老中の市井日記

理想を失うことなく老いの中を楽しみながら、日々発見、日々刺激、日々出会いを大切にしていきたいと思っています

風景のジャメヴュとまなざしのデザイン

2015-06-02 13:31:02 | 大阪府大
先週金曜日の夜、「I-siteなんば」で今年最初の「校友懇話会」を開催しました。
アーティスト、ラウンドスケープデザイナー、そして俳優といろいろな顔を
お持ちの花村周寛さんの講演です。

ランドスケープデザインをベースにした自身の研究活動や様々な表現活動の紹介
を通じて、目の前の風景が異なって見える風景異化という考え方と、どうすれば
モノの見方を変えていけるのかという「まなざしのデザイン」について
解説されました。

気になるメモ:
・「視点=人のまなざし」をデザインすることで風景は変えられるという
 「風景異化」の考え方
・風景は物理的な物、人が織り成す状況、制度など目に見えないものなど
・こうした場所にまつわるすべての事柄を考えて風景はデザインする必要がある
・自らの視点を変えることで風景は変化させることが出来る
・心の状態を変えてあげることで違った風景が見える
・風景は場所に対して自分がどのようなまなざしを向けるかという関係性で
 できている

まなざしのデザインの事例として病院などをあげられました。人の生死に関わる
公共空間として最も厳しい場所である病院において、人々のまなざしをデザインし
人の心の支えになればと思い。    それは、

病院の吹き抜け空間で行うインスタレーション「霧はれて光きたる春」です。
病院の吹き抜け空間で下から大量の霧を吹き上げて一旦視界を遮り、それが晴れるか
晴れないかのタイミングで空から無数のシャボン玉が降ってくるものです。

価値がないと思われている吹き抜けという場所に、音とともに奇跡的な風景を
起こします。患者も医者も看護士も、子どももお年よりもみんなここに出てきて
一つの奇跡的な風景を共有する。この空間を見上げているときは、医者とか
看護師とか患者とか、立場や病状といった病院内での「役」を忘れてフラットに
なる。「ただの人」になるんです。

この作品は、2012年の「日本空間デザイン賞」で大賞に選ばれました。

同じ道を毎日歩いていると新しい発見が減っていくように、私たちのまなざしは
徐々に固定化していきます。この固定化したまなざしをデザインすることで、
新しい見方をつくる。大きなヒントを頂いたようです。ありがとうございました。



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