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とまとのへや

トマト栽培についての情報を中心に。

土壌のEC(2)

2007年02月09日 | 土壌環境
ハウス土壌でECはなぜ高くなりやすのかというと、
雨などで肥料分が流失することがなく、
むしろ潅水などで下に降りていった肥料分が、
地表面の乾燥によって下の水分と一緒に地表へと引っ張られてくるためです。
そうして地下から引っ張られてきた水分は蒸発してしまいますが、
肥料分は地表にたまっていくのです。
(これを毛細管現象・毛管現象といいます)

ですから、ハウスで過剰な施肥を続けたり、
大量の堆肥を施用し続けたりしていると、
肥料分が徐々にたまってゆき、ECが高くなっていきます。

ECが高くなると、pH が下がることがあります。
これは硝酸態窒素が高い場合が多く、
石灰資材を特に施用しなくても、
作物が硝酸態窒素を吸収するとpHは上がってきます。
ですから、pHとECを見ながら、
石灰を入れるかどうかを判断する必要があるのですね。

ECを下げるには、
ハウスに水を張ったり、
ビニルをはがして土地を雨ざらしにして
肥料分を地下に流亡させるのが最も手っ取り早い方法です。
けれどもこのごろは地下水汚染なども問題になりやすいので注意が必要ですし、
余ったものを無駄に捨ててしまうようでもったいない気もします。

キュウリやスイートコーンなど吸肥力の強い作物、
あるいはイネ科の緑肥を作付けして残った肥料を吸わせ、
ハウスの外へ出してしまうという方法もあります。
(そういう役割を持たせた作物をクリーニングクロップと呼んでいます)
そのまますき込んでしまったら肥料分はその畑にそのまま残ってしまいますが、
堆肥にしてからハウスへ戻せば、
畑の養分過剰も解消されるし無駄も減りますね。

土壌診断によって適量の肥料分で栽培して無駄を減らし、
できるだけ塩類集積を減らすことが大切になってきていることが
お分かりかと思います。

土壌のEC

2007年02月07日 | 土壌環境
ECは、日本語では電気伝導度といって、
土を水に入れてかき混ぜたものに電極を入れて電流を流し、
電気の通りやすさを数字で表したものです。
数値が高いほど電気が通りやすいことを示しています。

単位はジーメンス・パー・センチメートル(S/cm)と読みます。
一般的に土壌診断ではその10分の1の単位、
ミリジーメンス・パー・センチメートル(mS/cm)を使うことが多いです。

なぜ電気が通るかというと、肥料分が水に溶け出して、その成分が電極に引っ張られるからです。

土壌中の塩類濃度とは、
簡単に言えば、肥料分がどのくらい入っている(残っている)のかを
数値で表しています。

ECが高すぎると、土壌中の肥料分が濃すぎるということです。
そうなると植物中の水分が土に引っ張られて出て行ってしまいます。
漬け物を作るとき、ハクサイに塩をかけるとハクサイの水分が出てきて、
ハクサイは萎れますね。これと同じ原理が土の中で起こることになって、
水も肥料も吸えなくなってしますので、
萎れたり生長が止まったりしてしまいます。

発芽の時はデリケートですから、ECは低い方がよいです。
そもそも、種には発芽してからしばらくの生育に必要な養分が入っていますから、肥料をあまり入れる必要はありませんね。

肥料を入れすぎた土に種を蒔いたら、
根が黒く焼けたようになり、生長が止まったり、しおれたりすることがあります。ECが高いことによる肥料やけです。
あまりECが高いと発芽もしません。

その後の生育については、作物ごとにECが高くても生育するものや、
あまり高いと育ちにくいものがあります。
また、生育が進むにつれて高い塩類濃度にも強くなる傾向があります。
つまり、作物の種類や時期によって
肥料を過剰に入れても何とか育っていく作物と、
そうでないものがあるということですね。

トマトの場合は高くてもECは1mS/cm程度としたほうが
よいのではないかと思います。

土壌診断でECの値が低いときは、施肥量は標準でよいでしょう。
反対に高いと診断された場合は、
何の肥料成分によってECが高いのかを考えます。
つまりECだけでは何の成分が影響しているのかがわからないので、
他の項目の分析が必要なのですね。

ECの値を上げる原因は園芸の場合、
一般的には硝酸態窒素であることが多いです。
地下水や土壌にナトリウムや鉄分が多い場合は、それらが影響していることもあります。

土壌のpH

2007年01月22日 | 土壌環境
pHは土の酸度を示しています。
7.0が中性で、これより低いほど酸性が強く、
高くなるほどアルカリ性が強くなりますね。
作物の多くは5.5~6.5あたりの弱酸性から微酸性の範囲が適しています。
トマトでは微酸性(6.0~6.5)が栽培に適しています。

なぜpHが重要なのでしょうか?
pHというと石灰が多いとか少ないという話になりますね。
実際、pHを上げるには石灰(炭カルや消石灰など)を使うので、
石灰とpH の関係は密接です。
pHが7.0以上と高い場合は一般的には石灰の過剰がほとんどです。

けれども重要なことは、実は土壌中の様々な養分が、
pH5.5~6.5あたりで最もまんべんなく溶け出しやすいということです。
反対に言うと、
pHが低すぎたり高すぎたりすると、
養分が溶け出しにくくなったり、
ある特定の養分ばかりが溶けたりして、バランスが悪くなって、
生育に影響が出ることもあります。

ですから、pHを見ることは大変重要なのですね。

酸性が強すぎると、アルミニウムやマンガンの過剰症、
リン酸やモリブデンの欠乏症が出やすいですし、
アルカリ性が強くなると、微量要素が吸われにくくなってしまいます。

作物が養分を吸いやすいように、土壌の環境を整えるのが、
pHを見るときのポイントです。

pHの調整には、
pHを高くしたい場合は石灰資材(炭カルや消石灰など)を使います。
施用量はアレニウス氏表というものを使って算出することが多いです。

土壌が酸性化するのは、
石灰が作物に吸収するためと、
雨などで流れてしまうためであると考えられます。
ですから、雨の影響を受けない施設栽培では、
土地が新しい場合を除くと、ほとんど石灰は十分にたまっている状態で、
pHは高めだと思います。

ところが、施設園芸で長く栽培していると、
石灰は十分あるけれどもpHが低いという話を聞くこともありますね。
そのときはECや他の分析項目などを見ながら、
他の要因を考えて、pHの調整をするかどうかを考えます。

土壌化学性の診断~土壌サンプルの取り方~

2007年01月18日 | 土壌環境
前にも述べましたが、
一般的には土壌診断と言えば化学性の診断と考えられていますが、
本来は物理性・化学性・生物性を総合的に見たものを土壌診断と言います。
化学性の診断は、その一部です。

化学性の診断は、分析できる機関に依頼することになります。
地域の農業センター、農協や普及センター、
あるいは肥料会社でもやってくれる場合があります。

ですから、皆さんが畑の土を取ることから始まります。

とり方は、移植ごてを使って
ひとつの畑について深さ20cm程度まで(作土層)の土を3箇所以上とって
良く混ぜ、
300~500g程度をサンプルとして、分析機関に提出します。

そして分析結果が返ってきたら、
それを基にして土壌改良や肥料を入れる量を決めます。
ですから、それぞれの分析項目や出てきた数字が
何を意味しているのかを理解しておく必要がありますね。

次回から各分析項目を見ていきたいと思います。

土を知る・土壌物理性の診断~土壌断面

2007年01月16日 | 土壌環境
少し大変ですが、畑に穴を掘ってみてその断面を観察すると、
作物の生育の障害となっている原因が分かることもあります。

穴は深さと幅を80cmから1m程度、長さを1.2mから1.5m程度とし、
2段程度の階段状に掘るとよいでしょう。断面は移植ゴテできれいに削ります。
作土層と下層土とを分けて堀上げると、順序よく埋め戻すことができます。

断面を見るポイントは次のとおりです。

作土の厚さ:20cm以上欲しいところです。

作土の硬さ:親指が簡単に差し込めるくらいの硬さだと、作物も根が伸びやすいでしょう。

根張りの深さ・耕盤層の有無:トラクターなどの機械の重さで土が締まり、
硬くなっている部分があると、水はけや根張りが悪くなることがあります。

土の粒子の構造:腐植を含んだ土は団粒構造を作り、コロコロした感じです。
反対に腐植が少なかったり、砂が多かったりするとサラサラした感じですね。

各層の厚さや色:腐植が多いほど色は黒いです。水分が多く酸素が不足していると灰色・青灰色です(グライ層)。

地下水位:地下水位が高いと掘っている間に水がしみだしてくることがあります。根張りが悪くなったり、地温が上がりにくくなったりすることがあります。

ここまですると、畑の土壌の物理性の特徴については、大まかな感じがつかめるでしょう。
(自分でもできそうですね。
普及員や営農指導員の方と一緒にするのもよいでしょう。)

もっと詳しい物理性の診断をするには、
土壌硬度、三相組成、保水力、透水性、腐植などを調べますが、
特殊な道具や機器が必要なので、
普及センターや試験場などに頼むことになるでしょう。

また、土壌断面を掘って、
10cmあるいは20cm毎に物理性や化学性の診断をすると
より詳しいことが分かることもありますが、
何かの特別な調査をするのでなければ、
一般的にはそこまでする必要もないと思います。

土を知る・土壌物理性の診断~土性

2007年01月15日 | 土壌環境
土性は土に含まれる粒子の大きさ(粘土や砂の割合)によって区分したものです。
土性によって水はけ・水持ち、肥料持ち、耕耘のしやすさなどが異なります。
綿密に調べようとすると大変で、区分もかなり細かいですが、
大まかには親指と人差し指でこねてみて、その感触で区分できます。
実用的にはこのやり方で十分です。

砂土:指でこねるとザラザラして、ほとんど砂だけの感じ。棒状にならない。

砂壌土:指でこねると砂が粘土よりも多い感じ。棒状には細工できない。

壌土:指でこねると砂と粘土が半々くらいの感じ。鉛筆ぐらいの太さに細工できる。

埴壌土:ほとんど粘土だが、よくこねていると砂を感じる。マッチ棒くらいに細工できる。

埴土:ぬるぬるした粘土の感じがする。コヨリのように細長くできる。

経験からもお分かりかもしれませんが、粘土の割合が増えるにしたがって、
つまり、砂土、砂壌土、壌土、埴壌土、埴土の順に耕耘しにくくなり、
通気性や排水性も悪くなります。
一方、保水力や保肥力はこの順で大きくなっていきます。

土を知る・土壌物理性の診断~土壌区分

2007年01月11日 | 土壌環境
土壌診断といえば化学性の分析と施肥設計というイメージが強いですが、
前回述べたように良い土の条件は3つの分野にわたりますから、
化学分析は土壌診断の一部分にすぎません。

畑の特徴や栽培歴、現地での生育の様子などを考慮しつつ、
分析結果と照らし合わせて総合的な診断と処方をするのが本来の筋です。

化学分析だけを行う場合は、その分析結果のほかに、
作物の生育状況や水はけの良し悪し、
土地の特徴などの情報を付け加えれば、
より的確な診断をしてもらえると思います。

ですから土壌診断に先だって、
自分の土地について分かることは押さえておきましょう。 

今回は土壌区分を取り上げます。

土壌区分を知ると、
土地の特徴を大まかにつかむことができます。
機械で調べられないのですが、
自分の土地がどんな所にあるのかで大体区分できます。

山の上から川のほうへ降りてくる順番で大まかに分けられます。
火山が比較的近くにある地域では、
山沿いや丘の上の土の色は真っ黒のところが多いですが、
このような土地の土壌区分は黒ボク土(火山性土)ということになりますね。
火山性土はアルミニウムが多く、
リン酸を植物が吸えない形にしてしまいやすいです。
 
段丘地などで粘土の強い土地は、洪積土と区分されます。
洪積土の上に火山性土が積もっているところもあります。
洪積土は酸性が強かったり水はけが悪かったりして、
多方面にわたる土壌改良が必要なことが多いです。

川や海に近い低地は沖積土です。
川が運んできた土が積もって作られた土地ですね。
色によってグライ土、灰色低地土、褐色低地土などに分けられます。
地下水位が高かったり、砂や石が多いことがありますが、
一般的には地力が高いといわれています。
洪水が土地を肥沃にするという話は昔からありますね。

さらに湿地のようなところでは泥炭地と区分されるところもあります。
植物の遺体が堆積して有機物が多いので、地力窒素は高いです。
泥炭のある土地の米の味があまり良くないのは、
この地力窒素をいつまでもイネが吸って、
コメのタンパクが高くなってしまうためでしょう。

ちなみに土の色ですが、
黒いものは有機物(腐植)が多く含まれているということです。
赤土にはほとんど含まれていません。

灰色や青灰色のものは水はけが悪く
酸素不足(還元状態)であることが多いです。
還元状態の土は酸素に触れると茶色っぽく変化します。
これは土の中の鉄分が酸素と結びつく(酸化)ためです。


土壌診断はなぜするのか

2007年01月10日 | 土壌環境
施設園芸では土壌診断をすることが当たり前になってきました。

土壌診断は何のためにするのでしょうか? 

土壌診断を行うことで畑の性質や状態を知り、
なるべくよい条件で作物を栽培できるようにその畑の状態を整える、
つまり「儲けることのできる土」、
作物にとって「よい土」を作ることを目指しています。
畑の土の状態を管理して長期間安定的に作物を作ることは、
立派な農業技術の一つです。

「よい土」とはどのような条件を持っているでしょうか?

簡単に言えば、第1番目に水はけ、水持ちがよいこと。
土壌の物理性が良いことです。
たとえば、粘土が強くて硬すぎる土では水が溜まって根腐れを起こしやすいですし、
反対に砂が多い土では水はけが良すぎて、乾燥しすぎて萎れてしまうこともありますね。

第2番目には土壌の中に作物に必要な養分がバランスよく含まれていること。
化学性が良いということです。
畑では必要な肥料が十分に入っているかどうかということです。

第3番目には病原菌がなく、多様な土壌生物が住んでいること。
生物性が良いことです。
良い菌やミミズなどの土壌生物がたくさん住んでいるということですね。

これら3つの条件の整い具合が、その土地の「地力」の大きさを左右します。
水はけ(物理性)が良くても化学性が悪ければ(肥料分が足りなければ)
作物は育ちませんし、
反対に化学性が良く(肥料分が十分にある)ても、物理性(水はけ)が悪ければ
やはり作物の生育は悪くなります。
物理性や化学性が良くても生物性が悪ければ(病原菌が土の中にたくさんいる)、
やはり作物の生育は悪くなりますね。
バランスが重要なのです。

土壌診断もこの3つの条件、物理性、化学性、生物性について調べることが理想的です。
けれども、実際には生物性を診断するのは難しいので
(特定の病原菌の有無くらいは調べることができるかもしれませんが)、
物理性と化学性の診断を主に行うことになるのです。

肥料の窒素成分について

2006年03月03日 | 土壌環境
硝酸態窒素やアンモニア態窒素の話が出たので、
窒素成分の種類について簡単に記しておきますね。

窒素とは、主にタンパク質の基になる栄養素です。
反対に言えば、タンパク質には窒素が含まれるということです。

土壌中にタンパク質(例えば有機質肥料や動植物の死骸など)
があるとすれば、
土壌中の(微)生物などによって、
タンパク質→アミノ酸→アンモニア態窒素→硝酸態窒素
の順番で分解されていきます。

そして、植物は主に硝酸態窒素を吸収します。
(ただし、水稲はアンモニア態窒素の方をよく吸収します。)

ですから窒素の効きが早いのは、分解の順番とは反対に、
硝酸態窒素を多く含む肥料ということになりますね。

このように、肥料を選ぶときは、
効果の出る早さ(植物が吸収しやすいかどうか)を
考える必要があります。

肥料袋に書いてある成分表には、
「○○態(性)窒素△△%」などと書いてありますから、
注意して見てみると、
「これは効きが早そうだな」とか、
「ゆっくり長く効きそうだ」などと、
大体の感じが分かるのではないでしょうか。