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皇室の名品・後期(京都国立近代美術館)

2014年01月12日 20時37分40秒 | 鑑賞記録(2011・2012年中断)

日本画については、ほとんど変わっていて、結構な見応えだった。
松園の「雪月花」は回顧展で見られなかったので、念願。
月の表情がいいけれど、やはり雪。御簾の表現が美しいなあ。
前田青邨の唐獅子屏風が気に入った。
唐獅子をああいう動きで描いている作品は見たことがない。
愛らしいけれど迫力もあって好きだなあ。

一番の目的、柴田是真の漆画帖は、やはり素晴らしかった。
杜若の色彩、岩の質感、五重塔の細かさ、牛小屋の厚み、野菜に寄る蟻。
あれを見られただけでも十分満足。900円の価値は十分あった。

堆朱を見られたのも良かった。
あれが全て漆で出来ているなんて、信じられない。
その上、あの細やかな細工。
この大きさでこの存在感、
逸見東洋の作品はさぞかし凄いのだろうと想像された。

木製の裁縫箱にほどこされた象眼も素晴らしかった。
色彩はぐっとおさえられているけれど、
それが灰色がかった木地に合っていて、
装飾度合いはもの凄いのに、全然ごてごてしていない。
様々な素材を木地に象眼するその技術に感歎する。

安藤緑山の牙彫は、今回の椿にさらなる衝撃を受けた。
葉っぱの艶と色の感じ、花びらの薄さとなめらかさ。
本物ではないのに、そこに命を感じる。
柿も凄かったけれど、私は断然この椿だ。

孔雀図刺繍壁掛にはその大きさと細かさに驚愕。
鵞鳥の卵に蒔絵を施した器にも驚いた。

上げれば切りがない。
どれもこれも壮絶な技術と労力と熱意の賜物だろう。
人間業じゃない。
今とは生きた世界が違う。かつての日本人の手は、本当に素晴らしかったんだ。
もっと注目されて良い。



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