千盡仙人

◇ 佐藤千盡の油彩画

◇ photo <時の彼方に> senjinsennin

#21〜#25 ◇ 胸に刺さった光る釘 相生月子卑弥呼抄 回想 千盡仙人

2020-01-18 01:21:00 | 相生月子卑弥呼抄 回想 千盡仙人




#21
◇ 馬鹿だねえほんとにお前は馬鹿だねえ
171116
*何気なく装うラインに胸詰まり何度も何度も深呼吸

*繰り返し自分に言ふよ馬鹿だねえほんとにお前は馬鹿だねえ

*木の影に鴨が来てます番ひです

*スーパーの明かりが消えたよ 22時 待つのをやめてもう帰ったら

171117
*君を思ふ心のままに走ったがライン返らずまたも固まる

*ラインの返って来ない沈黙を心静かに受けるしかないの

*地球外天体からのメール待つそんな気持ちの貴女のメール

*気付かずに手傷に深手ずいぶんと負ってるようです貴女への愛

*貴女には私の愛のそのすべて捧げましたよもう抜け殻ね

*君なしで生きていくすべ知らぬまま日月は過ぎていくのでしょうね

*身のまわり家の周りを片ずけて綺麗にこの世さよならします

*捨てたのね 僕をきっぱり 切り捨てた そうなのですね それが悲しい



#22 ◇ 立ち昇る 焚き火の煙 青空に
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*在りもせん そんな自分で あったけど そんなものすら 見失ったよ

*自分でも 見限りたいよ 自嘲する なんの魅力も ない男だね

*冬の夜山崎ハコを聴いてます貴女のいない冬の夜です

*夜のまま 朝っぱらからハコちゃんで 冬の朝陽が部屋に明るい

171120
*苦しみも悲しみもなく喜びも風か老い果て我が恋終はる

*我が恋は 一陣の風 老いらくの 恋はさわさわ 吹き過ぎにけり

*老い果ての 恋のをはりに ありありと 余算道見ゆ 一人行く道

*老い果ての 恋や百日 凄まじい 嵐吹き荒れ 過ぎ去りにけり

*恋の夢 痴呆の夢は まさに夢 平謝りに あやまりまする

171121
*立ち昇る 焚き火の煙 青空に 消え入るような 我が愛の末

171122
*をみなごの温み恋しや懐かしや宇宙の果てまで携え行かん

*我が恋や愛するすべて不可思議な記憶の中に在るだけなのね

*私は 記憶を生きる だけなのね 貴女のすべて ワスレマセンヨ

*どれほど愛していても許せないそんなはずないそんなはずは無い


#23
◇ 老いらくの恋の顛末あっけなく
171123 勤労感謝の日
*虚しさに心覆はれ朝からの酒に紛らすいかに堪えよう

*私の 愛などいらぬ。貴女は 立派に自立 寂しさの果て

*とってつけた愛の言葉は耳障りいやそれよりも馬耳東風

*もう無理 愛の言葉を告げるのは私捨てられいつも一人で

*一条の光が射すのを信じます。私の命貴女への愛

171202
*老いらくの恋の顛末あっけなく手玉に取られころころころり

*痛む胸もうこれ以上無理だとの信号が出た恋の終焉

*痛む胸もうここまでと信号が出てしまったよ恋は終はった

*貴女に釘を刺されて身動きができない私。呼吸困難

*知らんのね無邪気そのもの言動に喜び溢れ傷つくおいら

*要らないの もう本当に 要らないの 危険信号 恋の終はりの

* 本当に もういいんだよ 傷ついた ハートが赤く 点滅してる

*もうだめと 自己防衛の 本能が 働きました さようなら君

*駐車場暫しとどまるスーパーの冬の日向や恋の痛手よ

*息を詰め口を引き締め日を過ごす恋の痛手を溜息に吐き

*忘却の中に押し込み流し捨て色恋愛を無きものにする


#24

171203
*あろうことか身の衰えに夢にまで恋の痛手は責め苛むよ

*いいようにあしらわれたよ隙を見せ心寄せれば思うがままに

*恋を刺す きつい言葉で釘を刺し、私のこころ 身も動けずに

171204
*眠ったよひたすら眠り眠ったよ何か忘れたような気がする

*さよならを言ってしまった後悔の後ろ振り向く心根あはれ

*何よりもまず今日のことチェーンソー恋の痛手を消すエンジンの音

*酒を断つ体弱ればなをのこと心励まし忘却作業

171205
*色恋のことはさておき痛手にも歯を食いしばり野良仕事する

*さよならをした子のことが頭から離れないのよ切ない話

171206
*喪失の表情を見る切なさも記憶すらも消え何も見ない目

*夢の中で しきりにメール打たんとす。いやダメだよと キャンセルにする

*いっそ死を選びましょうか、すべて尽き。できないことは分かっているけど

*怯えた目貴女の孤独受け止めるこの胸叩く貴女はどこに

*老いぼれの惨めな恋の顛末を歌に素直に詠み留(とど)めます


#25
◇ 胸に刺さった光る釘
171207
*指を折り数えています九日は彼が貴女に逢ひに来る日ね

171208
*そんなこと! 呼吸困難しっかりと貴女に釘を刺されてしまった

*誰かこの胸に刺さった光る釘抜いてください呼吸困難

*目の奥の方でなにかが潤んでる、共に過ごした日々を思ふよ

*さよならを言ってしまつた。またいつか きっと会いましょ ごめんなさいね

171209
*約束の貴女が彼に逢ふ日よね。今日は朝から口が重たい

171210
*老いらくの恋を諦め、いくたびも 聴き入りにけり。If You Go Away

171211
*恋に病みぎりぎりまでを耐え抜いてそこに一体何を見るでしょ

*この痛み耐え果(おお)せるかこの胸が恋に崩れるどうなるのかな

171212
*恋人と男の逢瀬終わったよ次の約束交わせたかしら

171213
*2週間ラインを控えスタンプを送れば嬉し直ぐのリターン

*もう二度とラインを絶つは愚かだと身にしみてこそつくづく思へ

*双子座の流星群のライン来る胸の鼓動や凍て空に冴ゆ

171214
*ながいこと一人ぼっちの日が過ぎて老いの孤独はさらに深まる

*これほどの 孤独は知らず 老いて今 ほんとに一人 独りぼっち

◇双子座流星群
*これほどに独りぼっちであったとは老いの身の影流れ星かも

*見捨てられ 身のほどを知る。嘆かひの 八十路の前の 恋の終はりよ