの高い活動の姿を要求してしまいます。

この曲はもっとアピールする余地があったと思います。
色々事情はあったにせよ、オリジナルのコピーばかりの
10周年アルバムの末席にひっそりと収録されているだけというのは
もったいなさ過ぎです。

これを発表した頃、彼女はどのような心境だったんでしょうね。

芸能界の色々な世知辛さを痛感して、
かねてから憧れていた家庭を持つことに傾き、
歌うことからも訣別したというストーリーだけは
想像したくはないですが。
返信する
幻の代表曲? (大sansan)
2015-10-25 02:20:36
リアル世界の話、その通りだと思います。
簡潔にまとめていただきましたので、
引用させていただく時もあろうかと。
その時は、よろしくお願いいたしますw。

「Subject:さようなら」については、
僕も、このテイクがベストだと思います。
ただ、残念ながら、ベストテイクの視聴回数が10万回そこそこ、
シングルにもできなかったというのが、
この曲と松浦亜弥さんの当時の現状を表していたと思います。

やりようによっては、
或いは、世が世なら、
松浦亜弥の代表曲になっていたかもしれないのに残念です。
返信する
私の文章、亜弥さんの未来など (korou)
2015-10-25 09:31:30
>mago_emomさん

私の独断に満ちた文章が
mago_emomさんに抵抗感を与えていることについては
申し訳ないです。

根底には
ネットの普及などで情報過多が極限に達している今の社会で
政治・経済・社会・スポーツ・芸能すべてにおいて
中途半端な形で情報が出回っていることに対する
個人的な苛立ち、あるいは不安が
独断っぽい文章を書かせているのだと思います。

文章を書くには、ある程度情報収集しなければならないし
でもその一方で
素人が地方で収集できる情報なんて限られているので
出来上がった文章は
どうしても独断に近くなります
(自分が若くて、都会に住んでいれば、ルポライターみたいに
 取材を敢行していたかもしれませんが)

今後の亜弥さんについては
私としては
あやもとさんの感覚に近いです。
近い時期の復活はないと思っています。

というか、もしすぐに復活したら
今までの亜弥さんの言動と全く違うことになるので
そういうのはどうなのか、と思いますね。

ただし、完全引退というのもないと楽観しています。
何かのきっかけで復帰すると思うのですが
それを具体的に予想するのはムリですね。

こちらとしても、復帰のしかたで、今後の在り方が変わります。
中途半端だと、それは「元松浦亜弥」ということでスルーするしかないですし
かなりいい感じの復帰だとしたら
老体?にムチ打って、ライブに参戦することになると思います。
返信する
竹内まりやさんのこと (korou)
2015-10-25 09:37:30
>大sansanさん

そうですね、本当に惜しいですね、これほどの名曲が。

救いがあるとすれば
まりやさんが義務的に楽曲を提供したのではなくて
亜弥さんの歌手としての実力を評価しての提供だということで
今後もサポートが期待できるという点ですかねえ。
でも、亜弥さんの復帰が遅くなると
まりやさんの創作能力に(年齢上の)限界が生じてくるかもしれないので
そのへんが微妙です。
返信する
御気にならさず (mago_emom)
2015-10-25 13:24:33
ちょっと余計なことを言いました。

このブログは貴重な資料として拝見しています。
「ふくちゃん」さんが先日話題にされていましたが、
活動を休止して以降のファンの方はまた私などとは
異なったある意味冷静な目で彼女を見ているのですね。

こういう見方もあるのかと、新鮮に感じています。

私などマニアックライブのカバー歌唱などが入口になって
現在のところの最後期のライブシーンを体験したことで、特に初期からのファンなどからすると、かなり異質な
形のファンなのだと思います。
変な思い入れが強すぎるので、ブログでの展開も
難しさを感じ、1カテゴリーとして時々話題にするに過ぎません。

そんな私からすると頼もしい限りなのです。

気になさらずに、というかぜひともこれまでの路線を
崩さずに展開をお願いします。
返信する
いえいえ、こちらこそ恐れ入ります・・・ (korou)
2015-10-25 18:25:56
>mago_emomさん

それでは、お言葉に甘えて
マイペースなブログを続けさせて頂きます(笑)
全然構いませんので
以降も忌憚ないご意見、ご感想をください。
励みになりますので。
返信する

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