前回まで
「ひこうき雲」「あなたに逢いたくて」と
かつて自分としてはあまり聴いていなかったカヴァー曲を
連続して取り上げました。
そこで、同じく
以前は自分の中で低評価だったものの
今は違う視点で聴いて結構満足しているという曲として
今回は「ラッパと娘」を
取り上げてみたいと思います。
「ラッパと娘」は
昭和14年(1939年)12月に笠置シヅ子の歌として発売になった曲で
知る人ぞ知る服部良一作の名曲と言ってもいいでしょう。
この曲及び笠置シヅ子については
ネットで詳しい解説を2つほど見つけましたので
ご参考まで。
ではオリジナルを聴いてみることにします。
笠置シヅ子「ラッパと娘」
こんなの、もう誰も真似できません(笑)
カヴァーするなんて無謀でしょう。
ただ、この曲を作詞作曲編曲した服部良一が
あまりに偉大な存在なので
トリビュートアルバムの企画が出てきたりします。
2007年10月に「生誕100周年アルバム」が発売され
この種のアルバムとしては異例の
オリコンTOP10入りを達成しています。
このアルバムのなかで
松浦亜弥は「ラッパと娘」を
ジャズ・トランぺッター日野皓正との共演で
歌っています。
そして
2007年10月6日の「ミュージック・フェア」(CX)でも
「ラッパと娘」は
亜弥さんのスタジオライブの形で披露されました。
その模様がこちら。
2007年10月 ラッパと娘 松浦 亜弥
以前は、オリジナルとどうしても比較してしまい
物足りなさばかり感じていたのですが
そもそも、こういう曲調で笠置シヅ子の領域に迫ろうとすること自体
ムリな事であるのは分かり切っているわけで
そこを除外して考えれば
これはこれで亜弥さんの見事な歌唱ではないかと
最近では思い始めています。
ここでは
笠置シヅ子が本能的に選択した歌詞のアクセントのとり方とか
細かいリズムのずらし方とか
そういったものを全く模倣することなく
松浦亜弥らしい正統派の歌い方で
この「黒い」歌に挑戦しているように見えます。
そして、それなりに高揚感を演出できているのですから
言うことはありません。
笠置シヅ子の歌唱と比べると
確かに物足りないのは事実としても
あまりにもオリジナルにとらわれすぎると
この歌唱の良さを味わうことはできないように思います。
加えて、カメラが
亜弥さんの近くでまつわりつくように映しているのも
この映像の魅力ですね。
目力の強い亜弥さんの表情を
これほど堪能できる動画はなかなかないと思います。
たまたま昨日、1923年刊内務省衛生局編纂の「流行性感冒」の復刻版を読んだんですが、遠い歴史上のことと思っていたスペイン風邪が、笠置シヅ子さんが4歳のときのことかと思うと何か、時の流れが自分までつながった感じがします。
笠置シヅ子さんステージの方が良さがあるということで、東京ブギウギなどいくつか見ました。
https://www.bing.com/videos/search?q=%e7%ac%a0%e7%bd%ae%e3%82%b7%e3%83%85%e5%ad%90&ru=%2fsearch%3fq%3d%25E7%25AC%25A0%25E7%25BD%25AE%25E3%2582%25B7%25E3%2583%2585%25E5%25AD%2590%26FORM%3dEDGSH3%26PC%3dTBTS%26refig%3d6a1dbb3e4a334595b22b9da03e45bd95%26httpsmsn%3d1%26msnews%3d1&view=detail&mid=025A8C4632A34853D06C025A8C4632A34853D06C&&mmscn=vwrc&FORM=VDRVRV
関西系のノリと曲想やステージングなど亜弥さんと重なるところがあるなあと思いつつ。
このミュージックフェアの2007年10月6日は「松浦亜弥コンサートツアー2007秋 〜ダブル レインボウ〜」が10月13日からのようですのでその1週間前ということになりますが、どうも印象が違います。
肌が荒れていて、表情も険しく、声の伸びもイマイチのような。こちらと比べると苦しそうに見えてしまうんですが、気のせいですかね。
https://www.youtube.com/watch?v=wv2bBmdjRv4
実を言うと
笠置シヅ子あたりの評伝に関しては
自分は結構読み込んでおりまして
関連の番組とかがBSなどであったりすると
それも結構チェックしたりしていますので
書きたい材料はいくらでもあるのですが・・・
まあ・・・やめときましょう(笑)
あやマルさんが引用された東京ブギウギの映像は
昭和25年頃の日劇でのショーあたりですかねえ。
吉本興業の御曹司と許されない恋愛におちて
その彼氏が病没後に長女を出産という事態に
やむを得ず芸能活動を再開した戦後の笠置シヅ子は
戦前の彼女とはイメージが違ったらしいです。
まあ、それはそれとして
今でもある程度映像でその雰囲気を知ることができるのは
素晴らしいことです(あっ、やっぱり語ってしまった!)
ちなみに、亜弥さんも
2005年の紅白の企画で
東京ブギウギを歌っているようです。
亜弥さんの「ラッパと娘」は
ご指摘のとおり
youtubeにもう1つ映像があって
それは2009年11月3日の歌唱ということになります。
「想いあふれて」ツアーが終了した直後で
十分にリラックスした状態のはずなので
声ものびやかで表情も明るそうですね。
個人的な好みとして
今回はMフェアのほうを引用しました。
この曲に関してはカヴァーそのものがムリなのですが
そのなかでいかに自分らしい歌唱にしていくか
亜弥さんの葛藤、工夫がより覗ける映像だと思ったのです。
たしかに声は苦しそうで、表情も険しげですが
この曲の歌唱としては
個人的にはこっちのほうが好きです。