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「峡谷VS扇状地」志水哲也×米田利昭写真展 紹介!!

2017年11月08日 | セレネ美術館

現在、黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館では、

「峡谷VS扇状地」志水哲也×米田利昭写真展を開催いたしております。

 

黒部という地を上流(黒部峡谷)と下流(扇状地)の二つに分け、

その魅力を、それぞれの場所に密着して生きる二人の写真家「志水哲也」と「米田利昭」の作品100点によって紹介する展覧会です。

 

11月5日には、野村真美さんにお越しいただき、お二人を交えたトークショーも行われました。

お二人の作品を交えながら、和やかなお話となりました。

持ち込み写真の評論会や質疑応答もあり、ちょっとした「研究会」というような雰囲気にもなりました。

ご来場いただいた皆様方、ありがとうございました。

 

 

ブログでは、少し展示の様子や黒部の自然について、ご紹介しようと思います。

入口から入ると、展示が二手に分かれており、お二人の写真作品が「どんっ!」と目に入ってきます。

「峡谷」と「扇状地」の違いを瞬時に感じるかと思います。

二手に分かれた壁面を峡谷にみたて、扇形に広がった展示は、扇状地を意識しレイアウトをしています。

黒部の扇状地を上空からみたら、こんな風に広がります。

 

「峡谷」と「扇状地」について、ご説明いたします。

「黒部峡谷」とは、鷲羽岳を源に流れる黒部川上流から中流にある峡谷(V字状の谷)のことをいいます。

峡谷は、立山・剱岳・薬師岳などの立山連邦と白馬岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳などの後立山連邦の間に挟まれています。

峡谷流域は、豪雪地帯でもあり、四季を通し水量も多く、流れも速いのが特徴的です。また、浸食により、多くの渓流を形成します。

黒部湖を境に、上流側を「上の廊下(かみのろうか)」、下流側を「下の廊下(しものろうか)」と呼びます。

上の廊下は、下の廊下ほど、険しくはないそうですが、登山道はなく、秘境の場所です。

下の廊下は、V字の岩壁の間に激流が流れており、白竜峡、十字峡、S字峡などの景勝地があります。

下の廊下より下流には、飛竜峡、奥鐘山などがあります。

黒部川は、中流の峡谷から、トロッコ電車で行くことが出来る欅平、そして宇奈月温泉へと流れていきます。

やがて黒部川は、山から日本海に向かって扇状に広がる扇状地へと流れていきます。

 

黒部川はこれまでに、幾多の洪水を繰り返してきました。その洪水によってできた地形が、「黒部川扇状地」です。

宇奈月温泉から少し下流、ちょうど山が途切れるところ、愛本橋がかかるあたりから、

扇角約60度の角度で、日本海まで広がっています。

黒部川扇状地は地下水が豊富で、多くの湧水があります。「黒部川扇状湧水群」とよばれ、名水百選にも選ばれています。

山側や海側から眺める扇状地の景色には、変化に富んできた雄大な自然や人の営み、「悠久の大地」の歴史を感じとることが出来ます。

 

 米田さんの展示の様子。この壁面の裏側にも、作品があります。

 志水さんの展示の様子。こちらは裏側の様子で、表側や外側壁面などにも、写真が飾られています。

  

運がよければ、米田さん、志水さんにもあえます。

写真のことや、撮影現場のことを丁寧に解説していただけたりもします。

上の写真は、白神山地でのドキュメンタリー作品をみんなでみてみようとなって、上映が始まった様子。

ちょっと研究会のようになり、面白かったです。その人、その人によって、素敵な出会いがあるかと思います!

 

朱鷺の展示もあります。朱鷺の表情まで、見て取れます!

平成17年に新潟県佐渡市で生まれた朱鷺が、平成21年に黒部市にやってきてくれました。

黒部市民には、「トキメキ」の名で知られています。

トキメキちゃんいまいずこっ!「ぐっ」と想いをはせる展示です。

 

こちらは野鳥のコーナー。「墓の木自然公園」の野鳥を志水さんが撮影したもの。

黒部川に渡ってくる野鳥たちの中継基地となっており、黒部峡谷の野鳥たちも、ほぼこの場所で見ることが出来ます。

作品が分散したレイアウトになっていて、木々にとまる野鳥たちを自然に見ているような鑑賞ができます。

 

 

 

鑑賞者は、鑑賞の最後になると、いつしか、日頃生活で見ている景色が、思い浮かんでくるのではないでしょうか。

黒部峡谷や扇状地には、独特の景色があるわけですが、そのような風景と比較して、

自らの住まう景色を思い出さずにはいられないかと思います。

作品を通して、「自然の何がすばらしいか」という事は当然あるわけですが、比較することによって、

どちらも違うけれど、「すばらしい!」という事に気づかせてくれるかと思います。

海外の方も見に来られていました。両手をあげて"Amazing!"といって、帰られました(笑)が、その"Amazing!"の中には、

黒部の、あるいは、日本の美しさに感動したということと同時に、

比較する中で生まれる自国の、あるいは故郷の美しさについても、感動していたのではないかと思います。

 

お二人の写真の展示を通して感じることは、黒部という自然の美しさだけではなく、

そこから派生する私たち自身の感性の豊かさや自然への愛情ではなかろうかと思います。

 

展示期間は、11月23日(木・祝)までです。

開館時間は、9時~17時30分(入館は、17時まで)。

休館日は、毎週火曜日。

入館料:700円

写真集や来年度のカレンダーなどの販売も行っています!

入場券には、セレネ美術館2F、「黒部峡谷日本画展 ―悠久の大地 黒部より―」もセットになっており、ご覧いただけます。

7人の画家が挑んだ、「悠久の大地」黒部とは!

同じ黒部をテーマにしており、「絵画」と「写真」を比較して、鑑賞するのも楽しいかと。ぜひ、ご覧ください!!

3階や2階カフェからの景色もきれいです!

 

黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館

富山県黒部市宇奈月温泉6-3

TEL0765-62-2000 セレネHP