さっくん@勉強中

作家でごはん! において僕のつけた感想など

2006年!

2006-01-09 03:21:52 | Weblog
 ということで、大変遅れましたがまず抱負を語らせていただきます。
 それはズバリ「300枚位書いたけど、未完で、しかも途中からきつくなって脚本みたいになっちゃった処女作を完成させるぞ!」です。
 でもねー、あれなんですよ。元々文章力のなさを痛感して途中放棄しちゃったのですが、それでも最初の方は今読むと逆に結構イイんですよね。「僕」人称で書かれている為かもしれませんが、最近の私の文章よりもはるかに読みやすいんですよ(爆) もしかして退化してるかもー(ーー;

 という絡みで、平易な文章について、ちょっとした報告を。
 ええと、大体一日に一冊のペースで舞城王太郎「阿修羅ガール」、乙一「さみしさの周波数」(短編集)、吉本ばなな「キッチン」を読みました。それぞれの作者についてなぜ、この作品を選択したかといえば、たまたまブックオフにそれしか置いてなかったからというだけなんですが(笑) とりあえず、平易な文章特集みたいな脳内イベントを組んでみたわけです。電車の中で読みました。びっくりしました。こんなにさくさく読めるなんて! とりあえず、それに驚きました。私だってがちがちの純文学(なんだそりゃ)以外もそれなりに読んできたつもりですが、こんなにさくさく小説を読めたのは星新一以来だと思います。あれはSSだから特別なのだと思っていましたが、いやはや。
 勿論、各作品の評価は読みやすさとは別物(全く関係ないわけではないですが)。ということで、おそらくここでは初めてプロの作品に関する感想を記します。
 鍛練場の感想と同じく、一読感想主義(笑)でいきます。

舞城王太郎・・・面白かった。ところどころ(的確性において)「お前調子に乗って手ぇ抜いただろ」みたいな文があったと記憶していますが、押しなべて面白い文章。ある意味で主人公の内言(というか独り語り)に忠実すぎて、構成(各場面のウェイト配分、例えば公園のシーン)がぶっ飛んじゃっているようにも取れますが、「そんなことじゃ驚かないぜ(そんなことに分量は割かないぜ)」(しかも、わざとらしくない)というのが垢抜けた感じがして逆にグッド。ただし、怪獣のメタファーに関する主人公の解釈の部分(の説明の文章)は、うーん、適当にこじつけて、わざと曖昧にして誤魔化した(必要以上に難しくして高尚な感じを出そうとした)気がしなくもないです。

乙一・・・うまい。それに尽きると思います。逆に言えばうまいだけという感じでもありました。文章は特に面白いものではありませんでしたし、物足りなさも感じました。でもそれはライトノベル(なのかな?)なので、しょうがないのかも知れません。ということで面白いか面白くないかで言えば「結構面白かった」という感じです。でも最初の短編「未来予報」は、微妙に小学生が読んだら混乱しそうな「省略」が使われていたように思います。

吉本ばなな・・・古き良き時代のお肌に優しい弱酸性小説といった感じでした。多分、というか間違いなく、今の新人賞は通過できないと思います。記述が「描写」と接近したかと思うと「思考」の方に唐突に、たどたどしく独り歩きしていく。それはリアルなんだけども、どちらかと言うと「自分語り」に走っている感が強く、説得力に欠ける。文体、事件も、刺激に馴らされてしまった現代の私たちにとって、もはや、それはセンチメンタリズムでしかないと言ってしまうことすらできなくないものでした。ただ、読後には確かに「失われてしまった何か、(体験してもいない)懐かしい何か」について想わざるを得ないものがありました。しかし、それは最早我々が、この作品を発表当時と同じ感覚でもって読むことが出来なくなってしまっていることの証左に過ぎないでしょう。
 あと、文章ですが、上の二人よりもリズムの面で劣っていると思いました。

 総じて、どの作品も心にズシリと来るような感じではありませんでした。別に全ての作品にズシリを求めているわけではないですが。
 文章のファーストフード。とは言えファーストフード、私結構好きです^^ 他の作品にもあたってみようと思っています。

3 コメント

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無茶をする時期なのよね♪ (山葵)
2006-01-09 09:37:14
くれぐれもよく寝てくださいね。

年取ると自然に寝れなくなるんだよ。



感想にある作品、私もなぜか読んでいます。

けれど、最後まで読めなかったのが、舞城さんのです。文体は面白いけど、ちと疲れちゃいました。

手にした理由は題名が好きだから(笑)あとは、「リアル鬼ごっこ」も好きな題名♪

読んでないけどね(笑)

乙一は人に薦められて読みましたが、面白いけど買ってまでは読まないかな。吉本ばななもそう。

ただ、ばななは熱狂的な信者が友達にいるので、定期的に家にやってきます(笑)

Unknown (吉良っち)
2006-01-09 19:07:08
あけおめー♪ ことよろー♪(笑)

さてさて、正月に飲んだくれたために風邪をこじらせている吉良明良です。

今は、風邪薬とビールを併用して養生中の身だったりします(爆)



舞城氏の作品はまさに今どきで、漫画をそのまま文章にしたような雰囲気を感じます。

で、乙一氏。すごいですね。私はGOTHとZOOを読みましたが、めちゃくちゃ面白かったです。

最後に吉本ばなな氏。さっくんさんは今の新人賞は通過できないとの見解ですが、私はまったく逆の考えだったりします。

吉本さんの文章は読みやすい上に、繋げ方が上手いんですよ。台所が好きって話からすんなり入っていくんだから。それで、すんなり世界観に浸れるし、う~ん、何て言えばいいんだろう。着眼点の違いがこの方のすごいところではないかと。今読んでも、古い作品だと感じさせられないところが素晴らしいと思います。



まあ、小説の好みは千差万別なんで、一意見として流してくださいね~♪
こんばんは (さっくん)
2006-01-10 02:12:02
山葵さん

 良く寝ろと言われて、この時間にお返事するのもなんですが(^^;)

 確かにあの文体は、特に女性にとっては疲れるものかもしれません。「阿修羅ガール」に限った話かもしれませんが、あれ読んでるとき常に私の頭の中に女子高生が浮かんでましたから(爆) それが読み進める原動力の一つになっていたのかもしれません。

 今度違う作品読んでみよう。あの言葉の洪水のような感じが果たして他の場合でも、私にとってよく感じられるのかどうか?

 吉本ばななは、多分その影響力は凄いと思いますよ。特にネット上の小説見てると、本人が吉本ばななを読んだことがあるかに関わらず、そう言った流れみたいなものは感じます。



吉良さん

 あけおめことよろです。

 そういえば、友達と飲んでいるとき、そいつが風邪薬飲もうとするのを「死ぬから!」って必死に止めたのを覚えています。今思えば、アルコールと一緒に飲んじゃやばいのは睡眠薬の方だった気がします(爆)

 舞城作品に対して、私は漫画並の手軽さを小説で実現してはいるが、漫画的ではないと思います。おそらく吉良さんも実はそんな感じではないかなと思っています。

 乙一に関しては私もGOTHとZOOが読みたかったんです。それを読まないと多分私は乙一のことを過小評価したままになってしまうと思われるからです。でもブックオフに(以下略)

 「ヒズ・マザー」とか今からすれば「さむい」言い回しは兎も角として、吉本ばななの作品は勿論プロの水準に達しているとは思います。私の好みではないし、なんとなく鍛練場とかでよく見るタイプの文章な気はしますが、その分好きな人は本当に好きそうです(上で信者の話がでてきましたが)。ただ、今となっては、新人賞としてはインパクトに欠けるような気がします。「キッチン」はデビュー作なんですが、あくまで私見としては、デビュー後に書く作品という感じがしました。

 確かに台所が好きって話から、気がついたら、本筋に入っていくというのは、上手い繋げ方でした。というよりも、狐に化かされたような気にすらなりました。「あれ? いつの間にかお話が進んじゃってる」みたいな(笑)