詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

第二十三話「三度目の・・」青春恋愛小説 恋花~KOIBANA~

2012年04月03日 | 恋愛小説「恋花~KOIBANA~」
恋愛小説「恋花」は、
作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。
高校3年生の淡くてせつない恋物語を描いていきたいと思っています♪
純愛をテーマにしているので年齢関係なく読める恋愛小説になっています。

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第二十三話「三度目の」

放課後、もういいかげんうんざりしながら、松田と香川が正門を出ようとすると
「ちょっとあんたたち!」
ととげのある声が後ろからつきささる。

今度は何よ!
といらつきながら
「はい?」
と二人揃って振り向くなり固まってしまった。
そこには、目を三角につりあげた、藤崎紫苑とぶっちょう面の海藤健人、下をうつむいた美咲星波がいた。

「ちょっと、星波に謝ることあるんじゃないの?」
悪意丸出しの視線におもわず体をこわばらしてしまう。

「いいよ。紫苑・・・いいって」
星波が、紫苑の袖をひっぱる。

「だめよ!甘いこと言っちゃ、クリーニング代でもふんだくってやればいいのよ!
水かけられて風邪ひかなかったからいいようなものを!風邪ひいてたら治療費も請求するところよ・・・それに・・・」
というともう一度ギロリとにらむ。

3年生の中できっての美人といわれているだけに、にらむ姿もさまになっている。
「年増!とか ババァ!ってどういうこと!?あんたたちは、3年生の女子全員を敵に回したいの?」
3年生の中でも1、2位を争うほど、男女共に人気が高い紫苑ににらまれて、そんなことを3年生全体に吹聴されたら、先輩が怖い2年生たち全員からハブにされることは必至だ。

「すみませんでした!!本当に申し訳ありませんでした!!!」
不本意だが、決定的な負け戦だ・・・・
松田と香川は、米つきバッタのように何度も何度も星波に向かって頭をさげると
「失礼します!!」
と言い、大慌てで逃げ出した。
いたたまれなくなってうつむいている星波に紫苑が言う。
「いいのよ。2年生になめられるようになったら、3年生の立つ瀬がないじゃない。
星波は優しすぎるからこういうこと言えそうにないしね。」
と紫苑が優しい声で言う。

「そうそう、こういうことは、紫苑にまかせておけばいいんだよ。」
といい、健人が優しく星波の頭に手を置く。

「うん。」

「まぁ、庄司君たちにもこっぴどく怒られたみたいだけどね。」
紫苑の口から飛び出た言葉に、一瞬金縛りにあったように顔をあげる。

「あぁ、たまたまさっきバスケ部の部室の前を通ったとき、庄司君のどなり声が聞こえたから。あの子あんな穏やかそうに見えて、結構すごかったよ・・・・」

誰が・・なんで庄司君が?
わたしはいぶかしそうな顔で健人を見る。

健人も意外そうな顔をして、静かに首を横にふる。

庄司君にまで
庄司君も知っているんだ。
こんなことになってしまって、もう庄司君に合わせる顔がないよ・・・・
片思いでもいいから、もう少し見ていたかったのに
こんな強制シャットダウンのように終わる恋なんて・・・・・

星波は、下をうつむいたまま、唇をかみしめていた。


第二十四話「優しさ」へつづく~





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