korou's Column

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松浦亜弥ディスコグラフィー 20 「語り継ぐこと」

2015-08-21 | 松浦亜弥

2010年11月24日に発売された企画アルバム「Click you Link me」に

収録されたカバー曲(原曲は元ちとせ)

作詞:HUSSY_R 作曲:田鹿祐一 編曲:高橋論一。

 

もともとは

2005年10月から

TBS系土曜夕方18時からのアニメ枠で放映された

「BLOOD+」のエンディングテーマとして作られた曲。

作詞のHUSSY_Rという人の正体は不明。

元ちとせの歌の作詞以外では見たことのない人(でも、いい歌詞を書かれます)。

作曲の田鹿祐一は、恐らく1980年前後の生まれ、新潟県出身のミュージシャン。

「サンプリングサン」というバンドでボーカルとオルガンを担当していたが

2006年に解散。

その後、ソロ活動のかたわら、作曲活動も行い

元ちとせ、SCANDALなどのアルバムに曲を提供している。

編曲の高橋諭一は、もはやこのブログでも頻出ネーム。

 

元ちとせのオリジナルは素晴らしい出来だ。

こんなに説得力のあるボーカルは久々に聴いた気がする。

「ワダツミの木」のときは、独特の節回しに馴染めなかったが

これはそれほど抵抗なく聴ける。

アニメの登場人物たちの生きざま、背景を連想させる意味深い歌詞も印象的。

曲の構成もきちんとしていて、実に本格的な作りになっていると思う。

元ちとせ「語り継ぐこと(Short Ver.)」

https://www.youtube.com/watch?v=JMRf45HJjcM


 

こんなに優れたオリジナルがあるというのに

さらに亜弥さんは何をしようというのか?

元ちとせの抜群の歌唱を聴いてしまった後だと

当然湧きおこる疑問だ。

何でこの曲が久々のアルバムのなかでカバーされたのか?

亜弥さんの楽曲の都会っぽいイメージと、土着っぽいイメージのこの曲とは

全然結びつかないので

考えれば考えるほど解せない話だが

結局、どんなにネットで探してみても

それについての文章、コメントなどを見つけることはできなかった。

 

大抵の場合

これほど自身のイメージに合わない曲を

しかも素晴らしいオリジナルがあるというのに

それをカバーしたなら

とても聴けたものではないヒドいものになってしまうのがオチである。

 

亜弥さんのこの曲のアルバムでの歌唱は

もちろん今回初めて聴いたわけではなく

今までも何度も聴いていたのだが

その割には

あまり集中して聴いたことがなかったのも確かである。

今回、初めて、元ちとせのオリジナルを聴いて

引き続き、アルバムでの亜弥さんのカバーを聴いたのだが

両者を聴き比べての印象を率直に言えば

「この曲をカバーするには不向きなこの声質で

 なんでここまで上手くカバーできるのか」という驚きだった。

 

2つ前の記事のコメント欄にも書いた「ラッパと娘」のケースに似ている。

どう考えても、あの笠置シズ子のスイング感は出せない当時の亜弥さんが

全然別の手法で服部良一の楽曲の魅力を引き出しているのを連想させる。

ただし、この「語り継ぐこと」に関しては

「ラッパと娘」ほどのクオリティは残せていないと思っている。

「ラッパと娘」は、ほとんど感動に近いところまで聴く者を引きずり込むが

「語り継ぐこと」の場合は、単なる感心に止まった。

それほど、この曲のオリジナルには土着の強さがあり

日本人の魂の奥底まで届く力を持っているわけで

どうしてもツクリモノになってしまう日本人のスイング感などとは

感動のポイントが違うということだろう。

ツクリモノに対して、別のアングルから対抗することは十分可能だが

ホンモノに対抗して、別のアングルから別の魅力を引き出すことは非常に困難なはずである。

 

だからこそ、なぜこの曲を歌おうとしたのだろう、と

素朴な疑問が脳裡から消えないわけである。

 

最近になって、この曲のライブ映像を見つけた。

2010年末にコットンクラブで行われた新アルバム発表用のライブで

この曲が歌われている(というか、このアルバムの曲だけで構成されたライブ)。

ユーストリームということで、かなり粗い映像だが

そもそも「Click you Link me」収録の曲のほとんどについて

あまりライブで歌われたことがないので

出来不出来はともかく

現時点では貴重な映像と言えるわけだ。

 

このライブ自体は

亜弥さんに近い人が某ブログのコメントで書かれた言葉を引用すれば

亜弥さんが「すんごくココロが元気ない状態」で行われたライブらしく

不出来なものだったらしい。

ただし、この「語り継ぐこと」の後半とアンコールの「Happy to Go」だけは

いくらか声が出ていた、というコメントもある。

たしかに、何かメイクもイマイチだし(キツすぎるかな)

心ここにあらずという感じで曲全体のトーンが伝わってこない歌唱かな

とも思ったりする(もちろん映像だけで断言しても仕方ないが)

この「語り継ぐこと」については

1番の出来にムラがあったのを

2番で頑張って取り返したという感じ。

2番で声が出てきた、という感想には納得。

それにしても、歌唱の着地点がふらふらしているので

なんでこの歌を歌っているのか

結局分からないままですね。

(まあ、高いレベルでの不満を書き連ねているだけのことなのですが・・・)

 

松浦亜弥「語り継ぐこと」

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2 コメント

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貴重な映像 (mago)
2015-08-23 12:53:35
この映像、実はあるサイトに埋め込まれていたのを偶然見つけたのです。
私自身驚きました。
→ http://www.ustream.tv/recorded/11376594

最近思うのですが、時に厳しいことも記事に盛り込まれることで、
単なるファンの思いを綴ったものとは異なった展開になっていて、
その点がKorouさんのこのブログの貴重なところと思います。
このライブへの心構えの件など、
見る側が予備知識として持っていて必ずしも+にならないと
思われるものもありますが、
しかしそういう冷静な第三者的分析をもって彼女の曲や映像に臨まれると、
色々な事が見えてくるのだと思います。
私などは感覚でしか鑑賞しませんので。

日頃から松浦亜弥研究とでもいうべき努力を怠らない結果と思います。
私は時間が無いのと根気が続きませんので、今後も楽しみと新たな発見を求めて拝見します。
返信する
ストーリーを想定して書いているブログです (korou)
2015-08-23 14:52:07
まあ「ある程度ストーリーが見えている」という前提で
亜弥さんファンを続けていますので
この映像に、ふくちゃんさんのブログのコメント欄でたどり着いたときも
最初から期待度はゼロでした。
(私は、何度も書いていますが、2010年秋に決定的な病状悪化があって
 そこから以後は、歌そのもののレベルが下降していったというストーリーで
 彼女を見ています・・・というか、つい最近までそう見ていました)

さすがに健康面の不安なのか心理面の不安なのかまでは
ストーリーが想像できなかったのですが
「田舎の医師さん」のブログに
”ココロが元気ない状態”と書かれている人がいて
その方がどうやら亜弥さんのスタッフに近い人らしいことも推察できたので
このライブの不調は心理面なのかと合点がいったわけです。

この直後の名古屋でのライブは
見違えるほど素晴らしい出来だったようで
そのことを最近になって知った自分としては
ストーリーの修正を迫られました。

2010年末から少なくとも2011年までは
時々ハイレベルなライブをしていたようですね。
今までは、その時期もダメな時期と想定していました。
2011年末のコットンクラブでのライブも
勝手に不出来と決めつけていたのですが
そういうわけで、今聴き直しをしているところです。
返信する

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