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パイロット養成講座

多くの機長、副操縦士を育てた坂井優基が、パイロットになろうとする人や訓練生に送るアドバイス

富津ビジュアルの廃止とILX X 34L

2013-02-08 | 進入

ウムキさんの質問に答えて

また新たな話題なのですが、2月7日のラック日で今までの富津ビジュアルが廃止され、ILS X 34Lが開始される
と伺いました。

この ILS X 34Lとはどのような進入ルートなのでしょうか?またお時間のあるとき教えてください。よろしくお願いします。

ウムキさん良く勉強されてますね。富津ビジュアル、ILSX 34Lともに房総半島南部の騒音を軽減するために作られたアプローチです。

ただし富津ビジュアルの場合、富津岬の先端(ケープ富津というポイント)を目視で確認する必要があるため、昼間、天気がかなり良い時しか実施できませんでした。

これに対してILS x 34LはRNAVルートを飛行してそのままILSを行うために夜間やそれほど天気が良くない時でも実行できます。

両方とも経路はほぼ同じですが、ILSX 34Lは、高度の制限、速度の制限がつくとともにファイナルで34Rへの進入機との間でTCASを作動させないために降下率まで制限されてしまいました。

パイロットの立場からすると、この3つを同時に満足するのは苦労します。どれか一つでも緩めてくれると良いのですが・・・


ランウェイチェンジ

2012-06-01 | 進入
飛行機が離発着に使う滑走路を変えることをランウェイチェンジといいます。
例えば、羽田で滑走路22と23を着陸に使っていたのを、滑走路34Lと34Rを使うように変えることを言います。
管制官が風の強さや、飛行機の混み具合などを見て決めるのですが、このランウェイチェンジが起こると飛んでいる飛行機は大変です。
今まで着陸のために順番に並んで飛んできたのが飛ぶ経路が大幅に変わります。
また継ぎ目で間隔をあけなければいけないので、空中でホールディングさせられたり、減速した上で遠回りをさせられたりと燃料を使います。
天気の変更はTAFや天気図で読めるのですが、ランウェイチェンジはTAFの風の変化から予想するしかありません。
前後3時間の間に風向が変わるなどと言う予想の時に自分が着陸するピンポイントでどうなっているのかを予測するのは大変です。

自動で速度調整するような機構

2012-05-11 | 進入
質問

今日、772の進入を真下から見ましたがエンジン回転の変化に驚きでした。自動で速度調整するような機構はないのでしょうか?

自動で速度調整するような機構がオートスロットルです。
ただし最近の気象ではオートスロットルが風の変化に追従しきれないときがかなりでてきています。

速度の変化

2012-05-08 | 進入
一昨日のように風の変化が激しいときにはアプローチをしていても速度がめまぐるしく変わります。
遅すぎると失速に近づきますし、失速までいかなくてもバックサイドオペレーションとなってパスを維持するだけでも大きなエンジンパワーが必要になります。
速すぎると、フラップのリミットスピードを超えてしまいます。
一昨日のような場合には積極的にエンジンのパワーを変えて速度を一定の範囲に保つようにしなければなりません。
ただし、パワーを変えっぱなしでは速度が逆の方に変わります。
速度が減少しはじめたと思ったらエンジンパワーを上げ減少が止まって戻り始めたらすぐにやや多めのパワーまで戻す必要があります。
逆に増え始めたと思ったらエンジンパワーを下げ、増加が止まって戻り始めたらすぐにやや少なめのパワーまで戻す必要があります。
当然エンジンパワーを変えるとほとんどの飛行機ではピッチも変化するのでこの変化を押さえるようにエレベーターを動かします。
またこのような場合、常に地上の風を頭に入れておいて、現在の風との変化を読まなければなりません。
風が変化する時は、合わせて上昇気流、下降気流がかなり強く表れます。
その分エレベーターも対応させなければなりません。上昇気流下降気流でエレベーターを動かしてピッチが変わると速度も変化するのでエンジンパワーも変えなければなりません。ひとつのパラメーターを変えるとそれに伴って他のパラメーターも変化します。さらにこれに横方向の変化が加わります。
風の変化が少ない時に比べて、対応する変化が2倍、3倍ではなく2乗、3乗となる気がします。

速度の変化

2012-05-08 | 進入
一昨日のように風の変化が激しいときにはアプローチをしていても速度がめまぐるしく変わります。
遅すぎると失速に近づきますし、失速までいかなくてもバックサイドオペレーションとなってパスを維持するだけでも大きなエンジンパワーが必要になります。
速すぎると、フラップのリミットスピードを超えてしまいます。
一昨日のような場合には積極的にエンジンのパワーを変えて速度を一定の範囲に保つようにしなければなりません。
ただし、パワーを変えっぱなしでは速度が逆の方に変わります。
速度が減少しはじめたと思ったらエンジンパワーを上げ減少が止まって戻り始めたらすぐにやや多めのパワーまで戻す必要があります。
逆に増え始めたと思ったらエンジンパワーを下げ、増加が止まって戻り始めたらすぐにやや少なめのパワーまで戻す必要があります。
当然エンジンパワーを変えるとほとんどの飛行機ではピッチも変化するのでこの変化を押さえるようにエレベーターを動かします。
またこのような場合、常に地上の風を頭に入れておいて、現在の風との変化を読まなければなりません。
風が変化する時は、合わせて上昇気流、下降気流がかなり強く表れます。
その分エレベーターも対応させなければなりません。上昇気流下降気流でエレベーターを動かしてピッチが変わると速度も変化するのでエンジンパワーも変えなければなりません。ひとつのパラメーターを変えるとそれに伴って他のパラメーターも変化します。さらにこれに横方向の変化が加わります。
風の変化が少ない時に比べて、対応する変化が2倍、3倍ではなく2乗、3乗となる気がします。

オートパイロットをどこでディスエンゲージするか

2012-04-16 | 進入
操縦桿やサイドスティックにはオートパイロットのディスエンゲージボタンがついています。
上空からオートパイロットで降下してきて、どこでオートパイロットをディスエンゲージして、マニュアルで飛ぶかは非常に重要です。
どこまでオートパイロットを使っても良いかは、飛行機のマニュアル、カンパニーのマニュアル、空港毎、アプローチ毎に決められています。
ここが下限です。オートランドして良い空港と滑走路で、地上の体制が整っているときはオートランドもあり得ます。
この下限以前にどこでオートパイロットをディスエンゲージするかはパイロットに任されています。
たまに10000ftなど高い高度からマニュアルで飛びたがる人がいますが、これが許されるのは基本的には晴れた日中だけです。
マニュアルで飛ぶと、PM(パイロットモニタリング 操縦していない方のパイロット)のワークロードが増えて大変になります。
また、あまりに長時間マニュアルで飛んでいると人間の集中力が落ちてきて、一番肝心な着陸の時にうまく操縦できないことも起こります。
現代の飛行機の基本は、オートパイロットに操縦させてパイロットはそれにコマンドを与え動きを監視することです。
では、どこまで使うかはその時の状況で変わります。
ILSアプローチで悪天でライトが見えないときには、DAまで使った方が安定します。
ただし強風が加わるとマニュアルで飛び出してから安定させるまでの時間が足りなくなることがあります。
このような場合500ftまたは700ft等ある程度高いところでディスエンゲージした方が良いときがあります。
またどんなアプローチでもビームが揺れて飛行機の挙動が不安定になったらマニュアルにすべきです。
逆にあまりオートパイロットに任せてばかりいると、技量が落ちます。
天気が良い日中で、さほど混んでいない空港では時々マニュアルの練習も必要です。

アプローチモード

2011-11-12 | 進入
FDやオートパイロットを使ってILSアプローチを行う場合、アプローチモードにします。
アプローチモードにすることによって、ILSのローカライザーとグライドスロープの両方にフォローします。
ここで大事なのがアプローチモードにするタイミングです。
高いところから降下しながらアプローチモードにしたりグライドスロープが不安定な時にアプローチモードにすると、
まだローカライザーのコースに乗っていないのに降下を開始したり、不安定なグライドスロープをキャプチャーして機首が上下に大きく振れることがあります。
このような場合は、まずローカライザーモードにして最初にローカライザーに乗り、グライドスロープの下に飛行機がきて安定しているのを確認してからアプローチモードにします。

GCA

2011-04-25 | 進入
kooriさんの質問に答えて

質問
地震の影響でILSなどの計器着陸に関する空港の電波発信装置が壊れたときにはGCAが有効だと思うのですが、那覇や小松などの限られた空港でないとできないのでしょうか?また、GCAは管制官とパイロットの呼吸が合わないと難しいと思うのですがコツみたいなものはあるのでしょうか?よろしくお願いします。

GCAやILSが本当に役立つのは天気が悪いときです。天気が良いときは管制官にレーダーで誘導してもらってある程度、空港に近づけば滑走路が見えるので目で見て着陸できます。

GCAは設備が簡単に移動できます。設置もILSよりずっと簡単です。また自衛隊のGCAの管制官(小松や千歳、那覇・・・)の方は非常に優秀な方が多いと思います。
747でGCAで誘導してもらってもほとんど、ドンぴしゃの場所にでてきます。
聞いたところによると、この機種はレーダーの陰の下から1/3のところを中心と思って誘導するなど非常に細かい技を使われているようです。

問題はパイロットの方で、GCAに慣れていないパイロットが多くなった気がします。GCAではターンライト183のようにヘディングは1度単位でコントロールします。また同じ角速度でヘディングを変えることで、管制官はそのパイロットの特徴を覚えてそれに合わせてヘディングを変える指示を出します。
パスの変化のさせかたも精密にやらなければいけません。
慣れていないパイロットだと、そこそこの位置には出てくるとは思います。

GCAを使うと、何もなしや他の方式よりもより低い高度まで進入することができ、着陸の可能性が増えます。


ILSにおける高度チェックの重要性

2011-01-28 | 進入
ILSではその構造上、整数倍のパスにゴーストの電波がでます。
3度パスのGlide Slopeでは6度、9度のパスの部分に偽の電波がでます。

また、Glide Slopeの電波は、なるべく地面近くから出す必要があります。
そこで、ある程度高いところから、一度地面に向かって電波を出し、地面で電波を反射させてそこから上空にあげています。
反射面が水や雪で覆われると、電波の角度が変わることがあります。
このため、モニター装置がついているのですが、モニター装置は故障することもあり得ます。
つまりILSの電波に乗っていても絶対に3度のGlide pathの電波だという確証がないことになります。

そこで、ILSを行う時はDMEの距離またはFIX上などの特定の場所で高度をCHECKすることが重要になります。
特定の場所とその場所でのGlide Slope上の高度はチャートに書かれています。
パイロットは必ず、特定の場所での通過高度をチェックしなければいけません。

ただし、高度は温度の差によって気柱が伸び縮みします。
季節による若干の誤差は常に存在します。
本来は気温によりこのずれをあらかじめ予測するのが王道ですが、重要なのは大幅にずれていないことです。