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ものづくりあれこれ

ものづくりで毎日を楽しもう!

父からの贈り物

2014年12月29日 06時26分29秒 | 手工芸
私が48歳を迎えた時のことである。巳年生まれの年女ということで、父が彫像のプレゼントをくれた。
それは、松の枯れ木で彫ったへび。


右向きの写真。なんとなく穏やかな印象。


左向きの写真。頭や首のあたりが、ややへび感がある。

私は巳年でありながら、へびが大の苦手。(漢字で蛇とは書きたくないので、かなで表現)
しかし、父が彫ってくれたのは、ちょっとコミカルな姿をしている。魔除けになるように、健康で長生きできるように・・・思いがけないプレゼントを喜んで受け取った。私のために彫ってくれた心持がうれしかった。


その後、父は、もう一つビーナスを残している。以前作った大作を他に譲り、手元に残したビーナスはこの像である。



大きさもやや小さめで120センチくらい。以前のすらっとした作品に比べてふっくらと丸みを帯びている。ずいぶん変わったなと思ったのだが、これは、母をイメージしたものだと思った。父と母は、時々喧嘩をしていることもあったが、仲のいい夫婦であったと思う。父は、すでに他界しているが、母は今でも父を敬愛しており、父の思い出話をよくしている。

父から家族への贈り物は、こうした形あるものだけではなかった。亡くなった今も、父の生き方から教わったあれこれが、家族一人一人の心の中に生きているのだ。

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枯れ木から生まれたビーナス 2

2014年12月28日 22時00分57秒 | 手工芸

丸太を大まかに型どりしている様子。

父は、2メートルくらいの丸太を渾身をこめて彫り上げた。この木は、立ち枯れとはいえ、彫り進めると美しい年輪が効果的に表れた。多分、父も予想外に美しい模様となって驚いたことだろう。女性としての艶やかさやふくよかな魅力がよく出来ていると思う。


公民館に展示された時の写真。

この彫像は、その年の町美展(秋の文化祭)に出品することになった。展示場では、ひときわ輝いて人目を引いたことは確かである。出品作品を隣町の人がご厚意で写真にして届けてくれた。知り合いからも多くの賞賛の声をいただき、さぞかし父は嬉しく思ったことだろう。


父の最高傑作の彫像。額縁に入れて今も実家に飾っている。

この作品は、父と特に親しかった叔父の希望でもらわれていくことになった。父は喜んで送り出した。
私は、父の発想や創造がとてもうれしく、誇りに思った。その作品がもらわれていく前に、玄関の前に置いて、写真を撮った。現像してみると、鮮明によく写っていたので、拡大プリントしてもらい、A3サイズの額縁に入れて父にプレゼントしたのである。父も母もとても喜んでくれたことを思い出す。20年余りも前のことである。

(つづく)

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枯れ木から生まれたビーナス 1

2014年12月27日 00時01分00秒 | 手工芸
枯れた松の木が、ビーナスに生まれ変わる。

私の父は、器用な人だった。小さなものから大きなものまで何でも自分で工夫して作る。
大きなものと言えば、家や土木工事で石垣をついたり、庭園を造る。農業用のコンクリート水槽を作って灌水をした。亡くなる前に石垣を組み、自分の墓を建てた。
小さいものでは、日常に使用する小道具は何でも手作りをしていた。趣味では、彫刻や絵も描いていた。
今思うと、私のものづくりの師匠である。

私は、小さい頃から絵を描くことが好きだった。思い出せば、小学校3年生くらいのとき、初めての絵の具を使ったとき、父が、「かしてみい。」と絵筆をとり、風景画の彩色のこつを教えてくれた。そのとき教わったことは今でも鮮明に覚えている。その頃、父が、母の裁縫をしている姿を描いた絵を見せてもらったことがあるが、柔らかく細かい描写でとても上手に描いていたことを思い出す。

数十年前、全国的に松食い虫の被害のため、山の松林が赤く枯れて次々と倒壊したことがある。瀬戸内の島も大きな被害を受けた。山は葉っぱの部分が朽ちて幹だけが残り、マッチ棒の様に山に突き刺ささり哀れな姿をさらしていたのだ。どうすることも出来ず、放置されていたが、やがて残っていた大きく太い幹も倒れていった。
山が好きで、木を守って来た父は、立派な太い松の木が朽ちていくのを放置しておけなかった。何かに活かせないだろうかと考えたのだ。そして、虫の入っていない木の幹を切り落とし、家の納屋に何本も運び込んだ。そして、雨が降り野良仕事が出来ない時には、ノミで彫刻を始めたのだ。それは何年間も続いた。



父は、まず小さい幹を練習台にして、なんとビーナスを彫ったのだ。何体も繰り返し彫った。自分のイメージの形にならないので、ずいぶんと練習したようだ。そのうちの1体が上記の写真だ。記念にもらって、今も広島の家に飾っている。繰り返し練習したのち、父は2メートルあまりの巨大な丸太の彫刻に取りかかった。等身大のビーナスを彫ったのである。  (つづく)


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「木はがき」で思い出作り

2014年07月16日 16時47分07秒 | 手工芸

先日、南沢あじさい山に出かけた。

140716_144801_3

長い長い時間をかけて、山一帯にあじさいを植えてある。
その美しさは、一言では表せない。

あじさいの種類のまた、多いこと。
花弁の色合いも株によって少しずつ変化し、個性豊かな花ばかりだ。
あじさいトンネルのような坂道を、ゆっくりと登っていくと、あたりからむんむんと花の香りがただよう。
何枚も写真を撮ったのに飽きたらず、それでもまたカメラを覗いてシャッターを切っていた。

この山の持ち主は、どんな夢を描いてやり始めたのだろうか。
その努力に心から敬意を表したい。
おかげ様で、私達はたくさんの感動と心地よい森林浴と美しい景色をいつまでも脳裏に焼き付けて楽しむことができる。

140716_114101
左にに掲げた絵は、「小菅の湯」を訪れた際に見つけた「木はがき」にあじさい山を描いてみた。
表には、宛名書きをしてポストに投函もできるのだ。

彫刻刀で慎重に線を掘り、顔彩で色付けしてみた。
少し立体感が出て、面白い絵ハガキが出来た。




140716_114202 木はがきの表側。  140716_144501  顔彩で色付け。


木はがきという素材は、初めて使ったのだが、そのまま描いても色がのせやすい。
こつこつと彫刻刀を楽しんで、ようやく下絵が掘りあがった。
近景にはあじさいの枝と花、中景には斜面一帯の咲き乱れるあじさいが美しい。
遠景には、真っ直ぐに伸びた檜の林が美しく伸びている。
今もこの絵のように、目をつむっても鮮やかに風景が蘇るようだ。

140716_144601_3

 

 

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布ぞうり

2014年07月05日 14時44分12秒 | 手工芸

Photo     Photo_3 ひもや鼻緒に苦心。

布ぞうりの作り方を習いました。
適当な布がなかったので、シーツを細長く切って用意しました。
本当は木綿がよかったのです。(シーツには化繊が入っていて編みにくいのです。) 
以前からぜひ作ってみたかったので、いっしうけんめい習いました。
藁ぞうりは、天然素材で履き心地がとてもいい。
布ぞうりは、べすべして柔らかく、また違ってはきやすい。

ほかの参加者の皆さんもいっしょうけんめい、
ボランティアで指導してくださった指導者の方々もいっしょうけんめい。
心からものづくりが好きな人達です。
それぞれ取り組んだ作品を写真に撮りました。
こんなに素敵な作品ができました。
私もこの次は色合いの変わったものをやってみたいと思いました。

Photo_2

 

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