goo blog サービス終了のお知らせ 

パイロット養成講座

多くの機長、副操縦士を育てた坂井優基が、パイロットになろうとする人や訓練生に送るアドバイス

シミュレーションフライト

2012-11-07 | 訓練
訓練で一番役立つのがシミュレーションフライトです。実際の訓練時間は限られます。訓練時間だけで全てのことを学ぶのは不可能です。そこで頭の中でシミュレーションフライトをすることが重要になります。
最初のころ何もないところでシミュレーションフライトをするのも難しい話です。そこで多くの人がシミュレーターならぬ紙レーターを使います。壁に実物大のコックピットの計器やスイッチが描かれた紙を貼り、それに向かって計器の指示を想像して仮想のフライトを行います。
 紙レーターの欠点は動かないことです。プロセジャーの訓練には役立つのですが、紙レーターはどんなに時間がかかっても飛ぶことはできます。実際のフライトではその間に飛行機がどんどん進んでいっていってしまいます。この時間的感覚を身につけるのに良いのが、フライトシミュレーションソフトです。ただしフライトシミュレーションソフトで操縦桿やスラストレバーを使ってコントロールしようとしてもなかなかうまくいきません。それよりもオートパイロットを使って、どこでフラップを出し始めるかとか、どこでチェックリストをやるかといったタイミングの練習に使うと効果があります。
また自分一人でやるよりも友達と二人でそこは違うんじゃないかとか、一人が管制官役をやるとかして使うとより役立ちます。

フライトシミュレーションソフトの活用

2012-03-05 | 訓練
cactraineeさんの質問に答えて

質問
こんにちは。
いつもブログ拝見しています。

現在、多発・計器課程の訓練生です。

フライトのイメージトレーニングにPCの市販のフライトシュミレータソフトは活用できるでしょうか?

操縦技術の練習というよりも、ここでNAV周波数を変える、ここまでにL/Dブリーフィングを完了させるというような、マネジメント的なイメージトレーニングを想定しています。マイクロソフトのFSXには訓練機材が収録されていて、ガーミンのグラス・コックピットも再現されているので購入を考えていますが、イメージトレーニングにシミュレータを使う際の留意点などもご教示いただければ幸いです。

回答
フライトシミュレーションソフトは使い方さえ正しければ非常に有効なツールです。
特に今はかなり実機に近いアドオンがたくさん出てきています。
実際大型ジェット機のプロのパイロットでもトランジッションの初期で、PMDG社やWILCO PUBLISHING社のソフトを使っている人も多数います。

昔は、紙や想像でやっていたことを目の前で計器を見ながらやるのですから非常に有効です。
使い方としてはプランニングに重きを置くと良いかと思います。
操縦特性などは実機とかなり違うのでこれで操縦を身につけると間違います。
一番有効なのは離陸したらすぐにオートパイロットを入れて、プロセジャーやチェックリスト、さらにはNAV周波数の切り替えや、自分で勝手に想像した仮想のATCとのやりとりの練習などです。友達がいれば二人で、一人が管制官役になって高度変更や、DEVIATIONの指示、APPROACH CLEARANCEを出すなどすれば自然とATCも身につきます。


将来的にエアラインを受けるのでしたら、多くの会社がシミュレーターを使って適正検査をします。
737、A320、DASH-8、EEMBRAELなどその会社に合わせたソフトで計器の見え方に慣れておくだけでも違うかも知れません。



左手

2012-02-19 | 訓練
飛行機は機長が左に座ります。左右両方に操縦桿がある場合、どちらからでも動かせるようにエンジンのコントロールは中央にあります。
必然的に、左席に座った機長は左手で操縦桿を動かすことになります。
ところが左利きや両利きの人を除いて、ほとんどの人が右利きです。
左手は細かな動きが苦手です。

そこで、少しずつで良いから左手を使う訓練が重要になります。
ドアを左手で開ける。
物を左手で持つ。
とりあえずは単純な動作から、だんだんと左手でやるようにしていくと、どんどん細かい動きもできるようになります。
最終的には左手で箸を持って食事ができる。きれいな字でなくても良いから左手で字がかけるようにもなります。
ただ、一度に無理に行おうとすると脳に負担がかかりすぎます。
最初は時間を決めて5分だけ、10分だけとだんだん延長していくのも一つの方法です。

計算能力の向上

2012-02-10 | 訓練
パイロットにとって頭の中で瞬間的に様々な数字を計算する能力も重要です。
頭の回転を良くするのにも通じるかも知れません。
その一つに車のナンバープレートを使う方法があります。
道路の横で通過する車のナンバープレートの4つの数字を瞬間に読み取り、その4つを足すか引くか、掛けるか、割るかして合計が10になるような数式を考えます。
例えば、1234でしたら1+2+3+4=10となります。
さらに慣れてきたら、別の解も考えます。
1234で((4×3)-2)×1=10となります。
勿論中にはどうやっても10にならない数字もあります。
そんな時は、不能という答えを出します。

くれぐれ安全な状態で実行してください。


記録の重要性

2012-02-02 | 訓練
人間は非常に忘れやすい生き物です。
せっかくあるやり方を覚えてうまくいっても半年たつと細かな部分はあやふやになってしまいます。

そこで大事なのが、あるやり方でうまくいったとなったらその方法を克明にノートに書いておくことです。
そうすれば、何かがうまくいかなくなってもノートを読み返すだけで簡単にうまくできる状態に戻れます。

サッカーの本田選手やプロ野球の古田選手など、一流になった人の多くがきちんとノートをとっておりあるごとに読み返していたそうです。

気象予報士

2012-01-31 | 訓練
kazuさんの質問に答えて

質問
パイロットやディスパッチャーとして活躍されている方で、「気象予報士」の資格をもっている方もいると聞いたことがあるのですが、実際はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

メインとして必要とされるのは航空気象だと思うのですが、気象に関わる職業である以上、気象予報士の資格を持つほどの「知識」をもっていることも安全への1つのアプローチなのかな、と思います。

また、気象予報士の資格を持っていれば総合職事務職として入社後に、ディスパッチャーに配属されることもあるのでしょうか。

ご返答よろしくお願い致します。

答え
パイロット的にいうと、気象の知識は必要ですが、必ずしも気象予報士の資格が必要というわけではありません。
全パイロットでこの資格を持っている人は数%でしょうか?
パイロットになるためには、非常に多くの分野の知識が必要です。パイロットになる課程で特定の分野だけへの集中は他がおろそかになる可能性もあります。
パイロットになってから目指すのは良いかも知れません。
現実に今この資格を持っている人のほとんどが、まずパイロットになってそれからこの資格を取っています。

ディスパッチャーを目指すのでしたらこの資格はかなり有利になるかと思います。
会社によって違うのでしょうが、ただ単に「ディスパッチャーになりたい」という人と「気象予報士の資格を持っています。ディスパッチャーを目指しています」という人では扱いが違うのは当然です。

現状、両方を目指されているのでしたら取っておいて損はないかも知れません。
航空級無線通信士の資格もあっても良いかも知れません。
(こちらが先でもいいかも知れません)

マルチタスク訓練

2012-01-31 | 訓練
mochiさんの質問に答えて

質問
マルチタスク能力が求められるパイロットは一度に多くの情報を読み取ったり、計算したりするのでかなり脳へのストレスがかかると思います。
実際に私もそのような体験をしたときに気付いたら手が震えてました。
そのようにならないためにも脳へのストレス耐性が必要になってくると思いますが、それを養うのに何かできることはあるのでしょうか?
よろしくお願いします。

答え
訓練で良いのは少しずつ要素に分解して、それを一つずつ訓練していくことです。
先日の瞬間視は、多数の情報を読み取る訓練です。多数を読み取るといっても同時に全てを読んでいるわけではなく、非常に短い時間で一つの情報を見て、また短い時間で次の情報を見ています。
計算能力をつける方法はまた別途
さてマルチタスクですが、日常で時間を決めて少しずつならしていくのが良い方法だと思います。
最初はラジオやテレビがついているところで、本を読むのを10分間、だんだんと時間を延ばしたり、本を読むのを百マス計算に変えるなどしてどちらか一方だけにとらわれないようにするというのも一つの方法です。
あまりに無理をすると、脳にダメージを与える恐れがあります。
時間を決めて、軽いタスクから少しずつ慣れるようにしてみてはいかがでしょう。

瞬間視

2012-01-29 | 訓練
パイロットは多数のデーターを瞬間的に見て取らなくてはいけません。
現在の飛行機では複数の計器のかわりにPFD、NDという画面に複数の情報が表示されますが、瞬間的に情報を読み取らなければいけないことにはかわりがありません。
この瞬間視の訓練に丁度良いのが車のナンバープレートです。
道路の横にたって、向こうから来る自動車のナンバーを瞬間的に見て覚える訓練をおこないます。
最初は車が少なくゆっくり走るところから、最後は多数の車が高速で走る場所まで時々やっていると数字を瞬間的に見て判断できるようになります。

注:安全のために自分が車を運転したり、自転車に乗ったりしながらやるのは止めてください。

ラダー操作の訓練

2012-01-26 | 訓練
訓練をうまく受ける秘訣の一つが要素を細かく分割してその一つ一つを練習するというのがあります。
飛び始めたばかりの人が苦労する一つにラダー操作があります。
滑走路の上を直進するのを足でコントロールするのは今までやったことがない操作のはずです。
ラダー操作をうまくする訓練にこんな方法もあります。
すいているバスの一番後ろの真ん中の席に座る。
バスが直進している時に、少しでもバスの頭が右に向きそうになったら、左足を少し前に動かす。
左に向きそうになったら、右足を前に動かす。
単純ですが、しばらくやっていると無意識にできるようになります。
良かったら試してみてください。

反射神経

2011-09-20 | 訓練
wingaceさんの質問に答えて。
確かに反射神経は重要ですが、ATCを非常に早いテンポで答えるのと反射神経は少し違う気がします。
ATCは反射的に答えるのでは間違いが起きます。
言われたことが自分の飛行機に向けてなのか、管制官が他機とコールサインを間違えていないか、指示がおかしくないか確認しながら答えています。
例えば自分の出したフライトプランの高度が360で管制官の指示が380ならREQUEST360と言うのが正解です。
ヘディング230を要求したのに200が来てそのヘディングだと積乱雲に突っ込むなら、要求し直します。
非常に素早く受け答えできるのは、慣れと同時に、自分に対してどのような指示がくるはずなのか予想できているからも有ります。
もう降下しなくてはいけない地点にさしかかっているのに、上昇の指示が来た場合、本当に上昇が必要なケースもありますが、コールサインを間違ったり何か勘違いしているケースがあり得ます。

素早く聞くには良くわかったことを繰り返し徐々に速度を上げて聞く方法が有効です。速度が変えられるICレコーダーが役に立ちます。

反射神経を鍛えるよりも、頭の回転速度を上げる方が有効です。
昔は頭の回転速度を上げるために、車のナンバープレートの4つの数字を四則演算して10にするような練習もしていました。
道を歩きながら向こうから来る自動車のナンバープレートを見て式を作ります。
5321なら5x(3+1-2)となります。慣れてくると(5+3+2)x1など一つの数字で別の解も出したりしていました。
車が続いてくると、なかなか良い練習になります。
ただしくれぐれも自分が運転中はやらないでください。

ちらっと数字を見ただけで覚える練習も、計器などを瞬間に読むには有効です。


PMDG 737 NGX

2011-08-07 | 訓練
PMDGという会社から737 NGXというソフトが発売されました。
NGXというのは、737-700、737-800、737-900など新世代の737を統合した呼び方です。
早速、購入してみました。
そのできとともに驚いたのが、故障の種類です。
ほとんどシミュレーターと同じぐらいのトラブルが再現できます。
もう一つ驚いたのが、マニュアルです。
今までの多くのシミュレーションソフトのようなもどきではなく、ほぼボーイングのマニュアルに近いのではと思われるマニュアルがついてきます。

小型機でライセンスをとった後、大型機の訓練をする時に、一番困るのが、各種のプロセジャーを覚えることとFMSの取り扱いです。このソフトならば十分に練習できるかと思われます。

唯一の問題点としては、十分に動かすためにはかなり高性能のパソコンが必要だということです。
ただし、FMSの取り扱いと、故障時のプロセジャーなど速度が問題とならない使い方なら今までのパソコンでも十分に対応できるかとも思われます。

日本の会社でパイロットを採用しているところは737かA320などの小型機を使用しています。
737はこのソフトで十分に練習できるかと思われます。
大型機の取り扱いを学ぶためには、お勧めの一品です。

http://www.precisionmanuals.com/pages/product/ngx.html

素直さ

2011-06-27 | 訓練
様々な訓練生を教えてきて思うのが伸びる人と伸びない人の大きな違いは素直さということです。
同じ山に登るのに様々な道があるのと同じように、学び方にもいろいろな方法があります。
教官は様々な方法を指導するのですが、この時にとにかく一度は素直に言われたとおりやってみるという人と、理由をつけて自分のそれまでのやり方を変えない人に分かれます。
一度やってみてやはり自分に合わないからとその方法を捨てるのは、経験値が一つ増えたことになります。
ひょっとしたらその方法でうまくいくかもしれません。
最初からその方法を拒絶しては、絶対に今異常にうまくはなりません。
素直さは強さにつながります。

大型機の失速訓練

2011-01-11 | 訓練
バードさんの質問に答えて

大型機で実機で失速の訓練をすることはほとんどありません。理由は危険すぎるのと、費用がかかりすぎるからです。後退翼の飛行機は失速するときにどちらかに傾く危険性がかなりあります。昔は失速訓練を実機でやっていた時代もあるのですが、本当にスピンに入った事例さえあります。また訓練費用も747だと1時間150万円から200万円かかりますし、訓練の間飛行機はお客様を運ぶことができすに収入の面でも損失です。

訓練のほとんどはシミュレーターで行われます。また実際の失速やバフェットでの回復訓練ではなく、その手前のスティックシェーカーが作動したらリカバリー動作を行います。
(スティックシェーカーとは失速に近づくと操縦桿を振動させる装置です。ガタガタという音とともに操縦桿が振動します)

スティックシェーカーが作動したら、まず操縦桿を押してピッチを下げます。もし左右に傾いている場合はエルロンで修正します。またエンジンパワーを増加させます。大型機ではこの時点でラダーを使うことはほとんどありません。プロペラ後流の影響がないのと、下手にラダーを使うと後ろに下がる側の翼が本当に失速します。