老中の市井日記

理想を失うことなく老いの中を楽しみながら、日々発見、日々刺激、日々出会いを大切にしていきたいと思っています

コミュニケーションを言葉で教える時代

2010-10-06 05:21:28 | 大阪府大
大阪府立大学のホームカミングデーを白鷺祭(大学祭)の最後の日11月7日に開催する
まであと1ヶ月に迫りました。そのプログラムの関係で白鷺祭実行委員会やクラブの方々、
学生と打ち合わせる機会が多くなっています。その時ふと先月の日経新聞に書かれていた
映画監督の山田洋次さんの記事「コミュニケーションを言葉で教える時代」を思い出し
ました。(一部引用)

若者のコミュニケーション能力が落ちたと言われています。取り戻すには何が必要か?
このことを山田洋次監督は、立命館大学の学生22人と一緒に作った作品「京都太秦物語」
を経験して語っています。

学生への最初の指示は、物語の舞台となる商店街の人々と人間関係を築くことでした。
全員に分担を決めて、経営内容から家族構成、あらゆることを聞いて仲良くなりなさいと。
なぜなら、映画を学ぶことは、人間を学ぶことから始まるからです。これは大概の
仕事にもいえます。

いろいろな価値観や人生を抱えた人を知る、相手の気持ちを受け止め、こちらの
気持ちを的確に伝える、そのために言葉を磨く。機材を使い方を覚えるよりもずっと
本質的で大事なことです。これは映画だけでなくあらゆることに通じるものがあります。

山田洋次監督が下っ端の助監督時代の弁当を配る係だった時、「僕はこんな仕事を
するために撮影所に入ったんじゃない」と先輩に訴えると、「この中には肉が食べられ
ない人のために肉を抜いた弁当がある。漬物を抜いた弁当がある。それを一人ひとり
の顔を見ながら配れば、この人は肉が嫌いなんだな、どうしてかなと考える。少しづつ
相手のことが判ってくる。そうやって相手の個性を理解していくことが人間のイロハ
なんだ」

アメリカの大学の映画芸術学部の撮影スタッフの教科書の第1条には「朝、撮影監督
においしいコーヒーを入れること」とあります。コーヒー1杯を入れるにも相手を理解し、
好みの量、熱さ、砂糖やミルクの有無を知らなければならない。それが人間を理解する
力を養います。

今の若者はコミュニケーション能力が低いと言われていますが、引き出す機会に
恵まれていないだけです。だから、力を引き出す場を与えることが必要です。
そういう意味では、大学祭の実行委員会などの経験は正にその「場」なのでしょう。

コミュニケーションを言葉で教える時代にもなりました。昔の日本の職場では、
「仕事のやり方は先輩から盗め」と言って口では教えて貰えなかったものでした
。一所懸命、怖いボスのやり方を真似してました。

そのやり方で技術が伝承できました。でも、じっくりと観察するゆとりのない現代
には通用しません。我々先輩は、ちゃんと言葉で教える努力を求められています。


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