世紀末の詩

無駄な競争は心を貧しくする

管首相辞任の後は

2011年06月07日 | 色々な裏
菅首相辞任は大連立でなく政界大再編をもたらす

菅直人氏の辞任が確定的になるなかで、珍妙な現象が広がっている。
否定された、これまでの菅政権執行部の発言だけが報道されていることだ。
 
菅直人氏だけが否定されたのではなく菅内閣が否定されたのだ。
西岡武夫参院議長が、「菅総理大臣と共同正犯の人たちが発言する資格はない」と発言したが、これが正論である。
頭の朽ち果てた者が多すぎることが嘆かわしい。
 
国会で菅直人氏に対する内閣不信任決議案に賛成した勢力はわずか150人だった。
野党は衆議院で圧倒的少数の状態にあり、野党だけが騒ぎ立てても、内閣不信任決議案などが可決されることはない。
内閣不信任決議案が可決される状況が生まれたのは、民主党内の反菅直人氏勢力の力が著しく強まったことによる。

菅内閣に対する批判が著しく強まったのは、菅内閣の震災・原発事故対応があまりにも不適切であったことに対して野党からの批判が強まったことに加えて、
民主党内部からも菅直人氏の政権運営に対する批判が著しく強まったことによる。 
具体的には、2009年8月の総選挙を通じて実現した政権交代に伴う責任を全面的に破壊する行動を菅直人氏が取り続けたことである。
 
この、反党的な行動が民主党内の強い反発を招いたのである。民主党内における政策路線の対立は根本的なものであり、具体的には
 
①対米隷属 VS 自主独立
②官僚利権温存 VS 官僚利権根絶
③大資本との癒着維持 VS 大資本との癒着根絶
 
の、決定的な対立がある。
 
 2009年9月に鳩山政権は、
①自主独立、②官僚利権根絶、③大資本との癒着根絶
の方針のもとに発足したが、この基本路線を激しく攻撃し続けてきたのが、
菅-仙谷-岡田-野田-前原-枝野-玄葉-渡部
の民主党悪徳8人衆である。
 
鳩山政権は普天間問題での対応で対米隷属派に押し切られ、内閣総辞職に追い込まれた。
この間隙を縫って、権力を強奪したのが菅内閣であり、悪徳8人衆が主要ポストを握って政策運営を進めてきた。

経済政策運営においては、財務省の財政再建原理主義が中心に据えられた。その結果、原発事故が発生した際も、国民の健康や生命よりも、
財政支出節約が重視され、国民が大量の放射能被曝の犠牲に晒されたのである。
 
また、大資本と癒着する菅内閣は、原子力事故の損害賠償問題においても、
無限責任を負う東電に負担を求めず、損害賠償責任を国民に転嫁する処理案を提示した。
 
また、当然のことながら、本格的な経済対策の策定が急務であるが
菅内閣はこの総合経済対策に大増税政策を盛り込むことを最優先しているため、経済対策策定が大幅に遅れたのである。
 
こうした政策の失態が積み重なり、菅内閣は内閣総辞職に追い込まれているのであり、震災後の国難の局面ではあるが、
どうしても乗り越えねばならぬ政局の転換がいま追求されているのだ。
 
これまでの菅内閣が否定されて、新しい政治体制が構築される。したがって、これまでの民主党内非主流派が表舞台に登場しなければならないはずである。
「敗軍の将は兵を語らず」が正道であり、岡田克也氏などは、戦犯として反省の弁以外に発言を求めるべきでない。
 
 
民主党では、上述したような根本的な路線対立が存在してきた。
①対米隷属②官僚利権温存③大資本との癒着を基本に据えてきたのが、悪徳8人衆であり、これらを中心とする勢力を「悪徳民主」勢力と呼ぶことができる。
 
 これに対し、
①自主独立②官僚利権根絶③大資本との癒着根絶を基本に据えてきたのが、小沢-鳩山ラインであり、これらを中心とする勢力を「正統民主」勢力と呼ぶことができる。
 
菅内閣が内閣総辞職に追い込まれるのであるから、民主党内では「悪徳民主」に代わり、「正統民主」が主導権を握る局面が到来したことになる。
したがって、菅内閣総辞職後の政権体制をどのようなものにするのかについては、「正統民主」勢力の考えを聞くのが報道の当然の姿勢であるべきはずだ。
ところが、マスゴミは否定された旧執行部に発言の機会を与え、好き勝手な発言を許し、既定路線を定めようとしている。
 
その背後にあるのが、米国と官僚機構の意向である。米官業が支配し、政治屋と電波がこの指令に基づいて行動するのが「米官業政電の悪徳ペンタゴン」である。
菅内閣が倒閣されるいま、悪徳ペンタゴンの最大の懸念は、政治の実権が悪徳ペンタゴンの手から、再び、主権者国民の手に渡ってしまうことである。
 
これを阻止するために、自民党と悪徳民主の連携をマスゴミが推進しているのである。
また、悪徳ペンタゴンが震災の機に乗じて消費税大増税を強硬に実現させようとしていることも見落とせない。

民主党内で「悪徳民主」と「正統民主」の対立が深まり、「正統民主」が党代表ポストを獲得したら何が起こるのだろうか。
 
「悪徳民主」は自民党の一部勢力と連携して、首班指名で造反する可能性が生じる。国会での議決行動について、
「造反は除籍」などと主張していた者が、手のひらを反して、自ら造反するなどの行動も予想される。
常識では考えられないことだが、岡田克也氏にしても枝野幸男氏にしても、それほど節操のない人物たちである。
 
この場合、これを機に政界大再編に入る。このケースで重要なことは、正統民主が民主党後継となり、悪徳民主が民主党から離脱して自民党と合流することになる。
これが正しい政界再編の図式であり、「悪徳民主」は自民党一部勢力と連携して、「対米隷属利権党」などを結党するのが良いと思われる。
 
長い目で考えれば、上記の対立軸により、政界の大再編をいつかは実行せざるを得ないと思われる。
 
短期的には、民主党が「正統民主」と「悪徳民主」に分裂する場合、その両者がいずれも、野党各党および自民党のある部分と提携しようとするだろう。
権力を確保するには、衆参両院での過半数が必要であり、この過半数確保をめぐって熾烈な戦いが繰り広げられることになる。
 
この意味で、民主党の次期代表を「正統民主」と「悪徳民主」のいずれが確保するかが決定的に重要になる。
「正統民主」が代表ポストを確保する場合、何よりも警戒が求められることは、自民党一部勢力と「悪徳民主」による悪魔連合を許して国会での過半数を悪魔連合に奪われることである。
 
したがって、「正統民主」は自民党の一部や公明党とも閣内・閣外協力を含めて適切な間合いを確保して、「正統民主」による政権維持を優先しなければならない。
いずれにせよ、現状で観察される、「悪徳民主」と自民党の連携による政権掌握を誘導しようとするマスゴミの情報操作に対して、早急にくさびを打ち込まねばならない。
 
そのための具体的方策は、まず、両院議員総会を開催して岡田克也幹事長を解任すること。そのうえで、両院議員総会によって民主党新代表を選出することである。
「正統民主」は立候補者を必ず一人に絞り込むことが必要だ。適正な人物を新代表に選出することこそ、日本再生・復興に必要な第一の条件である。





「植草一秀」知られざる真実より