巨人の原監督が、セリーグもDH制(指名打者制度)を採用すべきであると発言し、それを受けて巨人サイドから、その提案がされ、セリーグの理事会で諮られたのですが、結果は否決されたとのことです。否決の理由は、「本来、野球というものは打って、守って、走るものである。」とまあ、そんなようなことのようです。もちろん、全体的には「打って守って走って」は損なわれていないのですが、指名打者を担当する選手が守備につかない。投手が打席に立たないのは、野球らしくないということなのでしょう。
そもそも、原監督がその提案をした背景には、二年連続、日本シリーズでソフトバンクに4対0で完敗したことがあるのでしょう。DH制を採用しているパリーグの方が投手は厳しい環境でプレーしていて、その分、投手のレベルも向上して結果的にチーム力もアップするようです。確かに、ここしばらく日本シリーズで勝つのはパリーグばかりです。
そういったこともありますが、プロ野球を観戦する側、というか、少なくとも私個人の見方からしますと、基本的に投手が打席に立つのは退屈です。試合の終盤あたりで、大量リードしている側の投手が打席に立った場合、ベースから離れた位置に立って、わざと三振して、三振直後、相手チームの捕手からボールを受けてマウンドに向かうという場面をこれまで何度も見ています。あれこそ、本来の野球のあるべき姿から逸脱しています。もし、試合の終盤で大量リードのチームの打者が投手以外の野手か指名打者の場合、決してわざと三振するようなことはないでしょう。なぜなら、そんなことをすれば、自分の打撃成績に関わってきて、直接的に次年度の年俸や契約に影響するからです。その点、投手は打撃成績を全く期待されていないので、そういうことが起きるのです。
もちろん、高校野球の場合ですと、DH制はしないほうが良いでしょう。高校生のとき投手でプロに入ってから野手になる選手は無数にいますし、四番でピッチャーの選手も多いし、それこそ、野球の醍醐味は失われるでしょう。しかし、プロ野球になると、事情は違います。投手としてのプロ、バッターとしてのプロとして、専業化が進んでいますから、投手の打撃は、野手がピッチャーをするようなものです。
今の時期は、プロ野球は春の開幕に向けての調整中で、まだ二カ月ほどあります。もし、DH制を採用したとしても、全くと言ってよいほど、何の支障もないでしょう。準備もお金も一切掛からない。ピッチャーは打撃練習をしなくてよいし、野手は一人余分に出場機会が増えるし、しかも、そのほうが観戦する側も面白いし、良いことしか思い当たりません。今からでも遅くありません。準備期間などは全くいらないし、理事会の決定を撤回して、是非ともDH制を採用するべきです。