ファーストアルバム「ファーストKISS 」収録の曲。
アルバムの発売日は2002年1月1日。
その後、2005年の「ベスト1」、2011年の「10TH ANNIVERSARY BEST」にも収録された。
作詞・作曲はつんく♂、編曲は河野伸(河野伸については「I know」の記事を参照ください)。
つんく♂が作った数多い曲のなかで
親しみやすさからいえば
この曲がナンバーワンかもしれない。
シングルカットされなかったのが不思議なくらいの名曲である。
2012年に
モーニング娘。の49枚目のシングル「恋愛ハンター」発売の際
その初回限定盤Eとして
当時のリーダー新垣里沙が
卒業記念の意味合いも込めてこの曲をカバーしたものが
カップリングされた。
新垣里沙は10年近くメンバーだったので固定ファンも多く
この曲の知名度は
このカップリングのおかげで一気にアップした。
今でもyoutubeの再生回数は
オリジナルの松浦亜弥より
新垣里沙バージョンのほうが圧倒的に多い。
先に新垣バージョンで親しんで
後からオリジナルを確かめにいくというコースで
亜弥さんの映像も再生回数を増やしていったようだ。
調性はシンプルなFコード。
曲全体が全く無駄のない綺麗な構成で、
さすがはプロの作曲家だなと感心するほかない。
歌詞は卒業をテーマにしたものなので
ものすごく深い意味合いがあるといった類ではないが
それにしても、卒業間近の女の子たちの気持ちを
これほどありとあらゆるパターンを想定しながら
これでもかこれでもかと描きまくる卒業ソングは
他に類例がないほどだ。
そして、曲全体として
当時のあややにふさわしい明るい元気な歌に仕上がっている。
☆☆☆
ここから先は個人的感想。
この文章を書いている時点で
この曲が松浦亜弥のベストだと思っている自分。
特に「ハロプロ2009 ~エルダークラブ卒業記念スペシャル~」の映像で
それを強く思っている。
松浦亜弥 - 笑顔に涙~THANK YOU! DEAR MY FRIENDS~
このライブでの亜弥さんは
ありとあらゆる歌唱テクニックを駆使して
まさに変幻自在だ。
(なお、この映像は
映像そのものも興味深いのだが(ハロプロの一時代を知るという意味で)
ただ純粋に亜弥さんの歌を鑑賞しようと思ったら
映像は見ないほうがよい。
これくらい、映像込みで歌を聴くのと
純粋に音だけをMP3とかで抽出して聴くのとで
印象の違うものは他にない)
たとえば、サビの部分での
一気に感情が溢れ出るような歌い方はどうだろう。
歌詞で言えば、1分32秒あたりの「まじで泣けてくる」の部分。
3分12秒あたりの「全部ありがとう」の部分。
それまで、声の出し方を伴奏とぴったり合わせたり
少しタメをつくってずらしたり、あるいは躍動感のまま早めにアクセントを置いたり
自由自在にテンポを操作してきたのに
このサビだけは
思いっきりタメて声のボリュームも上げて
一音ごとに感情を込めて歌っている。
聴いていると本当に「泣けてくる」のだ。
「全部ありがとう」になると
さらにもうワンランク感情表現の幅が大きくなり
最後の「う」の音の響かせ方など
ゾクゾクッとするくらいの声質が出ている。
音符だけみれば
”AーG-FーA-A”という何の変哲もないメロディなのに
歌詞の流れでは
その後に「ほんとなんだね」jほんとなんだもん」と続く重要な部分なので
ここを大切に歌うことで、この歌全体が生きてくる。
このわずか数秒の表現を聴けただけで
松浦亜弥という歌手と同時代に生きているという幸福を感じる。
他にも、「名の知れないアマチュアバンドの」という部分で
思いっきりシャウトする歌い方は
歌詞の流れからすると不自然なのだが
これはさっきのサビの部分とは逆に
メロディラインの流れからは
シャウトすることによって単調な反復を免れることができるわけで
そのへんをごく自然にやってのけることができる亜弥さんは凄い。
それにしても、よほどこの日は調子が良かったのだろう。
他のライブでの「笑顔に涙」でも表現テクニックはほぼ同一だが
これほどキマっている歌唱は他にない。
亜弥さんのベストパフォーマンスと言って過言でない。
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