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美瑛の「四季」

北海道フードマイスターの宿主が綴る「今日もない物ねだり」

小樽から白馬へ・・・、まだ旅は続きます(2)。

2012-12-05 18:44:13 | 季節
11月20日に出発した旅で、最初に泊まった宿は岩内の高島旅館さんでした。僕が1年でこの時期に限って宿を10日から2週間ほどお休みさせていただくのは、1年で1番お客様がいらっしゃらない季節だからなんです。ちなみに美瑛は雪が積もったり融けたりして、少し泥だらけっぽい時期でもあります。山は綺麗なんですけど、お天気も雪の降る日が多いので、けして姿を見せてくれる可能性が高いとは言えません。
それでも噂を聞けば岩内のこの旅館は、この時期を含めて、年中なかなか予約が取れないとか・・・。すごいなぁーと思いつつ、行く日を楽しみにしていました。

到着すると、広いロビーで授業員の方が暖かい笑顔で迎えてくれました。正面に大きな大きな薪ストーヴ、そして赤々と揺れる炎が、遠路たどり着いた気分をすぐに溶かしてしまいます。1階に2室、2階に14室(たしか17号室まであって、204,209,214室は飛び番号でした)の造りは、明らかにホテルのものです。ただしお部屋は畳でお布団でしたが。
ゆったりとした8帖のお部屋に、よくある縁側っぽい窓際のスペースがあって広さは申し分ありません。ミニ金庫とトイレ付でお風呂は自慢の温泉が館内にあります。
行ってみると湯船はシンプルに2つ。室内と、露天風呂です。木のお風呂は室内も露天もどちらも心和む素晴らしい雰囲気。室内風呂がちょっと僕には熱いんですよね。ちなみに午前4時半にもう一度入りましたが、室内風呂は熱くて入ることが出来ませんでした。

お楽しみの夕食は1階の広間で。僕らは8人のパーティーでしたが、1組単位のお客様にはお部屋で供されるケースが多いようです。食事は海の幸をふんだんに使った海鮮、鍋、煮物、焼き物。毛ガニ半身つき。お刺身とお鍋と焼き物に、それぞれ岩内の海で獲れたあわびが1つ付きます(つまりあわび3個付き!)。
けっこうたくさんワインを持ち込んだので、海鮮と白ワインを満喫しました。どのお皿も新鮮で美味しいものばかり。あわびを丸ごと焼いて食べたのは初めてかもしれませんが、これまた美味しかったー!!!
さすがにちょっと多くて、どうしても全部は食べきれないのが悔しいところ。基本的に出されたものは全部いただく主義なのですが、断念しました。

お風呂でお会いしたお客様から話かけられたので聞いてみると、10年以上通っていらして2~3年に1度ここに来るのが人生の最大の楽しみだとか。いいなぁ、そういうのって。そのお客様にとってもそして高島旅館さんにとっても、素敵な関係です。そんな関係が続くのは高島旅館さんが素敵な宿であり続けるから。ぜひ見習いたいものです。

宿の魅力は圧倒的な美味しさと新鮮さの海鮮料理と温泉。そして従業員の皆さんの、自然な思いやりでしょうか。食事の内容から、人によっては連泊は辛いかもしれませんが、大都市札幌から程よい距離にある海に近いこの宿は、隠れ家的な魅力も備えていると感じました。1泊14,850円は、食事と温泉とからしたら、とても良心的な価格設定で、再訪したくなる気持ちも、なるほどと思った次第です。

宿を後に一行とお別れして夜の苫小牧港からフェリーに乗って、新潟港へ翌日の午後着きました。目指すは僕らが1番よく泊まったことのある白馬村のペンション「ユキモク」さんへ。開業以来37年・・・?ピーク時は3千人を越えるお客様をお迎えしていた小さなペンションでは、夕食が2回戦だったこともありましたね。名前もへんてこな「ゆきもぐら」って言ったんです。
お部屋がゴージャスとか、温泉があるとか、そういう設備的な視点からは惹かれることの少ないユキモクさんの魅力は、ご主人の作るめちゃくちゃ美味しいフランス料理の数々と、奥様の屈託のないおしゃべり。こちらにお邪魔するのは5年ぶりの僕ら2人でしたが、今回また新メニューが出て来てびっくりしました。たぶん、お魚、お肉ともにバリエーションは40とか50はあるんじゃないでしょうか。でもってどれもこれも美味しいのです。請われて宿のオーナー相手に料理教室をやっていたこともあるのは、あまり知っている人はいないような気がしますが・・・。こちらは1泊2食付で8,925円。行き始めてからほとんど変わらない料金設定にも、ご夫妻の信念が表れているような気がします。

僕自身が自分が行きたい宿に久しぶりにお邪魔してみて、うーん、なるほど・・・と感じることが少なからずありました。ひとつは大切にしている何かを、ずっと育み続けている姿勢みたいなもの。それがその宿の果てることない魅力になって、いつ行っても「あー、良かったなぁ。また行きたいなぁ」と感じます。もうひとつは、不断の対応でしょうか。何かのイベント的な「祭り」に頼ることなく、いつ行っても同じ料金、同じおもてなしがハイレベルで供されること。もちろん大型のホテルでこんなことをやるのは無理なお話し。でも、オーナーシェフが切り盛りしているこじんまりとした宿だからできるおもてなしって、やっぱりすごく憧れる対象だと思うんです。

実は蓼科にもう1軒どうしても行きたい(そして2番目によくお邪魔した)宿がありました。こちらもぜひ!と思っていましたが、日程の関係で今回は断念。次回はぜひお邪魔するつもりです・・・。

さて、自分に翻って、四季版おもてなしに磨きをかけなくっちゃー!


美瑛のクリスマス・ツリーを眺めながら・・・。

2012-12-04 02:10:06 | 季節
毎年必ず「ホワイト・クリスマス」を過ごせる美瑛では、今月に入って2本のモミの木に煌びやかなイルミネーションが灯りました。1本は美瑛駅のロータリーに、もう1本は美瑛町役場にあります。
電飾で飾らなくても素晴らしい冬景色に溢れる美瑛にあって、この2本のツリーはちょっぴり美瑛人の心を弾ませてくれる存在です。気持ちが和らぐたくさんの美瑛の冬景色とは違った、何となくワクワクする雰囲気がします。きっと都会にお住まいの方からしたら、あれ?見慣れたものがここにも・・・なんてお感じになるかも知れませんね。

かく言う僕も、美瑛のツリーに灯りがともると、あー綺麗だな、と感じるようになりました(けっこう美瑛人になってきたかもしれません)。そのツリーを眺めながら、今年あったあれこれや来年にやりたいことを取りとめもなく思い出したりしています。
ですので、ここからはひたすら僕個人のメモになってしまいますが、忘れないうちに記しておこうと思います。

2012年のあれこれ。
1月:愛車が当館にやってきました。乗るほどに味のあるヤツです。
2月:Facebookを始めました。未だ使い方がよくわからず・・・。
3月:パン販売のライセンスを取得しました。
4月:当館の助っ人で、親友でもあるねこむすめが挙式。素敵な式でした。
4月:観光行政をお手伝いする役割になりました(重責ですね・・・)。
5月:およそ15年ぶりくらいに渓流釣りに挑戦。釣れて嬉しかった!
6月:お部屋をひとつ増やしました。新コテージが完成。
6月:北海道フードマイスターのライセンス更新。
7月:今年の助っ人が宝塚から来てくれました。さっちゃん、ありがとう!
8月:会社勤めをしていた頃の同志や、学生時代の同窓生が訪ねてくれました。
10月:木をめぐって、新進の写真家と意見交換しました。
11月:岩内の老舗旅館と白馬の老舗ペンションで刺激を受けました。
12月:5年前に乗ったフェリーで再度名古屋から戻り、初心を思い出しました。

2013年にぜひやりたいこと。
・パンとケーキ(デザート)のさらなる充実。
バリエーションを少し増やすとともに、美味しさ、美しさに磨きをかけたいと思います。これは、けっこう僕の中で優先順位的に最上位にあって、すでにいくつか試してみたいこともあるんです。美味しいが嬉しいに、さらには驚きになりますように。

・観光行政に関するアクションを具体化させたいです。
そんなに肩ひじ張ってはいませんが、こころざしある多くの知人の気持ちが少しずつ大きなまとまりになったらいいな、と思うこの頃です。言い出せばきりがありませんが、美瑛の宿屋さんや飲食店さんは、僕のレベルが低いからでしょうけれどもすごく未来のためのことを考えていらっしゃる方がいっぱい。しかも行政に携わる方も素晴らしい人がたくさんいます。行政そのものも、結構がんばっていらっしゃると感じます。そういったあれこれに、ちょっぴり参画させていただく、担う、ということを草の根的にやってみようと考えています。

・おもてなしに関する、ハード面での充実。
できるのにやっていないことって、意外とあります。自分自身の視野には無いけれども、ちょっとしたことで、滞在してくださる方々の快適さが格段によくなること・・・。
それはここ数年で久しぶりに、僕ら自身が行きたいところに泊まってみて感じたあれこれでもあります。

残り4週間で去って行く2012年に、本当にありがとう。そして次にやってくる2013年に、どうぞよろしくお願いします♪

小樽へ・・・、そして旅は続きます(1)。

2012-12-03 01:48:48 | 季節
恒例の(って、どなたもほとんどご存じないとは思いますが・・・)、11月下旬の帰省をして参りました。1つ前の記事にも記載した通りであります。で、せっかく2週間近く宿をお休みいただくことにしましたので(毎年この時期2週間程度です)、いくつか寄り道してみようと決めました。
寄り道の理由は、自分が楽しく美味しく過ごすことが主目的なのですが、それを大真面目に言うってのも大人げありません。つまり、自分自身の進歩のための見聞を兼ねて・・・なーんて言い回しが少しはスマートでしょうか(かえって野暮だとのご指摘は、まぁそうかもしれませんね)。

そもそも事の発端は、9月下旬に当館のコーヒー豆の仕入先「北工房」さんのお誘いです。なんでも岩内(小樽の隣町の余市のそのまた隣町です。海が目の前に広がる、美瑛とは違った魅力あふれる場所でした)に、とても人気の旅館があるから行かないか?と言うのです。とても人気の宿は北海道にも数多ありますが、岩内と言うマイナー(し、失礼しました)な場所からは、ちょっと想像しにくい僕でした。きっとそんな著名とは言えない場所で人気を得ているんだから、すごく魅力のある何かがあるに違いない!と直感して「うん、行く行く!」と二つ返事をしました。

11月20日、北工房さんの誘惑に負けたメンバーは総勢8人。3台のクルマで、一路岩内を目指します。でも、せっかくですから小樽や余市で気になる所に寄って行こうとなりました。何しろ筋書きのない(つまり準備としての計画のない)旅です。南樽市場で昼食を済ませて(ここは可もなく不可も無くでした・・・)、一行のひとりがどうしても寄るべし、というパン屋さんに向かいました。国道5号線、忍路トンネルの手前を丘側へ右折してほどなく行くと、海を見晴らす小高い場所にあるのが知る人ぞ知るパン屋さん、エグ・ヴィヴです。店内の撮影はご遠慮くださいと言うオーナー夫妻のご指摘に従い、写真は外から。気になるパンは、どれもこれもすごく美味しいんです!僕もパンを作る人間として、多少の知識はありますが、美味しさに加えてパンのカタチ(成形して焼き上げた姿)も美しい(美しいパンは美味しいと相場は決まっているんです)。カンパーニュ系(フランスパン系)のハードな物から、クロワッサンに至るまで、どれも美味しかった。あまり人当たりが良いとは言えないオーナー夫妻は、明らかに職人肌タイプ。パンのお値段は少々高いですが、価格以上に素晴らしいパンだと思いました。

美味しいパンを手に入れた後は、ぜひ一度訪れたかったニッカ・ウィスキーの余市工場へ。ニッカはサントリー(当時は壽屋と言ったのかもしれませんね、まだ)に勤務していた竹鶴氏が、妥協できなくて自ら余市に作ったウィスキー生産工場、つまりニッカウィスキー発祥の地。ニッカとサントリーのウィスキーが(あるいはスコットランドのモルトウィスキーが)どう美味しいのかは僕には詳しく語るだけの知識も飲んだ経験もさしてありませんが、日本の誇るウィスキー工場のひとつが余市であることは紛れもないことです。
現在ニッカはアサヒビールホールディングズの一員であり、ニッカとして独立していません。そんなニッカの発祥の地がどうなっているのか、そしてそこで今も続くウィスキーの生産はどんなものなのか、非常に興味がありました。結論的には在りし日の面影を今も大切に残したまま、今もここでウィスキーの製造がおこなわれていたのです。建物も、そして蒸留に欠かせないいくつかの設備も健在でした。販売所で店員さんに聞いてみたところ、現在の工場勤務をしていらっしゃる方は20名ちょっとではないかと教えてくれました。おそらくは数百人が交代勤務をし、かの竹鶴氏もここに住まいを構えていた余市工場が、今では余市名産のわずかなウィスキーを作っているにすぎませんが、諸々の設備や建物の保存状態の良さは特筆に値すると思います。山梨県にあるサントリーの白州蒸留所に比較しても、その歴史の長さから漂う雰囲気は格別な物。よくぞ今もこうして残っていてくれたものだと感心しました。

余市工場で少しウィスキーを購入したあとは一路宿泊先の高島旅館へ。高島旅館は素晴らしい宿でしたが、そのご報告はまた次くらいにさせていただくことにして、翌日一行と別れた僕とカミさんは、小樽の「はち」と言うカフェに立ち寄りました。ここは事前にブログ仲間のマンマケイクさんにあらかじめ教えていただいたカフェ。
コーヒーは、自家焙煎され、しかも豆のグラム数と落とすお湯の量が選べる仕組みになっているんですよね。芸が細かいと言うか、男性心理をうまく突いていると言うか。僕は120ccでカミさんは150ccのコロンビアをいただくと、雑味のない素晴らしいコクが口中に広がって、すごくリラックスしてしまいました。これはもちろんお店の雰囲気がそうさせた部分もありますが、紛れもなくコーヒーが美味しかったのです。

おっと時間が迫って来ました。そろそろ苫小牧まで移動して、フェリーに乗らなくっちゃ。旅の続きにご期待ください(しばらく最近の美瑛情報と、旅の記載が交互しそうです)。

12日ぶりに美瑛に戻ると・・・。

2012-12-02 16:22:10 | 美瑛の風景
しばらくの間、外出しておりました(行く前に書いとけ!とはごもっともなご指摘で、ひたすら「申し訳ありません」とお伝えしたいです)。12日間・・・、帰省中心でしたが、少しお勉強も兼ねて、あちこち足を伸ばしました。その旅日記は少しずつ掲載して行こうと思います。

昨日(12月1日)午後3時過ぎに、家(=小さな宿「四季」)に戻りますと、予想していたこととは言え、およそ35cmの積雪。そして家の中もほぼ0℃まで下がって、まさに冷蔵庫の中にいるような居心地です(それでも外から入って来ると、ちょっぴり暖かい!)。
さっそく水戻しをして(この水抜き&水戻しは、北海道でしか経験できないんじゃないでしょうか。ちょっと面倒なんですよ)、ストーヴに火を入れ、敷地内の雪はねにとりかかりました。昨日の夕方5時には、気温表氷点下14.1℃!さすがに寒かったぁ。夕方6時(この頃には、すっかり日も落ちて真っ暗の美瑛です)にほぼ終了しましたー。
やっと、普通に(僕にとってはかなり快適に)暮らせるようになりました。お風呂に入って除雪の汗を流し、暖まりました。

帰省を兼ねて、およそ2週間ぶりに美瑛に戻ってみると、ここは本当に別世界です!真っ白い丘、クルマにも人にもほとんど行き交わなくて、静かな静かな時間が流れます。
今日は朝ごはんを済ませた後に、何か所か雪景色を撮りに行ってみました。家を出るとすぐ右正面に見えるカラマツ林は、出かける前には秋の装いだったのに、すっかり冬バージョンに変身しています。もう三愛の丘から先は行けないでしょうから(千代田の丘まで伸びるパノラマ・ロードは、三愛までしか除雪されないんですよね)、新栄の丘から美瑛の丘の様子を眺めてみます。なんだか2週間ぶりって言うのと、雪景色ということも手伝って、すごく新鮮。新栄から遠望できる赤い屋根の家(メルヘンの丘)も、その名の通りメルヘンチックです。
この赤い屋根の家、たくさんのCMにも登場していますが、こんなところに住むのは少々大変ですよ・・・。お隣さんがいない、お買い物に行くのに遠い、雪を片付ける面積も広い・・・。え、僕ですか。僕なら・・・移住前だったら赤い屋根の家に、喜んで来ちゃいましたね、きっと。そして、あれこれの不便さをありがたがって(実際ありがたいことだと思うんですよね)、嬉々と暮らしてしまったような気がします。

最後に美馬牛の手前までクルマを走らせて、この時期に美しさを増すクリスマスツリーの木も見て来ました。やっぱりこの木は冬が似合います。残念ながら太陽がすっかり隠れてしまったので、ずいぶん白けた写真になってしまいましたが。
そうそう、以前にもお願いしたことなんですが、このクリスマスツリーの木の根元にまで、雪の上に足跡が残っていました。ここ数日、この木を写真に収めた方はいっぱいいることでしょう。そのうちのほんのわずかな1人か2人の方の心無い行為が、この畑の農家さんを傷つけています。いつまでも美しい美瑛の光景が残って行きますよう、協力して行きませんか?皆さん!