korou's Column

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松浦亜弥ディスコグラフィー 96 「渡良瀬橋」

2016-12-24 | 松浦亜弥

松浦亜弥の15枚目のシングル曲。

森高千里が1993年に出したシングル曲のカバーとして

2004年10月20日に発売された。

 

その後、2005年発売のベストアルバム「ベスト1」にも収録され

2006年には

DVD「砂を噛むように・・・NAMIDA~STUDIO LIVE~」で

スタジオライブの形で発表された。

 

2010年に出された企画アルバム「Click you Link me」においては

新たに高橋諭一が編曲を担当して

また、森高千里本人もコーラスとリコーダーで参加して

オリジナルに近いイメージで再録音を行っている。

 

ところが

2011年発売のベストアルバム「10TH ANNIVERSARY BEST」では

この「Click・・・」バージョンの音源ではなく

2006年のスタジオライブの映像のほうが収録されている。

わざわざ新録音までしたのに

その直後のベスト盤ではスルーされるということは

一体「Click・・・」というアルバムは何だったのか?と

思わせる曲になってしまった。

 

なお、松浦バージョンのシングルについては

作詞:森高千里、作曲:斉藤英夫、編曲:馬飼野康二。

(オリジナルの森高のシングルの編曲は斉藤英夫)

 

斉藤英夫は

ほぼ森高千里の専属作曲家といってもいいくらいだが

「私がオバサンになっても」「私の夏」「風に吹かれて」「二人は恋人」と

森高だけのヒット曲を書き連ねただけでも

相当な才能の持ち主であることが分かる。

この「渡良瀬橋」にしても

リアルタイムでかなり流行った記憶があるが

実際、31万枚売れたスマッシュヒットになっている

(それだけ売れても、オリコン最高順位が”第9位”というのが別の意味で凄いが。

 当時、どんだけオリコン上位の曲が売れていたのか!)

 

松浦バージョンの「渡良瀬橋」のアレンジャーに

馬飼野康二が起用されたのは

今にしてみれば驚きである。

馬飼野さんについて語ると

おそらく原稿用紙が100枚あっても足りないほどなので

ここでは省略するしかないが

活躍年代の長さとその充実度でいえば

日本歌謡史上最大の作曲家と言っても過言でない。

西城秀樹から現在の関ジャニあたりまで

実に半世紀近く、日本の歌謡曲作曲界のトップを走っている大作曲家であり

あの古賀政男とか筒美京平などを上回る息の長さである。

本当は、亜弥さんのために1曲書いて頂ければ良かったのだが・・・

アレンジということであれば

その良さをハッキリとした形で味わうことは難しい。

とはいえ、オリジナルと比較してじっくりと聴けば

アレンジャーとしても一流の馬飼野さんが

様々なテクニックを「あやや」のために提供してくれているのが分かる。

 

では、まずオリジナルから。

森高千里 『渡良瀬橋』 (PV)

 

今回初めてじっくりと視聴したが

これは、ある意味アンタッチャブルなPVで

これを忠実にカバーすることは不可能かもと思ってしまった。

あらためて森高千里の万能ぶりに驚かされる映像だった。

 

これに対して

馬飼野さんのアレンジした「あやや」バージョンは

どうしてもオーソドックスなスタイルになってしまうわけで

比較すると、善戦健闘の域を出ないカバーになっている。

この曲をこのタイミングでどうしてもカバーしたかったという必然性は

感じられない。

歌の上手いアイドル歌手だから、こういうのも歌えます、という

アピール以上のものは感じられない。

馬飼野&「あやや」で、これ以上の企画はなかったのだろうか。

このコンビなら何でもできるのに。

惜し過ぎる。

 

松浦亜弥 - 渡良瀬橋 [PV]

 

さて、「あやや」ファンなら当然知っていて

世間一般的にもyoutubeで180万回再生という評価を得ている

決定的な名唱が

松クリスタルでの歌唱だ。

アイドル歌手が、歌の歌い方の勘所を全部掴んで

完璧に歌いこなした例として

これは不朽の名唱だろう。

 

松浦亜弥 - 渡良瀬橋

 

ここからは個人的見解。

「松クリスタル」全体に言えることとして

亜弥さんの声に過剰なエコーがかかっていて

実は個人的には「松クリスタル」は好きでない。

ほとんどの部分について

イヤホンでじっくりと聴くと

あまりノドの調子が良くなくて

エコーでごまかしているようにも聴こえるのである。

ただし、この「渡良瀬橋」と、最後の「可能性の道」だけは

過剰なエコー効果など飛び越えて

ものすごく心に沁みてくるのが不思議だった。

全体として不調で、2曲だけ抜群というのは

あまりに不自然なので

ずっと心に引っ掛かっていた。

まあ、このこと自体は大したことではないのだが

決定版がもっと他にあるのでは、とひそかに思っていた。

 

実は、亜弥さんは

この曲をピアノ伴奏だけで歌いたかったらしい。

せっかくの馬飼野さんのアレンジだったのに

あまり気が進まなかったようだ。

それでも「松クリスタル」の名唱を聴かせるのだから

さすがなのだが。

 

そんな亜弥さん。

「松クリスタル」から数年後に

ついに桜井さんという相性のいいピアノ伴奏を得て

その希望は実現する。

これこそ、亜弥さんが最も望んでいた「渡良瀬橋」なのだろう。

桜井さんは、初見に近い状態で

この伴奏をこなしている。

さすがプロ。

亜弥ちゃんも(わがままが過ぎるが<初見でライブ演奏させるなんて>、笑)さすがプロ。

その音源がこれです。

 

960625

 

今再びこれをじっくり聴いて涙が出ました。

これ以上の名唱は考えられないです。

ディスコグラフィーの最後が

この音源で本当に良かったです。

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4 コメント

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Unknown (大sanan)
2016-12-24 23:27:01
僕も、「松クリスタル」のエコーについては、気になっていました。
初めは、会場が広いので反響しているのかな、なんて思っていましたが、
DVDの音は、マイクを通して入っているはずですから、ありえないですねw
僕は、アリーナライブなので、ある程度息切れすることを見越して、
いつもより強めにエコーをかけておいたのかなって思います。
余計なことと云えばそうですけど、
「松クリスタル」は、アイドルライブで、
「Yeah!めっちゃホリディ」→「トロピカ~ル恋して~る」と続いての「渡良瀬橋」ですから、
致し方ないかと思います。

ただ、その後の2005年や2006年のライブ、さらに2010年のコットンクラブのテイクなど、
比較的落ち着いた環境の中で歌っているのにもかかわらず、
あまり心に響く歌唱になっていないように思います。

まあ、「松クリスタル」のテイクが素敵に思えるのは、
単に、強めのエコーとライブ動画の雰囲気に影響されているだけかもしれませんがw

そう考えると、今回紹介していただいた、ライブテイクは、大変貴重な歌唱に思います。
一人でも多くの人に知ってもらいたいです。
返信する
何せソースがソースなもので・・・ (korou)
2016-12-25 10:32:24
>大sansanさん

「松クリ」の渡良瀬橋は
エコー効果もそうですが
歌唱自体も超個性的だと思います。
特にCメロでの感情の込め方は尋常でないですね。
紅白でなりふり構わず険しい表情で「想い出のセレナーデ」を歌った
天地真理以来ですね、アイドルのこんな厳しい顔つきをみるのは。
(例えが古くて分かりにくい!笑)

ただ、そこで感情が入り過ぎて
その後は聴く方も虚脱状態になってしまうのが難点です。
私にとって、この歌唱は
Cメロの感情移入を味わうだけのものになっています。
やはり、エコーがきつすぎるかな。
(とはいえ、そのエコーが心地よく聴こえるのも否定できず・・・)

最後のテイクは
STBライブ(2010年3月14日夜)のものです。
本当は広く知ってほしいんですが
何せ音源ソースのせいで
それもできません。
こっそりとファンの間だけで
楽しむしかないですね。
そのへんは”ayaaya・・・”でyoutubeにアップされているものと
同じことになります。
返信する
感慨深い (beginner)
2016-12-26 13:12:35
まずは渡良瀬橋までご苦労様でしたとお伝えしたい。
知ってる曲、知ってるけれども音源が違うので新鮮さを味わえたり、
知らない曲を教えて頂いたりと、ファン初心者(といっても年単位過ぎましたが)にとって
とても助かりました。

渡良瀬橋。もちろん森高リアルタイムを知っている私なので、仰る通りアイドルでも歌えますよ的な扱いで見ていました。
名曲ではあるし歌唱力も素晴らしいけれど何となく心には響かないのが松浦亜弥の渡良瀬橋。そんな感じでした。

が!最後のSTBライブ音源のものはとても素晴らしい!
超知ってる何度も聴いている曲なのに、まだ新たな歌唱を発見出来る喜び。クリスマスプレゼントとして受け取らせて頂きます(笑)

返信する
Re:感慨深い (korou)
2016-12-26 20:16:39
>beginnerさん

私も「ファン初心者」です(まだ2年半にも満たない!)

「初心者」の分際でありながら
このような訳知り顔の企画を始めて
しかも途中で叙述の手抜きも堂々と宣言して
まことにお恥ずかしい限りです。

それでも
中途で断念という最悪の事態は免れ
こうして最後の曲までたどり着けました。
beginnerさんや皆さんのコメントが
力になったのは間違いないです。
ありがとうございます。

しかも「Rock My Body」のことを調べていたときに
偶然、今回の「渡良瀬橋」のような音源を発見し
これこそラッキーだったなと思っているところです。

「渡良瀬橋」、STBライブの音源、いいですねえ。
やはり、亜弥さんのいうとおり
これはピアノだけの伴奏というのが
効いていますね。
曲そのものは
それまではそれほど好きではなかったのですが
松クリスタル、STBライブの両テイクのおかげで
今では結構聴き込む曲の一つになりました。
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