大粒の味わいは、抜群だ。
9月は、秋の味覚に溢れている。
なし、ぶどう、栗、イチジクなど、どれを食べても、ふくふくとしあわせな気持ちになれる。
今日は、イチジクを買ってきた。濃い紫に熟した実はそうっと皮をむき、ぱくっと大口でほおばる。ほんのり甘く、柔らかい食感がたまらない。
美味しくて幸せな味覚には、懐かしい思い出が寄り添う。
私の小さい頃、2階建ての屋根まで届くほどの大きなイチジクの木があった。秋になると、たくさんの実を付けていた。決まったおやつもなく、お腹が空いていた私にとっては、木に登って熟れた実を採って食べるのが、何よりの楽しみだった。秋も深まり、気温が下がると青く固い果実は、柔らかく熟すことはなかった。熟れるまで待てなくて、ちょっとつまんで柔らかそうな実を食べていた。
イチジクの木には、虫がつきやすく、実らせるまで大きくするのも、実ってから採り入れるのも気を使う。うっかりすると、熟した実を鳥に先取りされてしまうからだ。
昔のイチジクは、この絵の品種と違っていて、小さく丸っこい。調べてみると、江戸時代に伝わった品種のようだ。大人たちは「とうがき」と呼んでいた。唐柿と書いて、外国から入ってきたことがうかがえる。
この絵のような大きくて首がするっと長い形の品種は、もっと後に入って来たものらしい。
これから秋本番だ。おいしいしあわせな味をいろいろと楽しみたい。
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