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storytellerです。本当に短い物語を書いたり、思い出話や日常の諸々について綴ります。

『神坐す山の物語』浅田次郎

2025-04-13 18:39:09 | 読書

浅田次郎の母親の実家は、奥多摩にある武蔵御嶽神社の神主の家であった。著者は学校が休みになるたび実家へ泊まりに行き、そこで叔母から御嶽神社や御岳山にまつわる話を聞かせてもらった。その話を元に著したのが『神坐す山の物語』である。

徳川家康の関東入封を先達した熊野の修験を先祖に持つ曾祖父には験力(げんりき)が備わり、それを用いて鎮魂術や狐払い等の秘儀を執り行っていた。曾祖父から母親を経由してその血を受け継いだ主人公にも特別な力があるのか、見えざるものが見える。

神上がる人々。

行儀見習。

古くから繰り返される近親婚のために、美しく、透けるような白い肌を持つ女たち。

死の直前に小学生だった主人公を訪れた伯父の魂。

幼い頃天狗にさらわれたと言われ、短い一生を終えた伯母。

姿を消した一人の兵士を探し求め歩く砲兵隊の魂。

天狗岩から捨身(しゃしん)をした行者。

座敷牢に閉じ込められた狐憑き。

そこに描かれているのは、一般庶民の日常とはかけはなれた世界。そこに強く惹かれると同時に、畏敬の念を感じて、思わず居住まいを正した。

わたしは21年前、御岳山に登り、御嶽神社に参拝した。あの時は、緑豊かな奥多摩の山に登って自然を満喫したいという軽い気持ちで出かけたが、この小説を読んだことで御岳山に対する印象が変わった。生きる者と死者の魂とが共存する御岳山。厳かで神聖な場所。

こちらは2004年の夏御嶽山を歩いたときに撮った一枚。この岩にも、それを取り囲む木々にも、聖なる魂が宿っているにちがいない。

追記:

浅田次郎は好きな作家の1人だ。流麗で情緒的な文章、心の琴線に触れる描写に強く惹かれる。特に印象に残っているのが、歴史小説『蒼穹の昴』だ。全4巻の長編だが、壮大なドラマから目が離せないように、あっという間に全巻読了した。7~8年前だったと思うが、もう一度読んでみたくなった。



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10 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (xxkaminosizukuxx)
2025-04-13 19:57:32
(ΦωΦ)じぃー
岩の写真には何も見えませんが、storytellerさんの心に何かの迷いが視えますね〜
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オトシガミさんへ (storyteller)
2025-04-13 20:51:46
>xxkaminosizukuxx さんへ

?心の迷い?道に迷ったことはあったけど、
心はいつも真っすぐなわたし。
だから迷いませ~ん、ふふふ。
真面目な話、21年前に撮ったこの写真を見返すと、
霊場のようなとても神聖な所のように見えて、
ドキッとしました。特にこの岩が。

コメントありがとうございました♪
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Unknown (ポンまま)
2025-04-13 21:32:17
『蒼穹の昴』懐かしいです~(^-^ )
私も読んだのはかなり昔です。
確か2度ほど読んだ記憶が(^o^;)
面白いと思った小説は、続けて2度読むんですよ。
だけど私の中での一番は『天切り松 闇がたり』です。
こちらは何度も何度も読みました。笑
storytellerさんは読まれたことあるかなぁ。
もしまだなら、是非ご一読くださいm(__)m
なんだか記事の内容からずれてしまって
ごめんなさ~いm(__)m
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Unknown (くぁんみぃ♡)
2025-04-13 22:49:29
長編小説を、一気に、4冊も読んでしまうなんてっ!
相変わらず、storytellerさんは、スゴイなぁ!
集中力が、あるのでしょうね。(˶¯ᵕ¯˶) 🌸✨

私も、storytellerさんが仰る通り、山の木々にも、岩にも、魂は宿っていると思います。
もしかしたら… 人の化身が宿っているのかも… とも思います。
いつも真っ直ぐで、慈しみの御心を持つ、storytellerさんっ♡
山で穢れを落とし、浄められた貴女に、憧れる人は多いと思います。( ◜◡◝ ) 🌸✨
実は… わたしも、その、ひとりです。内緒ですよっ!( ぼそっ )

くぁんみぃ♡
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ポンままさんへ (storyteller)
2025-04-14 07:45:05
>ポンまま さんへ

おはようございます。
ポンままさんも『蒼穹の昴』読まれたのですね!しかも2度も!!
『天切り松 闇がたり』は未読です。気になってあらすじを
チェックしたら、なるほど面白そう~。
図書館にあったら借りて読んでみます。
楽しみ!

コメントありがとうございました♪
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くぁんみぃ♡ さんへ (storyteller)
2025-04-14 07:48:53
>くぁんみぃ♡ さんへ

おはようございます。
面白い!と思ったら無我夢中になり、
周りが見えなくなるタイプです。
集中力がある時と無い時との差が激し過ぎるのも
困りものです 苦笑。

くぁんみぃ♡ さんは、感受性がとても豊かで、
人に見えない聞こえない何かを感じ取れるのかな、って
印象があります。
この主人公に通じるものがあるかも!?

え~、そんなに褒めていただいたら岩場の陰に
隠れたくなります 笑。でも嬉しいです。

コメントありがとうございました♪
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Unknown (fairy333)
2025-04-14 13:09:40
storytellerさん

突然ですがショックです!
このgooブログが今年の11月で終了するというのです。
なんかの間違えであってほしいです。
多摩爺様からお聞きしました。
どうなるかハラハラします。

今回の山について、昔は山は女人禁制となってたと聞きました。
あの富士山までも女性は登ることはできなかったそうです。
日本の山は女神が住むと言われ、女性が立ち入ると女神を怒らせて災害が起こると考えられたそうです。
そんな昔に生まれなくて良かったです。

しかし、現在でも日本に4箇所、女人禁制の山が存在してました。
でも大丈夫、関東、東海地方にはないから。
山の女神は嫉妬深いのかしらね。
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fairyさんへ (storyteller)
2025-04-14 14:42:47
>fairy333 さんへ

こんにちは。
わたしも今帰宅してブログの編集ページを開いたら、
goo blogサービス終了のお知らせがあって、
ショックを受けています。
え~、悲しい。このブログを通じていろいろな人と出会い、
親しくなり(オンライン上で)、とても楽しい時間を過ごせていたのに。
ブログを止めるのは不本意なので、どこか別のところで
続けたいと思っていますが、今しばらくはこのままここで。
落ち着いたらじっくり引っ越し先を考えます。
fairyさん、もしお引越しが決まったら絶対教えてね!!!
このまま永遠のお別れなんて耐えられないから~涙。

女人禁制の山。
女神を怒らせると災害が起きる、なんて
そりゃひどいわ~。
むかしは男尊女卑が極端だったから、仕方ないのかもしれない。
ともあれ、これから山歩きをするときは、遊び半分軽々しい気持ちではなく、
山に入らせていただきます、と感謝の気持ちを持とうと思いました。

コメントありがとうございました♪
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Unknown (ushi_7)
2025-04-15 05:25:26
『神坐す山の物語』
なんか書店で見たような…
思い出の場所や自宅周辺の
話しって読みたくなったり
しますよね。
より親近感が湧いてさらに
そこを好きになるし
また、違った視点で楽しめますね

御嶽神社の本殿の狛犬は
ニホンオオカミだって言われてます
由来は日本書紀に書かれてる
らしく古くから山岳信仰深い
山だったのだと思います
今では ฅ՞•ﻌ•՞ฅワン♡の山が定着し
可愛い犬連れでお参りする方や
逞しい犬と大岳山迄登る人も
多いですよ~
また、御嶽山はレンゲショウマ🌸
が有名です
可愛い花が似合う
storytellerさんには
夏がおすすめかもꉂ🤗
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うっしーさんへ (storyteller)
2025-04-15 06:59:19
>ushi_7 さんへ

おはようございます。
この本を図書館で見つけた時、山の話というところに惹かれて
借りたので、舞台が御岳山とは知らず。
読み始めてどきどきしました。あ~あの時登った山だって気づいて。

山岳信仰が深い山なんですね。
え~、あの道をワンちゃんたちと登るんですか!
みんな元気だわ~。
確かに、人間よりワンちゃんのほうが足は強そう 笑。

レンゲショウマ!!!いろんな人のブログで見かけて、
一度見てみたい!って思ってるんです。
夏ですね、今年の7月か8月に登ってみよう!
わくわく。

コメントありがとうございました♪
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