蚕の美しい繭。
この繭からいただいた絹100%の真綿を使ってのリース作りに参加した。
東京農工大科学博物館友の会主催の絹サークルである。
子供のころに、段々畑に生えていた桑の葉をとってきて、蚕を飼ったことがある。
生まれてから何度も脱皮して、徐々に大きくなった幼虫が、やがて繭を作っていく様子をよく覚えている。
大切な蚕の命と引き換えに絹をいただくのだ。
出来上がったリース。
右の写真は、真綿で作った花と、黄色く染めた繭を切り開いて花を作ったもの。
ふんわりとした花は、何ともいえずほんわか。見る者を優しい気持ちにさせてくれる。
真綿というものを初めて扱った。
真綿は、薄く柔らかく糸がとても細い。
そっと広げて花を作るのだが、つやと弾力があり、何本か集まった真綿は、手では到底切れないほど強度がある。
左の写真は、四つのまゆから取り出した真綿。
手芸用に市販されている。
また、リースの土台になっている糸の束は、やはり絹100%で、柔らかい糸に使えない部分をより合わせて作った紐。
繭から取り出した素材は、どこも捨てるところがないのですよ、と講師の談。
出来上がるまでに、指のがさがさした皮膚に真綿の繊維が引っかかって、形を作るまでに大変な苦心をした。
また、繭の糸の層は、何層にも重なって作られている。口から吐き出した細い糸を、長い時間をかけて丈夫な繭に作り上げた。蚕の生きる力の逞しさと不思議を感じた。
先日、富岡製糸場が世界文化遺産となった。
先人の知恵と努力の壮大さを感じる。
この小さな繭から発見したことを伝統工芸として引き継ぎ、さらに新しい工夫をし、それを近代工業として発展させた。
東京農工大科学博物館で行われる手工芸講習会では、毎回、初めて出会う学びと感動がある。
今後も機会を見て参加したい。
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