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とまとのへや

トマト栽培についての情報を中心に。

土壌病害対策について

2012年01月20日 | 土壌環境
植物がしおれたり、
葉が黄色く枯れあがってきたりする症状が出ることがあります。
そのような場合、まずは潅水や肥料の過多・過少、
気温や地温が暑過ぎる・寒すぎる、
薬害など、物理的な栽培環境に原因がないかどうかを考えてみます。

それらが当てはまらない場合には
病虫害の可能性を考えます。

土壌病害が発生する原因は、
多くの場合は連作によって
土壌中に病原菌が増えてしまうためと考えられています。
けれども、作付け初年から数年目で発病することがあったり、
気象条件などによって発病の程度が変わったりすることもあります。

発病してしまった株に対しては、
多くの場合どうすることもできません。
生育が望めないような状態になれば抜き取って処分します。

発病した畑には、病原菌が長い間土壌中に残るので、
なるべく同じ作物を作らず、
毎回違う作物を植えていくことが理想です。

やむを得ず連作する場合は、
その病害に抵抗性を持つ品種、
あるいは抵抗性品種を台木とした接ぎ木苗を植えると被害が減ります。
病害の種類によって台木の品種は変わりますので、
普及指導員や営農指導員などに病害を同定してもらうとよいでしょう。

その土壌病害に対する抵抗性品種がない、
あるいは抵抗性を持たない品種を植えたいという場合には、
土壌中の病原菌密度を減らして発病を抑えることを考える必要が出てきます。
以下、いくつかの方法を記しておきます。

1. 病土を取り除く
発病した株を中心にして1メートル四方程度の部分の土を、
深さ1mくらいまで取り除けば、
病原菌の密度を減らすことができるでしょう。
ただし、かなりの労力が必要です。
また、作物によっては根がかなり広範囲にわたり、
深く伸びていくので、
取り除いた土の周りに病原菌が残っている可能性はあります。

2. 土壌中の根を分解させる
栽培が終わり片付けたら、
堆肥をまいて土とよく混ぜた後、
大量に灌水して土の中に残っている作物の根を分解させるようにします。
分解を進めるためには温度と水分が必要ですので、
地温を確保し、次に植えるときまで土を乾かさないようにすることが大切です。
こうすることで病原菌のえさが分解されて減るので、
病原菌の増殖速度が少しは抑えられるでしょう。

3. 土壌消毒をする
薬剤や熱などを使って土壌中の病原菌を減らす方法です。
薬剤を土に混ぜたり、注入したりして殺菌する方法や、
バーナーで土を焼いたり、熱水や蒸気を使う方法、
石灰窒素や太陽熱を利用する方法、
米ぬかなどを使った土壌還元消毒法などがあります。

なお、微生物資材で土壌病害を管理することは、
今のところはできないと考えた方がよいでしょう。

土壌病害は発生すると根絶はかなり難しいです。
被害を抑えるために上述の方法を組み合わせて、
できるだけ病原菌の密度を下げた方が良いのですが、
連作せざるを得ない場合は、
土壌病害と付き合いながら
作物を育てることになると考えた方がよいでしょう。

土壌環境改善としての微生物資材について

2012年01月20日 | 土壌環境
土壌中にはモグラやミミズといった比較的大きいものから、
カビ、細菌、ウイルスといった肉眼では見入ることのできない微生物まで
様々な生物が住んでいます。

一般に土壌の性質を考えるときに、
物理性、化学性、生物性と分類することも多いのですが、
生物性は、特に土壌微生物の分野は分からないことばかりです。

土壌微生物は、その形や性質から様々な種類に分類されています。
また、土壌中に住んでいる微生物の量は、
数え切れないほど多いと言われています。
そして、微生物の一生は
数時間から数週間とサイクルの短いものが多く、
微生物相は常に変化しているといえるでしょう。

さらに、肉眼でなかなかとらえられないし、
様々な分析方法を駆使しても、
それぞれの微生物について実態や発生消長を
完全に把握することはできないのが実情で、
土壌微生物の研究が難しいのは
こういったことによると考えられます。
土壌微生物の世界は
とても奥が深いと言えるかもしれません。

この土壌の生物的な環境をどう管理するかということは、
一口には言えないものです。
微生物資材を使って連作障害や土壌病害を無くしたり、
生育を良くしたりする技術は、
残念ながら現在のところは確立されていません。

農業現場では、ある微生物資材を使ってみたところ
ある畑では作物の生育が良かったように思えたが、
別の畑では効果がわからなかったとか、
昨年は良かったように思えたが
今年はそうでもなかったなどと言った話はよくあることです。
けれども実は、
生育が良かったのはその微生物資材によるものであると
本当に言えるのかどうかも判断が難しいのです。

微生物資材で土壌環境を改善したいとお考えの方は
こういったことを念頭に置くことが必要だと思います。

なぜ堆肥を入れるのか ~堆肥の利点

2011年08月23日 | 土壌環境
前回「堆肥の役割」では、
土壌環境を整えるためには土壌中に有機物が必要である。
という話をしました。

ところで、有機物とは
化学的には炭素を含む物(例外はあります)とされますが、
農業一般では、作物の残りかす、雑草や落ち葉、
動物の糞尿、生ごみなど、
生物由来のものと考えれば良いと思います。

これらのものは野外に置かれると、
いつまでも原形をとどめておくということはなく、
「土に還る」というのは、
皆さんもご承知のことと思います。
有機物の繊維分やたんぱく質、糖分などが分解されていき、
最終的には水や二酸化炭素などの無機物や腐植物質ができます。
簡単に言ってしまうと、
この腐植物質が、土作りの中で
大変重要な役割を担っています。

ですから生の有機物も直接畑へすき込めば、
もちろん土の中で上述のような過程を経て
有機物が分解され、腐植が作られます。
一方、有機物が分解する過程を
人の手で行うことが、
堆肥を作ることだと言えるでしょう。

さて、土壌中に有機物が必要ならば、
堆肥でなくても直接に有機物を入れれば良いのではないか、
という疑問もあるのではないかと思います。
わざわざ手間をかけて、有機物を発酵・分解させ、
堆肥にしてから畑に入れる意味は何でしょうか。

前置きが長くなりましたが、
堆肥にする利点は、
大きく分けて4つほどが考えられます。


(1) 取り扱いやすい

分解されて土に近い形状になるので、
扱いが簡単になり、
運搬や散布、すき込みなどの一連の作業が効率よくできます。
異臭も無いので作業も楽です。
また、同じ容量で考えれば、生の有機物よりも堆肥の方が
腐植の量は2倍以上多くなります


(2) 有機物中の病原菌や害虫、雑草の種が減る

堆肥化する過程で出る発酵熱により、
多くの病原菌や害虫、雑草の種が死んでしまいます。


(3) 有害物質が分解される

作物の生育に有害な物質が有機物中に自然に含まれている場合がありますが、
分解の過程でこれらの物質も分解・無害化されます。


(4) 生育障害が出にくい

生の有機物を直接畑へすき込み、時間を置かずに作物を植えると、
有機物の分解の過程で窒素が使われてしまったり(窒素飢餓)、
酸素が使われて土壌中が酸欠になったり、
有害なガスが出たりして、作物の生育を妨げることがあります。
堆肥にすることでこれらの分解過程は終わっていますから、
このようなことが起きるという心配はなくなります。

土作りは、畑の大切なメンテナンス作業です。
ぜひ、良い堆肥を作っていただきたいと思います。

なぜ堆肥を入れるのか~堆肥の役割

2011年07月26日 | 土壌環境
堆肥は畑で作物を作るためには欠かせないものである
と言われていますが、
堆肥についての理解は、
意外と漠然としているような気がします。

そこで、堆肥について整理してみようと思いますが、
ここでは少し視点を変えて、
畑に堆肥を施用しないとどうなるのかを考えてみましょう。

やや極端ではありますが、堆肥を使わない耕作法として
焼畑農業を例にしてみます。
焼畑農業とは簡単に言えば、森林や草地を焼き払い、
そこで耕作するというやり方です。
焼き払った後には、
焼かれた植物などの灰分が肥料分となり、
作物が育ちます。

けれども、その農地は2~3年耕作を続けていると地力が衰え、
作物が育ちにくくなってきます。
そうして別の場所に移り、火を入れ、
新しい農地として開墾する
ということを繰り返していきます。

耕作をやめた土地に植林すればよいのですが、
放っておかれることも少なくありません。
開発途上国ではこのことが
土地を荒廃・沙漠化させる原因として問題になっているのは、
皆さんもご存知のことと思います。

先ほど地力が衰えて作物が育ちにくくなる、と書きましたが、
地力というものを肥料分の部分で考えてみると、
作物が吸収した分を補給するように必要な肥料を入れていけば、
もっと長く耕作が続けられるのではないか
と考えられるかもしれません。
(途上国では十分な肥料を確保すること自体が
困難なところもありますが)

ところがそういう考えで、
焼畑農業から一か所に定着した持続的な農耕を進めようと、
途上国へ化学肥料の援助をしましたが、
土が固くなり、作物が育たなくなってしまったという話を
聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
必要な肥料が確保されたとしても、
それだけでは長く続かないのです。

それは、土の物理性や生物性に問題が出てくるからです。
森林や草地の頃に、その土地にあった土壌中の有機物は
耕作を始めると年を経る毎に分解され、減っていきます。
有機物が土壌中に余っている肥料分を捕まえておいたり、
土を柔らかくして空気や水分を捕まえておいたりして、
植物の根が張りやすい環境を作り出していたのです。
また、水、空気、養分が十分にある土壌には
微生物や小動物などの様々な生物が住み、
作物の根に良い影響を与えていたこともあるでしょう。

この有機物の消耗する量は思っているよりも多く、
そして消耗は地温が高いほど早く、
たとえ作物の茎葉の残りや、有機肥料を施用するとしても
それだけでは足りないのが現実です。

もうお分かりかと思いますが、
念のため書いておきますと、
化学肥料を使ったからといって、
土が固くなるということは考えにくいのです。
この場合、そうなってしまったのは、
化学肥料を使ったからではなく、
肥料分さえあれば作物は育つという一面的な考え方で耕作し、
十分な量の有機物を施用しなかったので、
土壌の物理性が悪くなったため
と、考えるべきですね。

話があちこちに飛んでしまいましたが、
畑に堆肥を施用しないと、
いわゆる「やせた土地」に向かっていくということや、
農地を持続的に利用するためには、
根を十分に張らせる土壌環境を作ることが大切で、
堆肥がその役割を担っているということが
何となくお分かりいただけたのではないかと思います。

塩基飽和度(石灰、苦土、加里飽和度)

2009年04月15日 | 土壌環境
塩基飽和度とは、
CECに対して塩基(石灰、苦土、加里)が占めている割合を
%で示したものです。
土の保肥力に対して
どのくらいの塩基があるのかを意味します。

塩基飽和度100%ということは、
土壌の保肥力いっぱいに
塩基を掴んでいるということになります。

100%以上となると、
土壌が掴みきれない、
いわゆる肥料分があふれている状態といえます。

CECに対して
石灰の占める割合を石灰飽和度、
苦土の占める割合を苦土飽和度
加里の占める割合を加里飽和度
と、それぞれ区別して考えることもあります。
石灰、苦土、加里の各飽和度の和が
塩基飽和度です。

CECが高い場合(15me/100g以上)は、
石灰飽和度 50~60%
苦土飽和度 15~20%
加里飽和度  3~6% の範囲にし、
塩基飽和度を80~90%として、
やや余裕を持たせておくことがが理想です。

また、上述の範囲内にあると、
石灰・苦土比や苦土・加里比のバランスもよいです。

一方、CECが低い場合(15me/100g未満)は、
石灰飽和度を高める必要があります(60~80%)。
これは、石灰の絶対量が少ないと、
栽培中に土壌pHが下がったり、
石灰欠乏となったりする可能性があるためです。
養分の吸収量を考慮すると
結果的に塩基飽和度は100%を超えることになります。

CECを考慮して塩基類の施肥量を考えるということは、
こうしてみると重要です。
それは、土壌分析結果で出てくる数値の
大小(養分の過不足)の判断は、
CECの大きさによって変わってくるからです。

たとえば、石灰の分析値が300mg/100gだと出ても、、
これだけでは石灰が多いのか少ないのかは判断できません。
CECが10me/100gの場合、石灰飽和度は107%で過剰、
CECが20me/100gの場合、53.5%で適正、
CECが30me/100gの場合、35.7%で不足
という判断ができます。

苦土や加里、また塩基全体についても
同様に考えることができます。
このように塩基類の適正値の判断は、
CECによって変わることがお分かりかと思います。

CEC

2007年03月27日 | 土壌環境
CECは日本語では塩基交換容量と言うのですが、
簡単に言うと、土が肥料を捕まえる力(保肥力)を数字で表したものです。
数字が大きいほどその力が大きいということです。

これが何を意味するかというと、CECが大きい土は肥料持ちがよいので、
肥料分が雨などで流されにくくなるのです。

CECが大きい畑と小さい畑で同じ量だけ肥料を入れたとします。

CECが大きい畑ではすべての肥料分を捕まえられて、多少の雨では流されません。

一方、CECが小さいと土壌が捕まえきれない肥料分が出てきます。
これらの余っている分は雨が降ったりすると流れ去ってしまいます。
また、余っている分が水に溶け出してECを高くし、
場合によっては肥料焼けを起こすこともあります。

一般的に砂質の土壌ではCECが小さく、
粘土の割合が増えるにつれてCECは大きくなります。
また、堆肥の成分である腐植が多いほどCECは大きくなります。
このことは肥料持ちのことを考えれば、
皆さんも経験上何となくおわかりのことと思います。

数値としてみれば、
CECが20以上あると、ある程度保肥力も高いといえるのではないでしょうか。

CEC の低い土壌では、
先ほどの理由から一度にたくさんの肥料を入れにくいです。
そこで、追肥をこまめにしたり、
緩効性肥料を利用したりすることで保肥力の低さを補っていきます。

CECを高くするのはなかなか難しいです。
砂質の土壌ならベントナイトという粘土や堆肥を使い、
やや粘質の土壌ではゼオライトや堆肥を使うことになるでしょう。
いずれにしても一度に大量に入れず、
年数をかけて少しずつ改良していくことになります。

けれども、CECの改良よりもむしろ、CECに合った肥培管理を考えていくことが、
この項目の数値の見方なのではないかと思います。

苦土・加里比と石灰・苦土比

2007年03月15日 | 土壌環境
交換性塩基のところで述べたように、
塩基については量とともにバランスも重要です。

苦土と加里、石灰と苦土それぞれのバランスについて数字で表したものが、
苦土・加里比と石灰・苦土比です。

計算方法は、単純に分析値を割ったものではなく当量比で計算します。
(当量とは、原子量を原子価で割ったものです。)
これらの数値は、たいていは分析結果表に算出されて示されていますが、
興味のある方は計算方法を以下に示しますので、
少し複雑ですがご自分で試しに算出してみてください。

各交換性塩基の1当量は、

交換性加里 47.1・・・①
交換性苦土 20.15・・・②
交換性石灰 28.04・・・③

交換性加里、交換性苦土、交換性石灰の分析値(mg/100g)を
それぞれ当量に変換すると、
①②③より、

交換性加里の当量=[交換性加里の分析値]÷47.1・・・④

交換性苦土の当量=[交換性苦土の分析値]÷20.15・・・⑤

交換性石灰の当量=[交換性石灰の分析値]÷28.04・・・⑥

すなわち苦土・加里比は、⑤÷④です。
石灰・苦土比は、⑥÷④です。

苦土・加里比は2以上、石灰・苦土比は2~6程度を目標に改良します。
上式を見れば、苦土・加里比を高くするには苦土肥料を、
低くするには加里肥料を使えばよいわけですね。

同じように考えて、石灰・苦土比を高くするには石灰を、
低くするには苦土を入れます。

交換性石灰(CaO)

2007年03月13日 | 土壌環境
石灰とはカルシウムのことです。
主に植物の体のつくりを強くする働きをします。
分析による標準値は300mg/100g程度とされています。

石灰が足りなくなると、加里や苦土と違って、新しい葉や実が傷んできます。
トマトの尻腐れは有名ですね。
これは植物体内であまり移動しないため、
石灰が不足していると先端にある組織である
新葉や果実まで届かないためです。

けれども、土壌診断で石灰が十分にあると診断されても、
果実に尻腐れ症状が出る場合もありますね。
それは、何らかの原因で石灰が吸えないということです。

pHが低いときや、窒素や加里、苦土が多すぎても石灰の吸収が邪魔されますし、
暑い日が続いて水不足になると、石灰が吸えなくなることもありますので、
これらの要因も合わせて考えてみたらよいと思います。

交換性苦土(MgO)

2007年03月08日 | 土壌環境
苦土とはマグネシウムのことで、
「にがり」として、私たちの健康面でも注目されている成分ですね。
植物にとっては、光合成を行う葉緑体の大切な構成要素です。
また最近はリン酸の吸収を助けるとも言われています。
分析による標準値は40mg/100g程度とされています。

トマトの場合、苦土そのものの過剰障害はほとんど見られないでしょう。
加里との拮抗作用で、加里欠乏の症状が出たが、
実は苦土が加里に比べてかなり多かった、
ということはあるかもしれません。

苦土が足りなくなると、
加里と同じように体内で新しい茎葉や実に移動していきます。
古い葉に色抜けなどが起こります。
重症になると下葉の葉脈、葉の筋を残して黄色くなってしまいます。

苦土肥料には硫酸苦土(硫マグ)、水酸化マグネシウム(水マグ)があります。
リン酸や加里と一緒になっている肥料もありますので、
必要に応じて使い分けます。

交換性加里(K2O)

2007年03月05日 | 土壌環境
交換性加里(K2O)
加里は作物の光合成や、植物体の調子を整える働きに大切な役割をします。

あればあるだけ吸う傾向があり(ぜいたく吸収と言います)、
トマトでの過剰障害はほとんど見られないと思います。
分析による標準値は30mg/100g程度とされています。

加里が足りなくなると、
植物の体の中で新しい葉や茎や実に移動していきますので、
古い葉や実の周りの葉が黄色くなったり、部分的に枯れたりします。
代表的なカリ欠乏症状は葉先枯れですね。
多くの場合は4段目くらいまで実がついてきて、
カリを実の方へたくさん送ろうとして、
樹の方に足りなくなっている症状と考えられます。

この症状を軽減させるには、
論理的には加里(を含む)肥料の追肥ということになりますが、
実際のところは思うように症状が減らないのではないかと思います。

肥料は主に硫酸加里を使います。
長く加里を効かせたい場合、
緩効性のケイ酸加里を潅水チューブの下に筋状に埋める
という方法もあるようです。

交換性塩基

2007年03月01日 | 土壌環境
加里・苦土・石灰は陽イオンとしてプラスの電気を持っており、
塩基と呼んでいます。

塩基同士の関係を少し整理しておきましょう。

これら塩基は、作物の吸いやすさが違います。
作物が吸収しやすい順に、加里、苦土、石灰です。

また、ある塩基がたくさん土壌に入っていると、
他の塩基が吸収されるのを邪魔することがあります。
これを拮抗作用といいます。

たとえば、苦土が多すぎると石灰の吸収を邪魔しますし、
カリが多すぎると苦土の吸収を邪魔する、ということです。

このように塩基は土壌中での量だけでなく、バランスが大切です。
このバランスを土壌診断では石灰・苦土比や苦土・加里比として数字で表します。

先ほどの拮抗作用により、石灰・苦土比が高いと苦土欠乏になりやすく、
低すぎると石灰欠乏の原因となります。

また、苦土・加里比が高すぎると加里欠乏、
低すぎると苦土欠乏が出やすくなります。

もう少し踏み込んだ話は次回以降に。

リン酸級数係数

2007年02月28日 | 土壌環境
火山性土壌の場合は、
そこに含まれるアルミニウムがリン酸をくっつけてしまって(固定)、
植物がリン酸を利用できない形に変えてしまうことが多いので、
リン酸肥料をたくさん入れてきたというところも多いと思います。

このリン酸が効きにくい度合いを数字で示したものが、
リン酸吸収係数です。
一般に係数が1000以上あるとリン酸肥料は効きにくいので、
標準量よりも多く施用することになります。

リン酸吸収係数が高く、
有効態リン酸の分析値が低い畑では、
水溶性のリン酸肥料である過リン酸石灰(過石)や重過石は
固定されやすいので、
く溶性の熔成りん肥(ようりん)や重焼燐といった肥料も
合わせて使うとよいでしょう。

ただし、有効態リン酸の値が高い場合は
土壌中にリン酸が余っているということですから、
吸収係数が高くても
リン酸の施肥量は減らすことができるでしょう。

そうは言っても、
リン酸が効きにくいと思って(あるいはそのように指導されて)
一生懸命入れてきて、それなりに結果を得てこられた方も多いでしょうから、
いまさら土壌分析結果でリン酸を入れなくてもよいと言われても、
なかなか受け入れられないですよね。

ただ、アルミニウムにくっつく量にも限度がありますから、
長年多量に施用してきたハウスでは、
リン酸が貯金のように貯まってきたので、
そろそろこれを有効に運用してもよい時期に来ているのだ
という風に考えてみてはいかがでしょうか。

有効態リン酸

2007年02月20日 | 土壌環境
リン酸は石灰、鉄やアルミニウムなどとくっついて、
いろいろな形をとるのですが、
ここでは植物が吸収できる形ということで
有効態という名前がつけられています。

リン酸は細胞の核の原料ややエネルギーの材料(ATP)で、
これも窒素に次いで大切な要素ですね。

欠乏症は出やすく、
特に寒い時期やpHが低い酸性の土壌では出やすいです。
リン酸が少ないと古い葉から新しい茎葉や実に移動していくので、
古い葉が黄色くなって枯れたり、紫色になったりします。

さらに不足が続くと、果実も大きくならず、味も良くなりません。

トマトの苗を春先の寒い時期に定植すると、
下の葉が紫色になることがありますが、
これはアントシアニン発色と呼ばれます。
十分な肥料が入っていても
低温でリン酸が吸えないとこのような症状が出ます。
地温が上がってくるとリン酸を吸えるようになって、
やがて生育も戻ることが多いです。

過剰症はあまりありませんが、
土壌病害を助長する場合もあると言われています。

一般的に有効態リン酸が10mg/100gより少ないと、
極端に生育が悪くなります。

有効態リン酸が増えると生育・収量も大きく増えていきます。
ただし、70~80mg/100g程度で増加も頭打ちになり、
それ以上有効態リン酸が多くなると
少しずつ収量が減っていくと言われています。
(水稲の場合は野菜と異なり、10mg/100gあれば十分です)

トマトにおける有効態リン酸の標準値は、
一般的に30mg/100g前後とされていますが、
おそらく、70mg/100gあたりまでが適正値といえるでしょう。
100mg/100g以上ある場合にはリン酸肥料を特に入れなくても、
土壌中に残っているリン酸で十分生育すると思います。

土壌化学分析値の単位は何を意味しているのか

2007年02月19日 | 土壌環境
ところで、土壌化学分析で表示される単位の(mg/100g)は、
土壌100g中に含まれる分析成分の量(mg)を示しています。
大まかにいえば、
この数値は、面積10aあたりに含まれている成分量kg(kg/10a)
と、そのまま読み替えることができます。

たとえば、硝酸態窒素の分析値が10mg/100gだったとすると、
土壌100g中に10mgの硝酸態窒素があるということです。
それはつまり、
硝酸態窒素が10アール当たり10kg(10kg/10a)
含まれていると考えることができるということです。

もちろん、有効態リン酸や交換性塩基(石灰・苦土・加里)などの場合でも
同じように考えることができます。

なぜそうなるかというのは、少しややこしい話ですが、
次のように考えることができるでしょう。

土壌と分析値をそれぞれ10a当たりの量に換算すると、
面積10aで作土10cmの土の容積は10m×10m×10×0.1m=100立方メートル・・・①

その重さは、土の比重を1とすると、①より、100t・・・②
(水1立方メートルは1tなので、100立方メートルでは100t。
ここでは比重を1としているので、
水と土の容積と重さの関係を同じと考えています。)

②より、土100gを1,000,000倍すると、100t・・・③

1mgを③と同じように1,000,000倍すると、1kg・・・④

そこで、④/③を考えると、mg/100g = kg/100t・・・⑤

また、①②⑤より、mg/100g = kg/100t = kg/100立方メートル = kg/10a 。

硝酸態窒素

2007年02月14日 | 土壌環境
窒素は作物の体を作る基本要素で、生育に重要で不可欠です。

育苗の肥料のところでもお話ししたように、
一口に窒素といっても、窒素を含む物質はいろいろな形があります。
動植物の死骸のような有機態の窒素を、
微生物がアンモニア態窒素に変えます。
これを亜硝酸菌という微生物が亜硝酸態窒素に変え、
亜硝酸を硝酸菌が硝酸態窒素に変えて、
初めて作物が窒素を吸収します。
(稲はアンモニア態窒素を吸収できます。)

ですから、作物に有機態窒素を与える場合と、
硝酸態窒素を与える場合では、
作物が吸収する早さ、肥料が効くまでの早さが違ってきますね。

肥料もこの3つの形の窒素成分を一部
あるいはすべて含むもので作られています。
窒素成分のうち、
硝酸態窒素は水に溶けやすい上に土には吸着されにくいので、
作物に吸収されやすいです。
一方で、雨で流されやすいということでもあるわけです。

園芸作物の場合は前にも述べたように、
養分が雨で流亡することはほとんどありませんから、
土壌診断で硝酸態窒素を測定すると、
土壌に残っている速効性の窒素成分量がわかりますね。
そして、硝酸態窒素の分析値が高ければ、
即効性の窒素成分が残っているということですから、
次作の窒素肥料の施用量をそれに合わせて減らすことができますね。

一般的には硝酸態窒素の数値をどう見るのかを示しました。
(地域によって異なりますので注意してください)

0~4mg/100g 少ないので標準量よりもやや多めに基肥窒素を施用してもよい。
5~10 mg/100g  標準的なので基肥窒素も標準量施用すればよい。
11 mg/100g以上 多いので基肥窒素の施用量を標準量より減らす。

窒素はなくてはならない成分ですが、適量が大切です。
人間でも食べ過ぎや栄養過多は健康に害が出るのと同じですね。
トマトでは窒素が多すぎると、
樹ばかりが生長して果実が大きくならない(樹ぼけ)、
果実のベースグリーンが濃く、色もオレンジ色で色のりが悪い、
果実の筋腐れ症状がでるなど品質が低下します。
また、病虫害の被害を増やしてしまうこともあります。

基肥は速効性よりは有機質肥料など
比較的長くゆっくりと効く(緩効性)肥料を主体とします。
春先など温度が低い時期に定植する場合は、
速効性肥料を基肥の窒素量20%程度加えるとよいでしょう。
追肥では硝酸態窒素やアンモニア態窒素が主体の速効性のものを使います。