(ホワイトサンズ)
遅くなりましたが、みなさま、明けまして、おめでとうございます。
昨年も皆様には大変お世話になりました。改めて御礼申し上げます。今年は昨年以上に多くの事を学び、皆様にご満足いただけるよう邁
進してまいりますので、引き続き、本年もよろしくお願いいたします。
アメリカにはおよそ60箇所の国立公園と無数の自然保護区が存在し、その多くが西部から南西部にかけて集中しています。地球が誕生し
約46億年が経つそうですが、太古の昔から連綿と続くアメリカの雄大な自然の数々は、訪れる者を感動させ、地球の素晴らしさを堪能させ
てくれます。筆舌に尽くしがたいほどの雄大さと存在感を放つ大自然の光景は、きっと忘れられない感動を生むことでしょう。
アメリカ南西部に位置するニューメキシコ州の南部、グアダルーペ山脈の裾野に広がるチワワン砂漠にあるカールスバッド国立公園の洞
窟群は、今からおよそ2億5千年前に形成され始めたといわれています。大陸の移動や隆起などを経て、石灰岩の地層に空洞が出来上がり、
やがて現在見られるような世界屈指の大きさを誇る鍾乳洞が出来上がったのです。
アメリカ先住民達もこの鍾乳洞の存在を知っていました。彼らはここで実際に生活をしていたわけではなく、一時的に避難所として利用していたようです。そのため、スペインの入植者達にもここは発見されませんでした。巨大な鍾乳洞が世に知れ渡るようになるのは19世紀まで待たなければなりませんでした。偶然、この辺りで暮していたヨーロッパからの開拓民が、この鍾乳洞内を夕暮れに飛び回る無数のコウモリを発見し、その糞を肥料として活用しようと考えました。最初は鳥糞石の採取のみを目的として洞穴に入っていましたが、のちにここが単なる洞穴ではなく、壮大な地下世界を有し、自然が創り上げた巨大な鍾乳石群の宝庫であることがわかりました。公園内には110を越える洞窟が発見され、その中には深さ489m、アメリカ最深のものも見つかっています。
現在、観光用にしっかりと内部も整備され、日中コウモリが睡眠をとる中央入口から、地下深くへと階段で一段一段降りていく事も出来ますし、エレベーターを利用し、わずか1分で一気に鍾乳洞の中心部へと降りていく事も可能です。そして、夕暮れ時には、空いっぱいに羽ばたくコウモリの大飛翔を見られるチャンスもあります。
ニューメキシコ州のほぼ中央に位置するホワイトサンズ国定記念物は、世界でも類を見ない白い石膏を主成分とする砂丘です。ホワイトサンズの砂の主成分である石膏は、今からおよそ2億4万年前にこの周辺を覆っていた浅い海の底に推積したのがその始まりとされています。石膏は水溶性であるため、砂という形ではなかなか見かけることがありませんが、ホワイトサンズ周辺の山脈に降る雨や雪解け水は、それらの岩の中に含まれる石膏を溶かし出し、ホワイトサンズ国定記念物があるトゥラロサ盆地へと流れ込みます。水の中に溶けこんだ石膏は、通常川に流れ込み、そのまま海へと運ばれていきますが、トゥラロサ盆地には川がないため、石膏を含んだ水は行き場を失い、盆地で最も標高の低いルセロ湖に貯まります。ですが、この湖の水が蒸発すると、石膏の結晶が地表面に残り、激しい気温や湿度の変化にさらされ、風化されていくこととなります。石膏の結晶は長い年月をかけて少しずつ壊れて砂粒となり、強い風を受けてホワイトサンズまで運ばれていくことで、現在見られるような美しい風紋を帯びた真白な砂丘群が完成しました。
今でも1年間に約90mも移動する砂丘もあり、まさに生ける砂丘と言われる所以です。ここが生き物にとっては、非情に厳しい環境であることは間違いないのですが、そんな中でも健気に生きる小動物や植物も見られます。裸足で歩いてみると、砂というよりも小麦粉(?)の上を歩いているような感覚があり、またひんやりと気持ちもいいので是非お試しください。
広大な面積を有する国定記念物ですが、さすがはアメリカ、しっかりと清潔なトイレも完備されています。ご心配なく砂丘でのゆっくりとした滞在をお楽しみください。天候がよければ、真白な砂丘に沈む夕陽鑑賞もご覧いただけます。(川崎大地)
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