korou's Column

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松浦亜弥ディスコグラフィー 70 「100回のKISS」

2016-07-09 | 松浦亜弥

 

松浦亜弥の4枚目のシングル曲。

2001年11月28日にリリースされ

アルバムでは「ファーストKISS」(2002年)に収録。

その後、ベスト盤の「松浦亜弥ベスト1」(2005年)、

「松浦亜弥 10TH ANNIVERSARY BEST」(2011年)の両方に収録される。

作詞・作曲:つんく、編曲:小西貴雄。

オリコンでは

前作「LOVE涙色」(最高3位)を上回る2位を獲得したものの

その後すぐにランク圏外となり

最終的には前作を大きく下回る10万3千枚の売上となった。

10万枚も売れれば、現在なら「奇跡」とでも言うべきだろうが

この2001年という時期においては

人気上昇中のアイドル歌手として全然珍しくなく、むしろ普通だろう。

それよりも

前作の6割という急激な売上枚数の落ち込みで

「この路線はナシ」という判断につながったと推察される。

今思えば「この路線」がベストなのに

ここがボタンの掛け違いの始まりだった。

 

曲調は、アイドルが歌う王道のバラードそのもので

Cメジャーというシンプルで明るい調性のもと

よく考え抜かれたメロディラインが展開されていく。

ただし、サビがキャッチーでないのと

リズムが単調なせいで

ファン以外は飛びつきにくいという弱点を持っている。

その上に、”あやや”の声は優等生的で特徴に乏しく

それを補う仕掛けにも不足している。

 

その後、

マニアックライブでアコースティックなアレンジが施され

亜弥さんの声も深みを増したので

全然別の印象のもと、この曲は蘇ることになる。

このアレンジで、もっと歌ってほしかった。

なぜ「クリスマスナイト2013」とかで歌わなかったのだろう?

 

「ファーストKISS」について

特に亜弥さんファンではない人が冷静に分析しているブログを

最近になって見つけた。

その人によれば”あやや”とは

 

(引用)

  つまり、松浦亜弥ってアイドルじゃないのだ。アイドルという言葉に
  大衆が感じているアトモスフィアを体現してみせた、優秀なモノマネ芸人さんである。
  だからこそ必要以上に作ってる感を醸し出していたし、楽曲もPVも無駄に
  ハイテンションでアレンジもギュウギュウに詰め込んでいたのだ。

(引用終わり)

 

ということになるらしいのだが、これは一面で真理を突いていると思う。

となると、そのアルバムの楽曲はどうなのか。これも引用。

 

   かつてのアイドルソングにはあった情緒の要素が欠落している。
   主に歌詞面で。秋元康の歌詞が「野郎の妄想と感想文」なら、つんくの作詞は
   「おじさんが一生懸命頭をひねって考えだした10代女子の近くて遠いリアリティ」
   である。ま、いざ情緒を表現したら演歌になっちゃうんだけどねこの人。

 

そして、

 

   ただね、こういう濃密なアルバムにしたのは分からなくもない。
   松浦さんの歌声って、上手なんだけど滑らかに流れていってしまう、掴みどころの
   弱い声質なので、ポップスとしての爆発力に欠けているのである。
   もう少しキンキンした声だったらよかったんだろうけど。
   つんくはそこの弱点を補ったんだろうけど、それがドンドン強調されていって
   巻き舌だらけになってしまう「×3」とか明らかにやりすぎだとしか思えなかった。
   あれはもったいない作品である。

 

という評価になるわけだ。

 

 

以上の批評を踏まえて、自分なりに解釈をしてみれば

この「100回のKISS」という曲は

元々「アイドル感満載⇒アイドルサイボーグ」の雰囲気で売り出したはずの”あやや”が

突如「アイドルそのもの」としてゴテゴテした仕掛け抜きで勝負した曲で

本来の「滑らかに流れるような掴みどころのない声」で歌った曲のように感じられる。

自分の体験からしても

亜弥さんファンになった一番最初の頃に

”あやや”時代のシングルを通して聴いたことがあるのだが

この曲だけは特別に聴こえた。

全然問題なく素直に愉しめた(それと好対照が「Yeah! めっちゃホリディ」)

そして、この路線はその後封印されてしまったのだ。

 

この曲は、ファンなら誰でも知っていることだが

亜弥さんのために作られた一番最初の曲であり

亜弥さんが一番最初にステージで歌った曲である。

本来ならデビュー曲になってもおかしくなかったのだが

おそらく、上記批評のとおり、ポップスとしての爆発力に乏しい声質ということで

もっと濃密な仕掛けを施しやすい曲に差し替えられたのだろう。

自分としては

そのへんがちょっとした疑問ではあったが

実態はこんなところではないかと今は納得している。

 

さて、この曲のオススメ動画だが

youtubeでは実に多くのバージョンを愉しめるようになっている。

まずPVから。

これは特にどうということもないのだが

結構見入ってしまうのはどうしてだろう。

やはり、歌手松浦亜弥の原型として見るとしたら

同時期の他の曲よりこの曲だろうという思いがあるからか?

いや、それ以上に

キッチュなイメージの”あやや”ではなく

まっとうなアイドルそのものとしての”あやや”を見ることができるからだろう。

まさに日本語の「カワイイ」の定義のような映像だ。

 

松浦亜弥 - 100回のKISS [PV]

 

そして、このアレンジでなら

ライブについていえば、この歌唱が一番ではないだろうか。

 

100回のKISS 松浦亜弥コンサートツアー2003春~松リングPINK~

 

あと1つ、「101回目のKISS~HAND IN HAND~」のライブでは

この曲の最後のほうをアカペラで歌っていて

当時の亜弥さんのこの曲への気持ちが伝わってくるようだ。

少なくともこの後の「ダブルレインボウ」ツアーの歌唱よりは

気持ちが入っているように思える。

 

https://www.youtube.com/watch?v=aOfHIFLiaNw

 

☆☆☆

 

上述のとおり、マニアックライブでは

アレンジがアコースティックバージョンになって

ぐっと心に迫る曲に仕上がっていった。

 

初期のマニアックライブと同時期に行われた「想いあふれて」ツアーで

最後の最後にこの曲が歌われたが

いろいろな経緯もあって、集中度がハンパでない。

ただし、凄いのだけれど

この曲の歌唱としては生々しすぎるきらいがあるのも事実。

アコースティックバージョンの原型として貴重な音源ということになるだろう。

 

100kai_no_Kiss__20091010_Night__Sapporo.mp4.mp4

 

個人的に一番好きなアレンジは

マニアックライブ5の2回目公演の最後に披露されたときのもので

最初がギターだけの伴奏だったのが

途中から次々と楽器が加わるあたりは

実に見事としか言いようがない。

ただし、肝心の亜弥さんが最後のほうでグダグダになり

まあ、それはそれでそこまでの流れの続きで悪くないとしても

曲そのものを堪能するには致命的なミスになってしまい残念。

もう1回、このアレンジで歌ってほしいところだ。

 

松浦亜弥 風に任せて/100回のkiss(10分50秒あたりから)

 

ということで

やはり、一番の出来はマニアックライブ3のそれになるだろう。

自然に、何も細工もせず、

そのままの声で歌うことのできる曲が

デビュー直後の早い時期に存在するという幸せ。

アイドルなら誰もがそういう曲を持っているというわけではないはず。

それを、亜弥さんは

素晴らしいスタッフに巡り合って

その後に成長した自分にふさわしいピッタリのアレンジで

まさにピッタリの曲を復活させて

ファンクラブのイベントでしっとりと歌い上げたということになる。

この映像の亜弥さんは本当に幸せそうだ。

このライブに参加できれば、勿論最高だったのだけれども

案外ライブ特有の「ノイズ」のせいで

そういうことを瞬時に感じることは難しかったかもしれない。

こればかりは、何度もその感覚を確かめられる映像のほうが

優れているといえる。

何度見ても、自分はこの幸福感にどっぷりと浸ってしまう。

これ以上の至福の瞬間などあるわけがない。

一生、亜弥さんのファンで居続けるだろうと確信した映像なのだ。

 

松浦亜弥 - 100回のKISS(注:この映像はぜひ音量を大きめで聴いてください)

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14 コメント

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100回の再生 (aiseki)
2016-07-10 13:10:36
ご指摘通りML5はゾーンに入っていただけに

ホントに惜しいです。

ML3はパーフェクトです

コーラスも心地よくバックの音も最適です

亜弥さんの歌唱は楽器最少が最高です

特に管楽器は邪魔になります(私には)

(注)常時です(^ ^)
返信する
Re:百回の再生 (korou)
2016-07-10 16:59:07
>aisekiさん

楽器最少で管楽器が邪魔というのは
よく分かります。

これは亜弥さんの声質からくるのでしょうね。

楽器の音に負けてしまうというのとは少し違いますが
悪く言えば弱い声質、でも良く言えば
上質で純度の高い声質なんで
最小限の音でその声質を堪能したいということになりますね。

それと、あらゆる歌唱テクニックが
意識・無意識の両面から行われているので
そのへんのニュアンスを聴き取るには
バックの音は最小限のほうが望ましいと
私も思います。
返信する
勿体ない! (大sansan)
2016-07-11 08:08:25
賛成です。
「100回にKiss」については、ノーマルアレンジなら「松リングPINK」、
アコースティックアレンジなら「マニアックライブ3」でしょうね。
デビュー前の楽曲が、大人になっても歌い続けられて、評価されるという幸せ。
そう考えると、マニアックライブⅤの最後のグダグダは、勿体ないですね。
最高のシチュエーションでしたから。
返信する
グダグダの理由 (korou)
2016-07-11 20:34:21
>大sansanさん

マニアックライブ5の「100回のkiss」は
そこまでの展開が面白かったこともあって
今までじっくりと聴いていなかったのですが
今回聴き込んでみると
アレンジは最高、亜弥さんの歌いっぷりも良いことに気づきました。

まあグダグダになったのは
我々ファンのせいだそうですから
次回以降気をつけましょう(・・・って、そんなアホな!)
返信する
Unknown (アヤまる)
2016-07-12 04:05:45
100KISS 豪華6本立てありがとうございます。全部聴いてから、はじめて聴いた2009想いあふれてのSapporoを再度聴き(これはMCから聴いてみたいですね)、マニアックライブ5を聴き直しました。

同じ曲を8回連続聴いて全く飽きないところが「松浦亜弥」で、他の歌手では考えられません。

この単なるアイドル曲に、その時々のメッセージを込めて歌い上げ感動させるって、ただただスゴイとしかいいようが無いです。

どれも素晴らしいですが、マニアックライブ5が私は一番グッと来ますね。

ファンのサプライズに感激して涙を流し、その返礼として最高の歌で返そうとして力尽きちゃったわけですけど、たぶん最後のちょっと手前でセーブすればきれいに終えられたと思うんです。

ところが気が入ってるところにバンドもうまいからノリで絶叫して限界超えちゃったんじゃないかと。

1年半のブランクでリハ1日しかしないでやったライブの2回公演終えた後の予定外の1曲ですから、もう燃料尽きてたでしょうしに、無難にまとめるんじゃなくて、ノリで突っ込んじゃうところが大好きなんです。

もうヘンタイの域に入ってきたかも知れません。
返信する
「ヘンタイ」は誰だ! (korou)
2016-07-12 21:13:10
>アヤまるさん

私としては
「そうです、アヤまるさんはかなりヘンタイです・・・」と
さらっと言えないtところが辛いところ、いや間違えました、嬉しいところです。

私も、時としてヘンタイ妄想にふけって時を過ごすことがあります。
だから、その気持ちは十分理解できます。

ただ、冷静に考えれば
うまくいかなかった歌なのに
そこから妄想を駆使して
さらに魅力を引っ張り出すというのは
やっぱり「ヘンタイ」です(爆)

亜弥さんならこう言いそうですね。
「いつも通り歌っただけなのに、よくそんなこと思いつくね。ヒマーー!」

・・・あっ、私のほうが「ヘンタイ」でした・・・スマソ
返信する
癒しのブログ (beginner)
2016-07-13 11:42:39
活動がどうなるのかまったくわからず、何度も同じ歌を繰り返し聞き、再度魅力を掘り下げ語るヘンタイ友が集まる場所。
孤独感で悩まされることのない当ブログは私にとって大変癒しになっております(笑)

待っていました「100回のkiss」
この世に松浦亜弥というアーティストが誕生した時、初めて歌った曲。そしてマニアックライブ5で普段イジってる客からイジられ感動して涙し、もう1曲と空気の読めるっぷりを発揮して追加した時歌ったのがこの曲。どうしても本人も思い入れのある曲なんだろうと想像しながら聞いてしまう名曲。

正直、ライブパフォーマンスの凄さに圧倒されるところから入った私としては、若干地味目なこの曲、もちろんリアルタイムでも知っていましたが、当初は興味をあまり持たない曲(その割によく歌うよな)って程度でした。
何度も同じようにヘンタイっぷりを発揮して聞くにつけ、ハマる要素がこれほどあるんだと気付き、そして松浦亜弥の凄さを再認識出来る格好の曲という気がしております。

この曲については復帰してからでも歌える曲だと思うので、じっくりと聞く機会(絶対に生で)を妄想しておきたいと思っています。

返信する
あっ...忘れてました (aiseki)
2016-07-13 17:15:52
70回記念おつかれさまです
1年2ヶ月ですね
あと半年?は楽しませていただきます(^ ^)
返信する
私には癒しのコメント (korou)
2016-07-13 21:05:19
>beginnerさん

>>孤独感で悩まされることのない当ブログは私にとって大変癒しになっております(笑)

過分なお褒め言葉・・・うわー(右往)、うわー(左往)と右往左往するばかりです。

>>何度も同じようにヘンタイっぷりを発揮して聞くにつけ、ハマる要素が
>>これほどあるんだと気付き、そして松浦亜弥の凄さを再認識出来る
>>格好の曲という気がしております。

ようこそヘンタイの世界へ(って、違うか・・・)
こうして、どんどん深みにズブズブとハマっていくのです・・・

>>この曲については復帰してからでも歌える曲だと思うので、
>>じっくりと聞く機会(絶対に生で)を妄想しておきたいと思っています。

復帰してからでも歌える曲、というか
復帰したら歌ってもらわないと困りますね。
これを歌わなかったら松浦亜弥ではないですから。
私も同じことを妄想しています。
返信する
カバー曲もやります (korou)
2016-07-13 21:09:30
>aisekiさん

実は、このオリジナル曲ディスコグラフィーの後には
カバー曲ディスコグラフィーを予定しているので
あと半年では終わらないと思います。

もう皆飽きて
どこからもコメントが来なくなっても
続けるつもりです(笑)
返信する

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