今夜は内田光子さんのリサイタルでサントリーホール。
内田さんは、iTunesに入れてる数でアルゲリッチに次ぐ多さで、いつか実演を聴きたいと思っていたひと。
ステージ左から登場したその人は、長身、スリムで姿勢が良い。歩く姿が美しく、年齢を感じさせない。
ソナタ16番が始まる。第1楽章は明るくピュアだが、第2楽章から次第に深くなっていった。
CDを聴いて残っている印象とはだいぶ違う音、タッチ。これが内田さんのピアノなんだ。
後半はベートーヴェン、ディアベッリ変奏曲。この念願のピアニストのプログラムが3大ソナタなんかでなくてよかった。
誰の演奏でも聴いたことがなかったが、晩年の傑作という評価もあるとおり聴き応えがあった。
その33曲1時間弱の大作を、内田さんは2度少し水を飲んだ他はほとんど中断なく、エネルギッシュに、情感豊かに弾いた。
ぼくにはまだわからないが、この変奏曲に込めたベートーヴェンの想いや情熱を、内田さんは脳裏に描いて演奏しているのだろう。
こんなディアベッリの変奏曲は、もう聴けないだろう。内田さんも、また聴けるかどうかわからない。
チケットを買って良かった。
今日、内田さんを聴けて良かった。