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パイロット養成講座

多くの機長、副操縦士を育てた坂井優基が、パイロットになろうとする人や訓練生に送るアドバイス

TOEIC

2013-10-10 | その他

質問

もうすぐ、就活が始まります。航空業界に、絶対入りたいと思っているのてます。
そこでパイロットになるのに、また航空関係の仕事に就くのに、 TOEIC を受けておく必要はあるのでしょうか??個人的には受けた方が良いかと思う反面、選考ステップに英語の試験があるので、それに向けた英語の勉強や面接対策 などを集中してすべきではないかとも思っています。これについて教えていただきたく思います。よろしくお願いします。

各、航空会社によってTOEICの重視の仕方は違うかと思います。

昔は英検が測定の基準でしたが今はTOEICが基準となっているようです。

航空会社の過去の試験でTOEIC何点以上と明記していなければ、これを目指す必要はないかと思います。特にわざわざ英語の試験がある場合は、その成績が重視されます。TOEICは何回でも受けられて、その最高点が使われる。そのためまぐれあたりがあり得る。英語ができなくてもTOEIC対策で点が取れるところがあります。わざわざ自社で英語の試験をするということはこのような部分を嫌ってのことだと思うので、今はTOEICよりも実力をつけることを目指したほうが良い気がします。


普段から行っている健康管理

2013-10-10 | その他

健康管理といえるかどうかわかりませんが、今やっているのが家にエアロバイクを置いて最低30分できればそれ以上こいでいます。マニュアルや資料を見ながら足だけ動かしていればいいのでらくちんです。

出先ではなるべく歩くようにしています。

また寝る前には、長友のトレーナーとして有名な木場克己さんの体幹トレーニングをやっています。

ときどきプールに行くのですがどうしても回数が限られるのが悩みです。



ギャンブル

2013-10-01 | その他

うまくいけば成果が得られるが失敗すると全てを失う物にギャンブルがあります。

パイロットは自分のフライトでギャンブルをしてはいけません。乗客、乗員は勿論のこと地上にも多くの人がいます。うまくいけば成果があるが失敗したら事故につながるかもしれないような判断をする人は絶対にパイロットには向きません。


ビジョナリーカンパニー4 その2

2013-08-22 | その他

IMAXの映画をエベレスト頂上で撮影しようとしていた、登山家ブリシャーズの一行は、前日夜強風が吹いたこと、多数の登山家が自分たちに続き、もし天候が悪化して下山しようとしたときに、一度に一人しか通れないヒラリーステップがボトルネックになる危険性を考えて、頂上すぐ下方から下山しました。一旦下山して数日後に再アタックする作戦です。下山中は好天にめぐまれ途中ですれ違った他の隊からは何でこんな好天の中下山するのといった顔をされました。ところがその後、天候が急変し後から頂上を目指して昇った隊の中から多数の死者が出てエベレスト最悪の遭難事故となってしまいました。

このブリシャーズの判断は単なる幸運の結果ではありません。この幸運は既にエベレストに向かう前の行動が決めました。ブリシャーズは通常の頂上へのアタックに必要な量の何倍もの酸素ボトルを用意していました。だからこそ引き返して再アタックするという決断ができました。また残った酸素ボトルの半分以上を救助の為に差し出しました。それでもなお数日後に再アタックしてエベレスト頂上からのIMAXの撮影に成功しています。

やはり「良く準備したものだけが生き残る」のが鉄則のようです。


ビジョナリーカンパニー4 その1

2013-08-21 | その他

本の題名です。本来は経営の本なのですが,パイロットにも役に立つ話がたくさんでていました。その一つが南極点到達一番乗りを争った、アムンゼンとスコットの話です。南極探検を始める前にアムンゼンは北極近くのエスキモーと一緒に暮らし、服から行動の仕方、犬ぞりの扱い方まで体験していました。探検の時は、人数に対して多すぎると思われるほどの食料や燃料を持って出発しています。さらにデポとデポの間にはたくさんの黒い旗を竿につけて刺しています。万が一の時に目印にするためです。事前の準備が運命を決めます。


新型エンジン

2013-08-20 | その他

川崎重工がロールスロイスなどと組んで、全く新しいタイプのエンジンを開発することになりました。

従来のジェットエンジンと違って、後部に大きなプロペラ状のファンを持ちます。ターボファンエンジンはファンが送り出す空気の速度と機速がある程度近い方が効率が上がります。結果として従来のエンジンより燃費が3割改善するようになります。もしこのエンジンができると737やA320クラスの機体で、日本からアメリカ西海岸までフライトすることができるようになります。今までのように主要空港と主要空港だけでなく、例えば新潟サンホセのように今まで飛んでいない路線が飛べるようになります。


コールサイン

2013-08-11 | その他

ATCからの指示に対して自分の飛行機のコールサインを全く言わなかったり、会社名を省略して数字だけを答えたりする人がいます。これはとっても危険です。ATCの指示は自分の機体ではない別の飛行機へのものかも知れません。コールサインを言わなかったり省略すると管制官が訂正することができません。

省略して言う、副操縦士はコックピットにはいりません。


最悪の想定

2013-08-07 | その他

先日来、美白をうたった化粧品で肌がまだらになるというニュースが出ています。今までは5月の医師の報告で検証を始め7月に入って回収を始めたと報道されていましたが、実は去年の10月にある医師が会社に報告していたことがわかりました。もしこの時対処していれば被害者の数はずっと少なかったはずです。ある被害者は今でも同じ会社からダイレクトメールはたくさんくるけれど、危険な化粧品を使わないでという知らせは一回もきていないと言っていました。

悪い事は考えたくない想定したくない。回収ではイメージが傷つき、多額の費用がかかる。だから特定の人のアレルギーだろう。他は関係ないと自分に都合が良いように想定してしまいます。その結果被害の拡大を招き、より多数の人を不幸にしてしまいました。会社にとっても損害賠償や売り上げ減少を大きくし下手をするとつぶれるかも知れません。特定の人の判断なのかも知れませんが、世間からこれがその会社に勤める人の共通の認識で、その会社の文化だと見られます。

安全を保つためには常に最悪を想定して対処する必要があります。


新潟空港

2013-08-07 | その他

ウムキさんコメント有り難うございます。

あくまでトラブルが無かったという仮定のもとの推論です。判断に使える時間は数秒です。先日紹介した安全のマニュアルにもありましたように一瞬悪魔のささやきが聞こえることがあるのかも知れません。


新潟空港のオーバーラン

2013-08-06 | その他

昨日、新潟空港で大韓航空機が滑走路内で止まりきらずに草地に前輪が突っ込んで止まりました。

この時のMETARを見てみると以下のようになっています。METARだけからは、問題になる気象条件はありません。機体故障や悪天がない場合に一番多いオーバーランの原因は、接地点が内側に入りすぎて、接地してから残りの滑走路が足りないことです。定められた範囲に接地できない場合、躊躇せずにゴーアラウンドをして着陸をやり直す必要があります。ただし着陸直前のゴーアラウンドは通常のゴーアラウンドとは違います。着陸直前の場合、操縦桿を大きく引くと機体後部が滑走路に接触します。

 

RJSN 050900Z 03007KT 9999 FEW030 SCT100 26/24 Q1005
RJSN 051000Z 05006KT 9999 FEW030 SCT080 26/24 Q1005
RJSN 051100Z 03005KT 9999 FEW030 SCT080 25/24 Q1005


風立ちぬ

2013-07-30 | その他

今日、風立ちぬを見てきました。

以下はあくまで個人的な主観です。正直、面白くありませんでした。堀越二郎の設計者の話と、堀辰雄の結核の恋人との悲恋物語を無理無理くっつけ、さらに時代の違うイタリアの設計者カプローニを二郎の夢の中で登場させる。3つの話を詰め込んだためそのどれもが薄くなってしまった気がします。映画に出てくる九試単戦や七試単戦のフォルムが実機とはまったく違います。苦境の中にあっても何が何でも生き抜かなければというメッセージを伝えたかったのだと思いますが、3つの話を一緒にしてしまったことで相当な無理が生じてしまったようです。さらに主人公の声を他の映画監督がやり、それが完全に台本の棒読みとは。となりに座った親子は半分もしないうちに帰ってしまいました。その方が正解だったのかも知れません。ひょっとして期待値が高かった分だけつまらないと感じたのかも知れませんが。

 

 


野田岩

2013-07-30 | その他

昨日のNHKプロフェッショナル仕事の流儀では、うなぎの名店野田岩の5代目の話をyっていました。

御年85歳ばりばりの現役です。興味深かったのは85歳になったいまでももっとおいしくするにはどうしたらいいか、いつも考えている点です。あえてワインと一緒に出したり、白焼きの上にキャビアを乗せるなどの工夫をしています。伝統とは同じ事を繰り返すことではないということですが、これを実行できる人は少ないかも知れません。もう一つ毎日仕事が終わった後日記をつけていました。

両方ともフライトに通じる話です。これからも頑張らなくては。


スペインの鉄道事故

2013-07-28 | その他

スペインでも非常に大きな鉄道事故が起きました。

この事故では80km制限のカーブに190kmという速度で突っ込んだことが原因のようです。

運転士が証言を拒否していますが、ひょっとすると速度記録を作ろうとか、不純な動機が絡んだのかもしれません。

飛行機もそうですがワンマンオペレーションの怖さがそこにあります。

ワンマンオペレーションには必ず機械的なバックアップが必要です。

 


787

2013-07-17 | その他

ロンドンでエチオピア航空の787が火災を起こしました。

垂直尾翼の前の天井部分が燃えて穴が開いています。

たまたま地上でしたから良かったものの飛行中に起きれば、与圧がなくなり火災は消せず事故になっていたかも知れません。

この事故で重要視すべきなのはすべての電源をOFFにしていた状態でこの火災が起きていることです。

疑われているのはELTという非常救難信号を出す装置のマンガンバッテリーです。

リチウムイオンではなくマンガンバッテリーでしかも電源OFFの時に火災が発生したということは別の原因を疑う必要があります。

787は与圧用のコンプレッサー、ハイドロポンプ等、機体内の全ての動力を電気でまかなっています。

ここで一つ懸念されるのは、複雑な回路を作りすぎたために本来は流れないはずの電流が勝手に流れているのではということです。

家庭で言うと本来100ボルトが流れるはずの電線に勝手に200ボルトや300ボルトの電気が流れている可能性があります。

もしこのような勝手に流れる高圧電流が原因なら、リチウムイオン電池の火災の原因がわからないまま飛ばすのは疑問が残るところです。

 

 


自動装置への過信

2013-07-12 | その他

報道によると次のように言われています。

「機長はNTSBに対し、オートスロットルを空港進入時の目標速度に設定したが、着陸直前になって速度が維持されていないことに気付いたと話している。」

これに対してNTSBは現時点ではフライトレコーダーの記録からはオートスロットルは機械が故障したという事実は見つからないと述べています。

問題はオートスロットルが正しく作動していたかどうかではありません。

いくらオートスロットルを入れていても、正しい速度を維持しているかどうかはパイロットが計器を見て確認しつづけなければなりません。

それをやらないパイロットはもはやパイロットではありません。

「私は機械にセットした。守らなかったのは機械の責任だ」では、操縦席に座っている意味がありません。