それは、松の枯れ木で彫ったへび。

右向きの写真。なんとなく穏やかな印象。

左向きの写真。頭や首のあたりが、ややへび感がある。
私は巳年でありながら、へびが大の苦手。(漢字で蛇とは書きたくないので、かなで表現)
しかし、父が彫ってくれたのは、ちょっとコミカルな姿をしている。魔除けになるように、健康で長生きできるように・・・思いがけないプレゼントを喜んで受け取った。私のために彫ってくれた心持がうれしかった。
その後、父は、もう一つビーナスを残している。以前作った大作を他に譲り、手元に残したビーナスはこの像である。

大きさもやや小さめで120センチくらい。以前のすらっとした作品に比べてふっくらと丸みを帯びている。ずいぶん変わったなと思ったのだが、これは、母をイメージしたものだと思った。父と母は、時々喧嘩をしていることもあったが、仲のいい夫婦であったと思う。父は、すでに他界しているが、母は今でも父を敬愛しており、父の思い出話をよくしている。
父から家族への贈り物は、こうした形あるものだけではなかった。亡くなった今も、父の生き方から教わったあれこれが、家族一人一人の心の中に生きているのだ。