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なぜ堆肥を入れるのか ~堆肥の利点

2011年08月23日 | 土壌環境
前回「堆肥の役割」では、
土壌環境を整えるためには土壌中に有機物が必要である。
という話をしました。

ところで、有機物とは
化学的には炭素を含む物(例外はあります)とされますが、
農業一般では、作物の残りかす、雑草や落ち葉、
動物の糞尿、生ごみなど、
生物由来のものと考えれば良いと思います。

これらのものは野外に置かれると、
いつまでも原形をとどめておくということはなく、
「土に還る」というのは、
皆さんもご承知のことと思います。
有機物の繊維分やたんぱく質、糖分などが分解されていき、
最終的には水や二酸化炭素などの無機物や腐植物質ができます。
簡単に言ってしまうと、
この腐植物質が、土作りの中で
大変重要な役割を担っています。

ですから生の有機物も直接畑へすき込めば、
もちろん土の中で上述のような過程を経て
有機物が分解され、腐植が作られます。
一方、有機物が分解する過程を
人の手で行うことが、
堆肥を作ることだと言えるでしょう。

さて、土壌中に有機物が必要ならば、
堆肥でなくても直接に有機物を入れれば良いのではないか、
という疑問もあるのではないかと思います。
わざわざ手間をかけて、有機物を発酵・分解させ、
堆肥にしてから畑に入れる意味は何でしょうか。

前置きが長くなりましたが、
堆肥にする利点は、
大きく分けて4つほどが考えられます。


(1) 取り扱いやすい

分解されて土に近い形状になるので、
扱いが簡単になり、
運搬や散布、すき込みなどの一連の作業が効率よくできます。
異臭も無いので作業も楽です。
また、同じ容量で考えれば、生の有機物よりも堆肥の方が
腐植の量は2倍以上多くなります


(2) 有機物中の病原菌や害虫、雑草の種が減る

堆肥化する過程で出る発酵熱により、
多くの病原菌や害虫、雑草の種が死んでしまいます。


(3) 有害物質が分解される

作物の生育に有害な物質が有機物中に自然に含まれている場合がありますが、
分解の過程でこれらの物質も分解・無害化されます。


(4) 生育障害が出にくい

生の有機物を直接畑へすき込み、時間を置かずに作物を植えると、
有機物の分解の過程で窒素が使われてしまったり(窒素飢餓)、
酸素が使われて土壌中が酸欠になったり、
有害なガスが出たりして、作物の生育を妨げることがあります。
堆肥にすることでこれらの分解過程は終わっていますから、
このようなことが起きるという心配はなくなります。

土作りは、畑の大切なメンテナンス作業です。
ぜひ、良い堆肥を作っていただきたいと思います。


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