パイロット養成講座

多くの機長、副操縦士を育てた坂井優基が、パイロットになろうとする人や訓練生に送るアドバイス

大型機の操縦

2011-09-25 | PMDG NGX
DKさんの質問に答えて

質問

こんばんは。
参考となるソフトの紹介ありがとうございました。

私はこの半年ほどの間に採用試験等で737NGやQ400のFFSを操縦する可能性があります。

経験者に話を聞くとパターンフライトや急旋回、ILSなどを実施し当然ながら、パイパーやセスナなどの訓練機とは慣性が違い苦戦したということでした。

小型訓練機と大型機との操縦における違い、注意点などポイントがありましたら、アドバイスいただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。

小型機は高ければ操縦桿を押し、低ければ操縦桿を引くというような動作で操縦することができます。
大型機でこれをやると安定しません。大型機の操縦はまず姿勢を作り、パワーをセットして待つということが基本です。
例えば今高くなったとして、ただ闇雲に操縦桿を押すのではなく、現在のピッチより1度か2度下げます。
そして下向きのレートを作ります。
ここで高度ばかりを見てはいけません。
いったんピッチを決めたら今度は速度を見てパワーが足りているのか多いのかを判断してエンジンのN1を操作します。
その後、左右があっているかどうかを確かめます。
横方向はただ左、右に動かすのではなく、もし左にいるとしたら少しバンクを右にとってすぐ水平飛行に戻し、ナビゲーションのようにヘディングで乗ります。
その後、高度またはグライドスロープに戻って、今のピッチが適切か判断します。
丁度良い高度になったらピッチを少し上げます。

基本は姿勢とパワーを作って待っているという点と
動作の結果をチェックして対応するのは、速度や横方向のずれをチェックしてそれに対応した一週遅れということです。

もし訓練で使っていた飛行機が丸形の昔の計器を使っていたのでしたら、PFDのテープへの慣れも必要です。

これらは、シミュレーションソフトを使ってもある程度訓練できます。

Good Luck!


反射神経

2011-09-20 | 訓練
wingaceさんの質問に答えて。
確かに反射神経は重要ですが、ATCを非常に早いテンポで答えるのと反射神経は少し違う気がします。
ATCは反射的に答えるのでは間違いが起きます。
言われたことが自分の飛行機に向けてなのか、管制官が他機とコールサインを間違えていないか、指示がおかしくないか確認しながら答えています。
例えば自分の出したフライトプランの高度が360で管制官の指示が380ならREQUEST360と言うのが正解です。
ヘディング230を要求したのに200が来てそのヘディングだと積乱雲に突っ込むなら、要求し直します。
非常に素早く受け答えできるのは、慣れと同時に、自分に対してどのような指示がくるはずなのか予想できているからも有ります。
もう降下しなくてはいけない地点にさしかかっているのに、上昇の指示が来た場合、本当に上昇が必要なケースもありますが、コールサインを間違ったり何か勘違いしているケースがあり得ます。

素早く聞くには良くわかったことを繰り返し徐々に速度を上げて聞く方法が有効です。速度が変えられるICレコーダーが役に立ちます。

反射神経を鍛えるよりも、頭の回転速度を上げる方が有効です。
昔は頭の回転速度を上げるために、車のナンバープレートの4つの数字を四則演算して10にするような練習もしていました。
道を歩きながら向こうから来る自動車のナンバープレートを見て式を作ります。
5321なら5x(3+1-2)となります。慣れてくると(5+3+2)x1など一つの数字で別の解も出したりしていました。
車が続いてくると、なかなか良い練習になります。
ただしくれぐれも自分が運転中はやらないでください。

ちらっと数字を見ただけで覚える練習も、計器などを瞬間に読むには有効です。


HUD

2011-09-14 | PMDG NGX
kooriさんの質問に答えて。
IDENT参照
HUDは毎回使っているわけではありません。

HUDには良い点と悪い点があります。
良い点は非常に正確にコントロールできることです。
HUDを使っているパイロットが操縦しているのを反対側の席でFDを見ているとFDがセンターからぴたりとも動きません。
また目を、外、計器と移す必要がないところも便利です。

悪い点は、HUDばかり見て操縦していると、自分の機体がどんな姿勢でどちらを向いてとんでいるのかわからなくなる可能性があることです。
特にHUD内の表示の位置と、実際の計器の表示の位置がずれているために、直感的に自分の姿勢がつかみにくくなります。

使えば便利だが、使いこなすには練習が必要といった感じでしょうか。

スイッチ操作

2011-09-11 | 基礎
コックピットには様々なスイッチがあります。なかには似た形のスイッチが近い場所にあるものもあります。
スイッチ操作の原則は、操作するまえにスイッチのところに書かれている文字を読むことです。
ごく限られた緊急事態のほかに、スイッチを素早く操作しなくてはいけない場面はありません。
またスイッチは一つずつ作動を確認してから次のスイッチに移るべきです。
慣れてくるとつい素早い操作でスイッチ操作をしがちですがとても危険です。

宛先のはっきりしないATC

2011-09-01 | ATC
先日、ATCが出した指示の便名の部分が他機からの呼びかけで聞こえませんでした。
状況から言って自分の機に出されたATCであることは、ほぼ確実で副操縦士は自機へのATCとしてこたえていました。
副操縦士に指示してもう一度確認してもらいました。
状況での推察は非常に危険です。
いくら状況がそうだからといっても実は他機に出したATCかも知れません。
勝手な推察、思い込みがATCミスや事故を誘発します。
宛先が確実でないATCには返事をしないのが一番です。
誰も返事をしなければ、管制官はもう一度言うはずです。