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『勤務地シンガポール』

日本に帰国しましたがタイトルはこのままで

宝石箱 2

2009年10月08日 | 素晴らしき人たち

 今日の記事は前回「宝石箱 1」の続きです。

 そのEさんが勤務する会社はうちからかなり遠いところにあります。「平日の夜、仕事が終わった後に伺おうとするとかなり遅くなってしまうので・・・」ということで、来て頂くのは土曜日にしました。ちょうど先週の土曜日はやりかけの仕事を片付けるためにオフィスに出てこようと思っていましたので、「それならば」ということでその土曜日に来てもらうことにしたのです。

 しかし、取り越し苦労とはまさにこのこと(笑)。当日、Eさんの到着を待ちながら、思いはどうしても彼女のその「来意」に行ってしまいます。それで、あれやこれやといろいろと考えて見ても、「申し訳ないんですが、この度佐藤さんからご紹介頂いた仕事が自分に合いません。。。なので辞めたい。。。」と来るパターンしか考えられません。でももしそれが理由だったら、シンガポール人の場合ですと、電話一本で済ましてしまうのが普通で、何も休みの日にわざわざエージェントのオフィスまでやって来て話すべきことではないのでは?、などと、どうも心落ち着かない状態でおりました(笑)。

 まあ、もしもの場合はしょうがない。まずはEさんの話を聞いてから考えればいいか、などとつぶやいているうちにEさんから電話が鳴りました。

 「あのー今オフィスの前にいるんですが。。。」そのまま入ってきてもらえれば良いのに、Eさんはオフィスに到着してから電話をくれました。私は急いで、決して広くない、いやむしろ狭いオフィスを走って入り口まで行き、ドアを手前に開けました。そしてそこに見たものは、なにやらでかい手提げを抱えたEさんでした。Eさんが小柄なせいか、その手提げがやけに大きく見ました(笑)。

 さあさあ中にどうぞとEさんを招き入れると、Eさんは慎重にその手提げをテーブルの上に置いて、その中から贈答用の包装紙に包んだ四角い大きなものを取り出しました。どうやら何かの額縁のような気がしました。絵?

 なにやら状況が分からないでいるとEさんがニコニコしながら、「これは佐藤さんに持って来ました。」と言ってその四角い大きなものを私の方へ差し出すではないですか!「???」一瞬訳が分からず、ボーっとしていると、Eさんはこんなことを言い出したのです。

 「今回お仕事を紹介して頂いて、私は佐藤さんに本当に感謝しているのです。この度は本当にありがとう御座いました。実はこれ、ミャンマーにいる母が佐藤さんへと送って来てくれたものなのですが、母も佐藤さんにとても感謝しています。」

 (ガーン!!なってこったぁーーーーー!!!)と私はそのEさんの言葉を聞いて頭をでかいハンマーでぶん殴られた気がしたのです(笑)。(自分ややったことと言えば仕事の紹介だけだよ。もしかしたらEさんの話をいろいろと聞いてあげたかも知れないけど、それってはっきり言って特別なことじゃないよ。)と心で叫び声をあげていました(笑)。

 そんな動揺している私をよそに、目の前のEさんは相変わらずニコニコしながらこちらを見ていて私が包みを開けるのを待っているようです。私は、はっと我に返り、「Eさん、開けてもいいですか?」と声を振り絞って聞きました。「どうぞ!」とEさん。

 お会いしたことも声を聞いたこともないEさんのミャンマーのお母さんが私のために送って来て下さったもの。私はドキドキしてしまって、思わずカッターで自分の指を切り落としそうでした(苦笑)。それを見かねてEさんか包装を解いてくれたのですが、その手つきもかなり慎重でしたので、おのずとその中身の重要さが伝わってきます。「絵のようなものですが、気に入ってもらえるかどうか・・・」とEさん。包装はEさんが自分でしたとのことでしたが、結構何重にもラッピングされていて「厳重」でした。

 その包装紙の最後の一枚が取り除かれて、私の目の前にその全貌を明らかにしたもの、それは「しっかりとした額縁の中に納まった“一個”の絵」でした。“一個”と表現するのは“絵画”ではないからです。でも“絵”なのです(笑)。それはなんと、色とりどりの石や貝殻で細工をした“絵”でした。満月に照らし出された森の木の枝の上に、つがいの「孔雀」がとまっている「絵」でした。

 「Eさん、こ、これは凄いです!」と私が、その細工の見事さに驚きの声をあげると、Eさんは、「これはヒスイでこれがタイガー・アイで、えーっとこれはなんだっけ?忘れました。あっ、この孔雀の目はルビーです。」と、いきなり貴石の名前を言い出したではないですか!「えっ!?」、なんとその「絵」は、Eさんの国、ミャンマーで産出される様々な「宝石」を使って描かれていたのです!はっきり言ってそれはもう「宝石箱」でした(笑)。

 その後2時間ほどいろいろな話をしてEさんは帰って行きました。ちょうどその日は満月だったので、「これから同じくシンガポールに住んでいるミャンマーの友達の所へ集まって料理を作る」のだと言っていました。私はひとりになったとき、いろいろと考えさせられました。仕事を通じて自分のしたことがこれほどまで人から感謝されるとは思っても見なかったので、Eさんの言葉とお母さんの贈り物は本当に嬉しかったです。久しぶりに「自分が主人公の感動」を味わせて頂きました。ところが一方、私の心を少し暗くしたのは、やはり私の心根です。Eさんが私に会いたいと言って連絡をくれたとき、私は彼女が「辞めたいのでは」というネガティブな面しか考えて居なかったです。もしそうなったらお客さんにどう説明しよう、などということに思いを巡らしていたのです。「やっぱ俺って、素直じゃないだよなー。(フウ)」とため息が思わず漏れました(笑)。私はまだまだです。言い訳だらけの人生にならないようにもっと精進しなければなりません(笑)。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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こんにちは♪ (にゃーご☆)
2009-10-09 10:27:15
素敵なお話ですね!
その絵も宝石箱だけど
Eさんとお母さんの気持ちも
宝石箱ですね☆
返信する
にゃーご☆さんへ (佐藤)
2009-10-09 11:57:45
にゃーご☆さん、御久し振りです!コメントありがとう御座位ます!

ホントそうですね。Eさんのところ、実は大変そうなのですが、心はとても裕福です。私も執着を捨ててそのように成りたいです(笑)。

そう言えば、にゃーご☆さんのブログのアドレス変わっておりましたね。拝見させて頂きました。
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