【話の肖像画】小沢一郎研究(下)評論家・立花隆 古い日本型政治と手を切れ
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100311/stt1003110240002-n1.htm
--民主党の小沢一郎幹事長の不起訴で、小沢氏や民主党に対する世論の批判がもっと高まると思っていました。
立花 ここまできてもまだ小沢の弁明を信じる人が少なからずいるというのは驚きだ。小沢は世論の動向次第では乗り切れると思っているわけでしょ。検察も世論の動向をうかがっている。小沢の自宅を捜索しなかったのもそのあたりが微妙にかかわっている。自宅の捜索までしたら抜き差しならぬことになると判断したのだろう。
《小沢氏の資金管理団体の土地購入問題で、東京地検特捜部は1月13日、小沢氏の事務所など関係先の一斉捜索に踏み切り、15日には元秘書の石川知裕衆院議員ら3人を政治資金規正法違反容疑で逮捕した。小沢氏は23日と31日に特捜部の聴取に応じた。その後、2月4日に石川議員ら3人は起訴されたが、小沢氏は不起訴となった》
--聴取の1回目と2回目はどう違うのでしょう
立花 1回目は任意の供述を取られただけ。だから小沢は聴取後も強気だった。しかし、2回目の直後は弱気になった。いろんな矛盾点をかなり突かれたのだろう。検察の判断ひとつで自分がどうなるかわからんと分かったのだと思う。
《小沢氏は1回目の聴取後の記者会見で語気を強め「不正な金は一切受け取っていないと申し上げた」と話し、「公平、公正な捜査をしていただきたい」と検察に注文までつけた。しかし、2回目の聴取後の記者会見では「仮に刑事責任を問われるとすれば、責任は非常に重い」と述べ、起訴された場合、幹事長を辞する考えまで示した》
--検察は小沢氏を石川議員らの共犯として起訴しようと思えばできたのでは
立花 起訴は可能だった。検察が自白証拠がないと立証できないとの固定観念を捨て去り、法廷での立証合戦に持ち込めば立件できた。そして公判で裁判官の常識的な判断に委ねれば有罪に持ち込めた。ロッキード裁判はそれをやった。
--最後にお聞きしたい。立花さんの金脈追及エネルギーはどこからくるのですか
立花 (笑い)。現場取材のエネルギーはもうないが、「けしからん」と思うからだ。
--政治とカネの問題はなくなりませんか
立花 今回の事件は、小沢の中の自民党的な日本型政治の古い体質が生んだ。小沢が消えれば、政治とカネの問題はほぼなくなると思う。大切なのはそうした体質と決別する勇気を持つことだ。