Met椿姫のライブビューイングを東劇で観て帰る車中で書いています。
2幕から感情移入が激しくなって目頭を熱くしてましたが、3幕後半からは涙が溢れて止まりませんでした。
ディアナ・ダムラウのこの素晴らしさを、いったいなんと表現すればいいのか。
ハリウッドの女優が束になってかかっても、こんなダムラウには敵わないでしょ。
こんなヒロインを観た記憶って、サウンドオブミュージックのジュリーアンドリュース、ウェストサイドストーリーのナタリーウッドくらいか。高校生のぼくは終わっても席を立てず、もう一度続けて頭から観たのを覚えてます。
ぼくのオペラ鑑賞はWOWOW でのライブビューイングとプレミアムシアターのスカラ座やザルツブルクの中継などが中心でしたから、初めて映画館で観るライブビューイングが、実はそんなに凄い、期待できるものなのか半信半疑でした。
で、一幕が始まって、これは、と眼を見張るような感じではなく。ぼくは1月に東京文化会館で藤原椿姫の幕が上がったときの衝撃を思い浮かべました。豪華な舞台装置、目の眩むような衣装、響き渡る東フィル。
そうか、やっぱりオペラじゃないもんな、映画だよな.......。
でもダムラウとフローレスが歌いまくるにつれ、これは生オペラか、映画か、みたいなことは次第に脳裏から去って、ただただ圧倒されていきました。
メトロポリタンオペラには行けても、この2人の、こんな迫真の演技や熱唱を、良い席から観ることなんてできるのかしら。
終演したとき、映画館なのに、拍手が起こり、ぼくもしました。しないではいられなかった。
このシーズンの前のMet の椿姫は、かなりの現代風で、ぼくは楽しめなかった。
このメイヤー演出、セガン指揮、ダムラウとフローレスの椿姫、傑作じゃないかな。