「ご切腹」とか「お腹を召す」とかいう言い方にそそられるものがある。
ご切腹、という言い方はやっぱり目上の人間の切腹に対して使うのだろう。上司、年長の親族とか、昔の人とか。男女や、武家かそうでないか限らず使ってるようだ。忠臣蔵で「内匠頭様、田村右京太夫様の御屋敷にて即日ご切腹!」とか言ったりしてそう。「ナントカカントカ…みな、ご切腹~」とかいうわらべ歌もあったような気がする(うろ覚え過ぎる…)。忠臣蔵の四十七士とか、白虎隊十九人とかも「みな、ご切腹」って言われたりするんだろうな。明治以降、切腹刑が廃止されたあとの腹切り自殺は割腹と呼ばれることが多いけど、「ご割腹」っていうのは聞いたことがない。なんでだろ?
お腹を召す、っていうのは時代劇なんかだと主に武家の女性が使ってるような気がする。「お腹(なか)」ではなく「お腹(はら)」なのだ。「切る」と直接的に言わずに「召す」とニゴしている。武家の新妻が「お富の悲鳴を聞いて何事かとお部屋に入りましたところ、すでに一朗太様はお腹を召された後でございました…(さめざめと泣く)」とか言ったりする。
そそられるのは“お腹を召す武士の姿”を想像するからだろう。と同時に「腹を搔っ捌く」とか「真一文字に掻っ切って」とかいう言い方にはない上品さを感じるから、かもしれない。端正な顔立ちの若侍が、死装束かそれに近い整った格好で、正座のまま前に突っ伏し鬢に遅れ毛を一本垂らし、表情は憂いを帯びているが苦悶の相は薄く、血溜まりも大きくなく苦痛にのたうちまわった形跡もない、室内にはすでに線香の煙が焚かれている、…という感じ。江戸時代の切腹、というイメージだ。
「お腹召しませ」という浅田次郎の短編集がある。
そういえば黒鉄ヒロシの新撰組が題材の漫画に「お腹召しませ♪」と歌う花売り娘が出てくるコマがある。本来は「花を召しませ」なのだが。笑いながら腹を切ったり、コロンと首が落ちたり…黒鉄ヒロシのこういうブラックユーモアは好きだ。
ご切腹、という言い方はやっぱり目上の人間の切腹に対して使うのだろう。上司、年長の親族とか、昔の人とか。男女や、武家かそうでないか限らず使ってるようだ。忠臣蔵で「内匠頭様、田村右京太夫様の御屋敷にて即日ご切腹!」とか言ったりしてそう。「ナントカカントカ…みな、ご切腹~」とかいうわらべ歌もあったような気がする(うろ覚え過ぎる…)。忠臣蔵の四十七士とか、白虎隊十九人とかも「みな、ご切腹」って言われたりするんだろうな。明治以降、切腹刑が廃止されたあとの腹切り自殺は割腹と呼ばれることが多いけど、「ご割腹」っていうのは聞いたことがない。なんでだろ?
お腹を召す、っていうのは時代劇なんかだと主に武家の女性が使ってるような気がする。「お腹(なか)」ではなく「お腹(はら)」なのだ。「切る」と直接的に言わずに「召す」とニゴしている。武家の新妻が「お富の悲鳴を聞いて何事かとお部屋に入りましたところ、すでに一朗太様はお腹を召された後でございました…(さめざめと泣く)」とか言ったりする。
そそられるのは“お腹を召す武士の姿”を想像するからだろう。と同時に「腹を搔っ捌く」とか「真一文字に掻っ切って」とかいう言い方にはない上品さを感じるから、かもしれない。端正な顔立ちの若侍が、死装束かそれに近い整った格好で、正座のまま前に突っ伏し鬢に遅れ毛を一本垂らし、表情は憂いを帯びているが苦悶の相は薄く、血溜まりも大きくなく苦痛にのたうちまわった形跡もない、室内にはすでに線香の煙が焚かれている、…という感じ。江戸時代の切腹、というイメージだ。
「お腹召しませ」という浅田次郎の短編集がある。
そういえば黒鉄ヒロシの新撰組が題材の漫画に「お腹召しませ♪」と歌う花売り娘が出てくるコマがある。本来は「花を召しませ」なのだが。笑いながら腹を切ったり、コロンと首が落ちたり…黒鉄ヒロシのこういうブラックユーモアは好きだ。
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