マンション管理士綾さんのブログ

マンション管理士は「正義の味方・月光仮面」?

そこにマンション管理士の存在理由があります。

2015-02-23 00:02:59 | 随想

 あくまで管理組合の側に立つマンション管理士の出番   

先にアップした小論について、県マンション管理士会の会報、巻頭言に投稿することになったのを機会に、
今少し、別の面からの思考を付け加えて、本日修正した。読者のみなさん、あとの半分が新しくなったもの
です。ぜひ最後まで、ご一読ください。 謝

いつも示唆に富んだ記事があり、敬意をもって拝読させて頂いている、ある管理組合団体の新聞に「管理会社のあるべき姿とは」という論説記事が載った。

論者は、最近の管理会社の再編、合従連携の動きに触れて、「そもそも管理会社とは何か、管理会社の本来の役割は何か」について考えたいと問題提起しており、私も自分なりに考えてみたいと本稿を起こした。

論者は、①管理会社とは、実はその名称とは異なり、「管理の会社」ではなく「管理業務実施会社」のはずである。②管理会社は管理の主体である管理組合との「管理委託契約(本来は「管理業務委託契約」)に基づき「管理業務」を遂行する会社である。③したがって、管理会社の本来の役割は、管理の主体である管理組合の自立性を前提とし、そこからの発注による「管理業務」を適切・誠実に遂行するところにある、という。

ここまではまったくその通りと同意できるが、④管理会社が管理組合に対して「新任理事への指導」や「理事会運営支援」「総会運営支援」等を行うのは、管理会社の役割からの逸脱である。管理会社は、「管理」の領域に関与すべきでない、という論点については、はて?と感じるのは私だけだろうか?

論者の言う「管理の領域」というのが、管理組合の主権に属する部分まで立ち入るなという意味では、管理組合と管理会社が利益相反の関係にある以上、当然のことであると思うし、また、利益相反の関係にある管理会社の立場で、新任であろうとベテランであろうと「組合理事への指導」は論外であるとも思う。
 しかし「理事会や総会の運営支援」は標準管理委託契約書にも「基幹事務以外の管理事務」として提示されており、理事会の運営支援として日程調整など4項目、総会支援として同じく6項目が挙げられている。これらの項目の内容を如何に見るかの問題と管理委託契約による管理会社の善管注意義務の範疇が問われてくる問題でなかろうかと私は思う。

論者は、それでは(管理会社による理事会や総会運営支援が無くては)、輪番制で毎年理事が交代する組合が多い中で理事会や総会の運営ができないと(管理会社等から)言われることについて、組合運営を管理会社に依存してしまえば、組合と管理会社の緊張関係が弱体化する。組合の自立が損なわれると心配する。管理会社に依存してはいけない。だから管理会社に「管理の領域」関与すべきでないと言っていることになる。

 ご心配はもっともだが、大切なのは管理組合が自立性を高め、管理会社とは利益相反関係にあることの明確な認識と自覚のもとに管理を委託するのであり、管理会社に依存するのではなく、委託契約に基づいて、管理会社を使いこなすことができる組合に成長することこそ求められるのである。

論者は管理組合団体の立場、管理組合の立場から「管理会社のあるべき姿、管理会社は如何にあるべきか」を論じているが、コインの裏表というか、それでは「管理組合のあるべき姿とは」の視点から再考するに、その視点には「管理会社に委託するか、委託せずに自主管理か」との選択支のみの土俵で論じているのがほとんどで、そこにもマンション管理士の姿が見えない議論が残念ながら多いのが現実のようである。

私は地元で兄弟関係にある8つのマンションの意見交流会を行っているが、同時期に建てられたマンションで、同じ管理会社が管理していたが、築30余年経つ今では、その半数の組合が早い時期から自主管理に移行し、元の管理会社と継続しているのは3組合だけである。

2つの高齢化問題で、役員の成り手不足もあり、頑張ってきた役員もつかれてきた、「そろそろ管理委託を考えたい、反対に委託をやめたいがどうしたものか」というのがいつも話題になる。「良い管理会社とは?良い管理会社を選ぶポイントは」等々の議論となり、そこにもマンション管理士の姿がすんなりとは出てこないのが現実のようである。

そこの要請にこたえて、「管理(管理組合)の在り方、管理会社の選び方、利益相反関係とマンション管理士の役割について」講演を行ったが、この話は意見交換会に出ている役員だけではなく、管理委託を議論している当組合の全員に聞かせたいと、あるマンションで再度の講演を依頼された。自主管理で立派にやってきた組合だけに、管理委託すべきか否かを議論している時の利も得たのか、全組合員の89%の参加でおおいに注目された。

管理組合の主体性の確立、自立性を高める、利益相反関係の認識をしっかり持ち、管理会社を使いこなせる組合に成長することを本来の使命として手助けするのが、その誕生時から管理組合の側に立つことを使命とされているマンション管理士の出番がある。マンション管理士は、管理会社の側ではなく、あくまで管理組合の側に立ち、専門的立場からの助言と援助を持って管理組合の主権と自立性を高め、適正なマンション管理を実現するために働くことにその存在意義があると私は確信している。

我々の更なる努力によって「マンション管理はどうあるべきか」を論じる時、真っ先に管理士の姿が浮かぶよう、管理士への注目を求めたいと願っている。

 


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