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『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』

2025-05-23 12:53:25 | 映画
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』 2025年、アメリカ、2時間49分。を観た。
"それ"は人類滅亡のシナリオを着々と進めイーサン・ハントに自分を誰も制御の出来ない絶対安全な場所への転送を要求する。人類滅亡か生き残って服従かの選択を迫られイーサン・ハントは0.1秒の一瞬に全人類の命運を掛けた不可能と思われるミッションに挑む。

ネタバレ有り。

フィジカルのイーサンVSデジタルの"それ"の全面対決か。と思っていたが"それ"はデジタルの上では最強なのでそこでの対決には臨まない。アナログな方法で人対人に持ち込む事で活路を開く。
やっぱりまだA.I.との対決となるとSFに、『ターミネーター』とか『マトリックス』とかになってしまうからスパイアクション映画を貫くにはアナログを選択する方が本作には正しいしこのシリーズならではの面白さが詰まる事になる。
潜水艦のシーンがとても良かった。「潜水艦映画に外れ無し」との映画格言も有るけど、そうは言っても外れも有るとは思うが本作の潜水艦シーンは格言通りだった。セットの作り込みが凄いし水中撮影でのトム・クルーズの体を張ったアクションも有りスリリングでも有り素晴らしかった。あそこで全ての決着を着けても良かったんじゃないかとも思う。上映時間も短くなるし。でもそうするとその後のあの人の出番が無くなってしまうから難しい所。
あの人を出す事でシリーズの大団円になったとも言える。それにあの人の愛妻も可愛かったし全人類滅亡の危機の緊縛する中での癒しとなっていた。眠いから素人に犬ゾリ操縦させる天真爛漫さ!!
別のあの人の関係者が出てくるのはちょっとやり過ぎの様な気もしたが。

人類の未来に希望はいつだって有る。というメッセージは、非情になりきれないスパイとしてはかなり異質なイーサン・ハントらしさだと思う。
しかし、"それ"の思想は世界中に広まり"それ"を崇める人達も多く生まれたわけで、その世界は更に混沌となるんではないだろうか。

前作ではさすがのトム・クルーズもおじいちゃんになったなあと思ったけど本作では少し若返っていた様に思えた。フィジカルは相変わらずの驚異の若さ。

クライマックスのイーサン・ハントのパラシュート問題についてはもう少し納得の行く描写なり説明が必要だったと思う。何か有った時のために予備のパラシュートは必ず付いているものなのかもしれないが、でもその結果だけを見せられても納得はしづらい。

ガブリエルの最期は情けなかったがあれだと生死不明にも思えるし、まだシリーズ続行の含みを持たせているのだろうか。トム・クルーズの日本限定の最初の挨拶ではシリーズ完結とは言わずシリーズの集大成と言っていたので続行も有るのかも。でも本作以上の敵は無理なんじゃないか。直接の全面対決を避けなければいけないほどの敵なのだし。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』

2025-05-22 12:51:16 | 映画
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』 2023年、アメリカ、2時間44分。を観た。
自我を持ったA.I.(人工知能)が暴走。デジタル化社会となった世界では最強の存在となる"それ"の存在を知った各国は我が国のものにしようとする。"それ"を制御できるカギを握るのは2本の鍵だった。各国は鍵を求め"それ"も鍵を手に入れようとしていた。

1作目が1996年から始まり約30年。IMFエージェントイーサン・ハントがチームとともに世界の平和を守る大河スパイ映画となりつつあってその点でも貴重なシリーズだと思う。
現代のスパイ映画という事で最新の世界情勢やトレンドも取り入れていかなければならず本作ではシリーズ初登場となるA.I.の"それ”が世界平和を脅かそうとしている。"それ"自体が人間の支配による世界を滅亡させようとしているのか、その力を持っているけどまだ何を考えているのかは分からない。それよりも"それ"を手に入れたどこかの国が悪さをしようとしている、するかもしれない、多分する。という所が本作での危機。
そういった危機が将来的には起こるのかもしれないなと思う。本シリーズが始まった1996年にはまだそこまでデジタル社会にはなっていなかったと思う。それから約30年でその危機が現実味を持っていると感じられるまでになっている。
それに抗うのがイーサン・ハントと仲間たち。トム・クルーズも実年齢には見えないくらい見た目が若いと言ってもチームの3人が揃った姿はおじいちゃんたちにも見えて。おじいちゃんでもフィジカル全開で生身のアクションをこれでもかと見せてくれるサービス精神が素晴らしい。ヴィング・レイムスはほとんど座っていたが。
アクションでもチーム内でのやり取りでも深刻になり過ぎずどこかコミカルだったりお茶目だったりするのもエンターテインメント作品としてのサービス精神なのだろうと思う。

各国スパイによる裏切り、それは仕えていた国や人間社会への失望からくる裏切りである所がシリーズ各作品の物語の発端であったり真相だったりする。ただの私利私欲なのも有ったか。本作でも"それ”は元々ロシアの最新ステルス潜水艦のシステムに忍び込んでいたCIAによるデジタルスパイで"それ"がCIA、アメリカを裏切ったと。
"それ"は人間社会への失望も学習したのではないか。A.I.が人間に都合のいい事だけ学習するわけではないと。自我を持ったのではなくて今よりも良い社会を作る事を考えたらA.I.は論理的に必然として人間のいない社会を導き出すのかも。

タイトルは劇場公開時は『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』だったけど配信、ディスクでは『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』になっている。正式なタイトルはどちらになるのだろう?

『KIDDO キドー』

2025-05-19 23:04:39 | 映画
『KIDDO キドー』 2023年、オランダ、1時間31分。を観た。
オランダの児童養護施設で暮らすルー。数年振りに母親カリーナが施設を訪れ数時間の再会のはずだったがカリーナはルーを黙って連れ出し自分の故郷ポーランドを目指す。

ネタバレ有り。

自分勝手な母親と振り回される娘。なんだけどカリーナは今度こそ本当に母親になろうとしていて、ルーは何があろうとカリーナの事が大好きという風に感じた。
ただ、カリーナが母親になるにはまだ時間が掛かるみたいで。あと2、3年か5、6年かそれともやっぱりなれないのか。それでもルーはお母さん大好きだったら振り回されて大変だろうけどそれはそれでそういう親子間系でいいんじゃないだろうか。
ちょっと前なら父親と幼い息子か娘とのロードムービーになりそう。30年か40年前のクリント・イーストウッド主演でも有りそうな。ただ、今は母親と娘で作られる時代。
どうしてもこういう話だと『男はつらいよ』と重ねてしまう所が有って、親子ではないけど寅さんとさくらとの関係、真人間になろうとしたりもするけどやっぱりなれない寅さんと、寅さんに振り回されながら誰よりも寅さんの事が大好きなさくら。カリーナとルーもそういう風に見てしまう。
カリーナがルーに対して使う「KIDDOキドー」の訳が「お嬢ちゃん」で、寅さんが言いそうな感じ。

ルーは大切に飼っていた蛇にカリーナの姿を重ねていたのだろうと思う。多分どうしても蛇じゃなきゃいけなかったわけではなくてそんなに手をかけずに飼いやすいから蛇で、カリーナを重ね合わせる存在が欲しかったのだろう。
最後にひょっこりと現れて良かった。カリーナもまたいつかルーの前に突然現れる事も予感させて。

『Wの悲劇』

2025-05-19 08:26:26 | 映画
『Wの悲劇』 1984年、日本、1時間48分。を観た。
劇団研究員の三田静香。新作舞台『Wの悲劇』のオーディションで志望していた役ではなく台詞が一言の役を得る。出演俳優の世話係をする裏方も兼ねた大阪公演の夜、看板女優羽鳥翔のホテルの部屋に呼ばれるとベッドには男が横たわっていた。

初見。「だぶる」ではなく「だぶりゅーのひげき」。
以前は地上波テレビでの放送も何回も有ったけどいつか映画館で観たいなと長い事思ってはいた。今テレビで放送するのはコンプライアンス的に無理なのか。
ミステリー作品だと思っていたが当時の薬師丸ひろ子さん主演という事でアイドル映画だと思うけど、アイドル女優から本格女優への飛躍のための映画でもあるんだろうなと理解して観た。
原作はミステリー小説で劇中劇として使われていたらしい。その内容が舞台女優三田静香に降りかかる試練と重なっていて、そしてその三田静香の姿がアイドルから女優になろうとしている薬師丸ひろ子さんに重なるという多層構造になっているのが見事だった。アイドル女優と言われていた頃の作品をあまり観ていないが薬師丸さんの女優としての成長が作品に刻まれていたと思う。
今 敏監督の『千年女優』も幾つもの層を重ねていくので共通点を感じる。『千年女優』の千代子にも目元にほくろが有るし。薬師丸さんとは左右逆だけど。

個人的な難点としては演劇、舞台女優が描かれる物語である事からの演出意図なのだろうけど演劇調な大袈裟なお芝居なのが苦手だった。でも世良公則さんの長回しのシーンでの長台詞は俳優としても一流である事を証明したんじゃないだろうか。歌詞や楽譜を覚えるのと似ていてその点でもミュージシャンの人は役者に向いているのかも。世良さんの場合は演技も上手いし。

仲谷昇さんが死体役というのはなんとも贅沢。どんなオファーをしたんだろう?関係者の誰かと仲が良かったのか。仲谷さんも一応台本は読んだんだろうか?

丸の内TOEI"さよなら丸の内TOEI"にて。
朝イチだったからなのか上映前に1960年の丸の内東映柿落としの時のニュース映像が流される。朝イチじゃなくても幕間には流されるんだろうか?65年前の丸の内東映のまっさらなスクリーンが今現在の丸の内TOEIのスクリーンに映されるというなんとも貴重で不思議な現象だった。
スクリーンや座席などは65年前からは変わっているだろうけど天井は当時のままだと思う。


昔の映画館は天井も各映画館の特徴が有ったと思う。シャンデリアの映画館は丸の内ルーブルだったか?
恐らく有ったであろう緞帳復活して欲しいけどもう無理だろう。

『サブスタンス』

2025-05-18 16:23:59 | 映画
『サブスタンス』 2024年、アメリカ、2時間22分。を観た。
ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームにも名を刻んだエリザベス・スパークル。その栄光も忘れ去られ朝のフィットネス番組でエンターテインメント業界に生き残っていた。表向きには円満な番組の降板を持ち掛けられるがその真意を知っていたエリザベスは深く傷付きある決断をする。

ネタバレ有。

デミ・ムーアの主演作で久し振りの話題作。くらいの情報だけで観たがそれは話題になるのも分かるとんでもない事になる。話題作りなだけではなくあれくらいの事をしないとエリザベスだけに限らず世の女性が常に傷付けられている事を表せないのだろう。
ルッキズムを利用する人も当然いて、それは認められるべき才能ではないか。本作のデミ・ムーアもある意味利用して俳優としての評価を得たわけで。
ホラー、スプラッターの撮影現場は楽しい(コメディは深刻になりがち)という話を聞くがデミ・ムーアもそういったシーンでの撮影は楽しかったんじゃないだろうか。特殊メイクは大変だったろうけど。

エリザベスの老化とゴラム化、モンストロの造形はほぼ特殊メイクでCGはあまり使われていないのだろうと思う。CG全盛の時代で特殊メイク業界も瀕死の状態にあるのか?そんな流れに負けない意気込みを感じた。
手描きアニメも復権しそうな流れはCGとのハイブリッドで有るんじゃないかと見ている。

スー役のマーガレット・クアリーはなんかで見たなと思ったがアンディ・マクダウェルの娘さんだった。笑顔にお母さんの面影が現れる。しかしアンディ・マクダウェルからは想像がつかない大胆な役を選ぶ。脇腹蹴り続けて蹴り殺すのは初めて見たかもしれない。折れた肋骨が内臓に突き刺さったのか。
スーの隠されたDIY能力の高さは隠しておくには勿体無さすぎる。

1週間浴室の床にほったらかしはどうなんだろう。多分目覚めたら体ガチガチ。なんかの拍子でなんかの体液がドバドバ出る可能性が有るから掃除しやすいからか。それもあって全裸なのか。

エンドクレジットで長い文章みたいなのが有ったけどその内容を理解出来るはずもなく。それが文章だったのかも分かっていないが最後にレイ・リオッタの名前が有ったのだけは分かった。レイ・リオッタが急逝してデニス・クエイドがキャスティングされたのだろうか?

『ミッション:インポッシブル』1作目から6作目

2025-05-17 12:42:39 | 映画
1作目 『ミッション:インポッシブル』 監督 : ブライアン・デ・パルマ、1996年、アメリカ、1時間50分
CIA工作員リスト東欧版「ノックリスト」を狙う何者かをあぶり出すIMFに課せられたミッションはIMF内の裏切り者をあぶり出すミッションだった。
イーサン : トム・クルーズ
マドンナ : エマニュエル・ベアール
IMF : ジョン・ヴォイト、ヴィング・レイムス、ジャン・レノ、クリスティン・スコット・トーマス、エミリオ・エステヴェス
CIA : ヘンリー・ツェーニー
敵 : ヴァネッサ・レッドグレーブ
舞台 : プラハ、ラングレー、ロンドン(パリ行き)


2作目 『M:I-2』 監督 : ジョン・ウー、2000年、アメリカ、2時間4分
殺人ウィルス「キメラ」によるパンデミックの危機。
イーサン : トム・クルーズ
マドンナ : タンディ・ニュートン
IMF : ヴィング・レイムス、ジョン・ポルソン、アンソニー・ホプキンス
敵 : ダグレイ・スコット、ブレンダン・グリーソン
舞台 : セビリア、シドニー


3作目 『M:I:Ⅲ』監督・脚本 : J・J・エイブラムス、2006年、アメリカ、2時間6分
武器商人との「ラビットフット」争奪戦はイーサン・ハントの最愛の人を巻き込む。
イーサン : トム・クルーズ
マドンナ : ミシェル・モナハン
IMF : ヴィング・レイムス、マギー・Q、ジョナサン・リス=マイヤーズ、ケリー・ラッセル、サイモン・ペッグ、ビリー・クラダップ、ローレンス・フィッシュバーン
敵 : フィリップ・シーモア・ホフマン
舞台 : ヴァージニア、ベルリン、バチカン、上海


4作目 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』監督 : ブラッド・バード 、2011年、アメリカ、2時間12分
核戦争論者「コバルト」が仕掛ける核戦争勃発の危機。
イーサン : トム・クルーズ
IMF : サイモン・ペッグ、ポーラ・パットン、ジェレミー・レナー、トム・ウィルキンソン
敵 : ミカエル・ニクヴィスト、レア・セドゥ
舞台 : ブタペスト、モスクワ、ドバイ、ムンバイ


5作目 『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』 監督・原案・脚本 : クリストファー・マッカリー、2015年、アメリカ、2時間11分
テロ組織「シンジケート」を追うイーサン・ハントが罠にはめられ反逆者としてCIAに追われIMFも解体される。
イーサン : トム・クルーズ
マドンナ : レベッカ・ファーガソン
IMF : ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、ジェレミー・レナー
CIA : アレック・ボールドウィン
敵 : ショーン・ハリス
舞台 : ロンドン、ウィーン、モロッコ


6作目 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』製作・監督・脚本 : クリストファー・マッカリー、2018年、アメリカ、2時間27分
「シンジケート」は「アポストル」となり核兵器により腐り切った世界を浄化しようとしていた。
イーサン : トム・クルーズ
マドンナ : レベッカ・ファーガソン、ミシェル・モナハン
IMF : ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、アレック・ボールドウィン
CIA : ヘンリー・カヴィル、アンジェラ・バセット
敵 : ショーン・ハリス、ヴァネッサ・カービー
舞台 : ベルリン、パリ、ロンドン、カシミール


8作目『ファイナルレコニング』でシリーズ完結らしいという事でシリーズを復習。7作目の『デッドレコニング』は未見。当初は『デッドレコニング』がPART1とPART2の2部作になるみたいな事を言われていたので後編が公開される時に前編も再公開されると見込んでいたけど再公開は今の所無く。タイトルも『デッドレコニング PART2』から『ファイナルレコニング』に変更された。でも内容はつながっている?
6作目までの中で一番最近の『フォールアウト』の内容もほとんど覚えていなかったので新鮮な気持ちで観れた。IMFとCIAの関係性もよく分かっていなかったが観直してみて分かった。
シリーズの中で好きなのは1作目。やっぱりデ・パルマだし。デ・パルマらしさがしっかりと残されていてスパイ映画として好き。『ミッション:インポッシブル』シリーズを象徴するシーンと言ったら1作目からが多いし、後続でオマージュされる事も有るし。
次は4作目『ゴーストプロトコル』が面白かった。女性エージェントを演じたポーラ・パットンはもっとブレイクするかと思ったけどそうはいかなかったみたいでエンタメ業界は厳しい世界だなと思う。
段々とアクションだけがメインになっていって。アクション映画としてのアクションのクオリティは最高峰ではないかと思うけどその分スパイ映画としてのミッションの面白さが無くなっていく様な。
本当に『ファイナルレコニング』でファイナルになるんだろうか?と疑問にもなっている。『男はつらいよ』の様にトム・クルーズの限界まで行けるんではないか。アクションが控えめになったらスパイ映画としての面白さが戻って来るのでは。

『VENUS/ヴィーナス』

2025-05-12 17:17:14 | 映画
『VENUS/ヴィーナス』 2022年、スペイン、1時間41分。を観た。
全く予測していなかった日蝕が突然数日後に起こると観測されるが人々はいつもの日常を過ごしていた。スペイン、マドリードのクラブのダンサー、ルシアはクラブのオーナーの裏の商売であるドラッグを盗み出すがその際負傷し疎遠だった姉ロシオの住むアパートメント"ヴィーナス"へ逃げ込む。ロシオは部屋で起こる怪異な現象を恐れ娘と共に出ていこうとしていた矢先だった。

H・P・ラヴクラフトの怪奇小説が原作。クトゥルフ神話の小説という事で、クトゥルフ神話がなんなのか今まで知らなかったけどラヴクラフトによって1920年30年代によって創られた架空の神話だとか。ギリシャ神話とか様々な神話も架空っちゃ架空だと思うが。ラヴクラフトはその元々有った神話も参考にしてクトゥルフ神話を創造してその神話が存在する世界での怪奇小説を多数執筆した。ラヴクラフトの後を受け継いでクトゥルフ神話を基にした物語は今も描き続けられ拡がり続けているらしい。
かつて人間以前に地球を支配していた旧支配者が存在していた世界がクトゥルフ神話という事で。何らかの理由で滅亡した旧支配者が復活の時を迎えようとしていて新たなクトゥルフ神話が始まろうとしている。その事を望んでいる人間達もいて。そして復活の際には人間が支配される側になるか滅亡するであろうと。旧支配者が復活してしまうのか、それを阻止する人間が現れるのかという所が読みどころ見どころになるのだろう。本作も多分そういう話。
本作では原作を現代のスペインに変えての映画化。時代設定等を変えてはいるけど基本的な所は原作に忠実にしようとしていたのではないだろうか。なので古典的と言うか、驚くべきものが無いと言うか。原作は当然未読。
スペイン映画はちょっと変わった作品が面白い印象だしそれに『REC/レック』や『スリーピングタイト 白肌の美女の異常な夜』のジャウマ・バラゲロ監督という事で期待していたけど、変わってると言えば変わった作品ではあるけどその変わった所がスペイン映画ならではの面白さにまではなっていない気がした。

『シンシン/SING SING』

2025-05-12 09:41:46 | 映画
『シンシン/SING SING』 2023年、アメリカ、1時間47分。を観た。
ニューヨーク州にあるシンシン刑務所では囚人の更正プログラムの一環として演劇を取り入れていた。仲間と共に熱心に取り組んでいる"ディヴァイン・G"は新たな参加者に"ディヴァイン・アイ"を勧誘する。

タイトルに"SING"と有ったのでてっきり歌うのかと思っていたが刑務所の名称(地名?)がシンシン"SING SING"だった。『ショーシャンクの空に』のショーシャンクも刑務所の名称でそちらは原作者スティーヴン・キングの創作による架空の刑務所らしいけどこちらのシンシンは実在する刑務所で、演劇による更正プログラムも実際に行われているとの事。尚且つ本作で演劇に参加している囚人を演じている大部分の人達はかつて実際にシンシン刑務所で演劇に参加していた元(現?)囚人の人達だとか。そういった実話を基にしている。
他に刑務所で有名なのはアルカトラズ、網走、バスティーユか。

ネタバレ有り。

中心人物の一人の"ディヴァイン・G"は本当は更正プログラムに参加する必要は無かったのに理不尽な理由で参加して人一倍熱心に取り組んでいる。他の仲間にとっては更正するためのものでありその効果も現れている。では"ディヴァイン・G"にとって演劇をする事に何の意味が有ったのか。それはきっと自分の理不尽な境遇に立ち向かうために必要な事だったのではないだろうか。演劇を共に創り上げる仲間の存在も理不尽さに負けずに生き抜く上で大きかったと。
"ディヴァイン・G"は刑務所にいる事で戯曲なども書いていて芸術活動に専念する時間が十分過ぎるくらいに有って。これがもし刑務所にいなかったらそこまで熱心に取り組めていたかというと生活のための仕事も有るだろうし諸々の雑務なんかも有るから取り組めなかったかもしれない。そう考えたら起きてはならない事だったけど芸術家としては貴重な時間だったのではないだろうか。と他人事なので安易に思う。『刑務所の中』の花輪和一先生も創作活動という点では貴重な体験だったのだろうし。

更正プログラムは更正以前に学校での教育という面でも効果が有るのではないだろうか。演劇そのものをしなくても自分自身に向き合い他人を思いやる事、それはどうすれば出来るのかを教わる事で犯罪の抑止に繋がるのでは。宗教がその役割を担ったりもするのだろうけどあくまで教育として。環境が犯罪に向かわざるを得なくさせたりもするのか。

"ディヴァイン"は通称で神格化される時の"神ほにゃらら"という意味らしい。本作には"ディヴァイン"と呼ばれる人物が二人いて意味を知らなかった時にはなんでそんなややこしい事するんだろうと思ったけど意味を知ると"ディヴァイン・G"の方は刑務所での演劇活動において何か素晴らしい瞬間が有って"神"と呼ばれ、"ディヴァイン・アイ"の方はギャングとして"神"と畏れられるくらいの地位にいた人物だったか、もしくははったりで自ら"神”と名乗ったのか。"ディヴァイン・アイ”だから"神、俺”なのか?そんな異なる理由で同じ通称で呼ばれる二人が刑務所で出会い仲間となり一つの演劇を創り上げていく。

『パディントン 消えた黄金郷の秘密』

2025-05-09 22:42:55 | 映画
『パディントン 消えた黄金郷の秘密』 2024年、イギリス=フランス=日本=アメリカ、1時間47分。を観た。
地元ペルーの老クマホームにいるルーシーおばさんの様子に変化が見られると連絡を受けたパディントンはたまらず帰郷を思い立つ。ブラウン一家も同行し再会の時を迎えるがホームにルーシーおばさんの姿は無かった。

前2作を復習して準備万端。2作目の方が良かった印象だったけど1作目も良かった。現在『ミッション:インポッシブル』の最後は見届けようと思いシリーズを復習中。『デッド・レコニング』は劇場公開時観なかったので初見になる。

本作は舞台をペルーのジャングルにしてスケールは大幅アップ。するのかと期待したけどジャングルアドベンチャーとしての面白さはあまり無かった。ギャグも全体的に不調。特に最後のサプライズは喋り過ぎた。キャラクター的にはあれ位喋った方が良いのだろうけど出オチくらいの感じで一言二言で良かったと思う。
礼儀正しいクマの家族への想いが描かれる胸キュンハートウォーミングな良さは最後の方で変わらなかったので良かった。ただ、前2作でブラウン夫人を演じていたサリー・ホーキンスがいたらもっとキュンキュンしてこれで三部作とするならとても良かっただろうと思う。

前2作では何故か知らないが『ミッション:インポッシブル』シリーズのアクションからと思えるパロディギャグが有って本作にも期待したけど本作では別の某有名アクションアドベンチャー映画からのパロディが有った。
途中『スティング』の音楽が使われるので何か意味が有るのかと思ったけど特には無かった。

Marmalade Filmsは本作のために設立された会社?パディントン関連だけの作品、アニメだったりミニシリーズだったりを作っていくのだろうか?

『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』

2025-05-06 11:12:01 | 映画
『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』 1975年、ベルギー、3時間20分。を観た。
ベルギー、ブリュッセルのアパートメントで学生の息子と二人暮らしをしているジャンヌ。規則正しい生活を送るジャンヌのある火曜日の午後から木曜日の夜まで。

全く知らない映画だったけど2022年に行われた英国映画協会が10年毎に選ぶ"史上最高の映画”で1位に輝いた作品。今年製作50周年を記念してル・シネマで期間限定上映。

規則正しい生活を一日目と二日目の午前中まで描いて、二日目の午後から三日目で少しずつズレを生じさせて不穏な空気を漂わすのが上手い。ボタンをかけ忘れていたり電気を消し忘れていたり扉が半開きになっていたり、ただそれだけの事なのにジャンヌの心理状態に何事か起きているかの様に思わせる。
わずかなズレは規則正しい生活がしっかりと描かれているからそのズレに気付くわけで、ジャンヌを演じていたデルフィーヌ・セリッグがまるでそのアパートメントの一室で本当に生活しているかの様な振る舞いで、撮影のためだけに訪れた他人の家の台所であんなに無駄の無い動きで調理なんかできないと思う。よっぽど入念な準備をしたのだろう。

何かが起こるのかもしれないと不穏な空気を漂わせながら何も起こらないというのも映画的には裏切りと言うか予想もしなかった結末という事になるのかもなしれないなと思ったけど、最後にある出来事が起こって、それは規則正しいを言い換えれば縛られた生き方、1970年代でも現在でも女性が強いられている生き方から逃れるにはああするしかなかったとも思える。それはあまりにも切ない。

『カウントダウン』

2025-05-05 23:36:05 | 映画
『カウントダウン』 2024、香港、2時間16分。を観た。
放射性物質が含まれていた不法ゴミ集積場で火災発生。

池袋シネマ・ロサにて。

何か中国共産党的にいい子ちゃんなパニック映画。人的なパニックも起こりそうだけどそこは人民が優秀なので起こらないし人民を守るために犠牲的な行動をする人もいて。
予算的には大規模になっているんだろうけどその分かつての香港映画のやんちゃさは失われていくのだろうなと思う。
香港映画ならではと言っては失礼だけどいい加減な所も有り。一刻も早く鎮火するのが被害を最小限に抑えられると主張する専門家と、放射性物質が拡がるから火災現場で水が使えないと主張する人がいて、でどうするのかと思ったら結局何をしたのか分からないまま鎮火はしていないけど火災が拡がるでもない中途半端な状態で、それはまあ置いといて放射性物質をどうにかしないといけないし、はぐれた消防隊員も助け出さなきゃいけないという話になっていく。

会議の場面も多くて、途中まではそう思わなかったけどこれは『シン・ゴジラ』を意識してるんじゃないだろうか。『シン・ゴジラ』あまり憶えていないけど放射性物質絡みでもあるし。

『クラッシャージョウ 4Kリマスター版』

2025-04-29 20:57:56 | 映画

『クラッシャージョウ 4Kリマスター版』 1983年、日本、2時間12分。を観た。

ワープ航行が可能になり人類は宇宙開拓に向かい遂に太陽系を一つの国家とする時代に突入する。宇宙海賊の一大勢力であるマーフィーパイレーツは宇宙の覇権を手に入れる事も可能にさせる新たなワープ機関を強奪した。

立川シネマシティにて。安彦さんと井上俊之さんのトークショーの回は当然チケットは取れなかった。
このゴールデンウィーク、シネマシティでは『クラッシャージョウ』、丸の内TOEIでは上映されていない日も有るが『火垂るの墓』『幻魔大戦』『さらば宇宙戦艦ヤマト/愛の戦士たち』、目黒シネマでは『ルパン三世カリオストロの城』『パンダコパンダ』の昭和セルアニメの豪華ラインナップが上映されている。ドラえもんは令和の最新作が大ヒット上映中。他に加えるとしたらなんだろう?個人的には『パトレイバー』の劇場版を入れたいけど『パトレイバー』は平成。

ここ5年か10年かの間に劇場で上映される機会がちょくちょく有って行ける時には行くようにしているので映画館で一番回数を観ている作品になっているかもしれない。何回も観ると飽きちゃうタイプだけど飽きない理由を考えると音楽とか声優さんが好きというのも有るけど一番は全編に渡って安彦さんの絵を堪能出来るからなのだろうと思う。もちろん安彦さんが一人で描いているわけではないので安彦さんの絵を感じられると言うのが正しいか。

何度も観ていてもクラッシャーをはめた海賊と裏でつながっている奴らを成敗するためにクラッシャーダンが動いていたという事に気付いたのは最近になってから。わざわざ遠くの星からやって来たのはジョウたちに通告するためだけに来たのではなくて連合宇宙軍情報二課にいるバードに会う事を目的としていたのではないか、そこでバードに成敗の計画を話したのではないかと今回で思った。

もし実写版が出来るとしたらを常に考えてるがジョウはキムタクさんをアルフィンはエル・ファニングを想像してる。


『マインクラフト/ザ・ムービー』

2025-04-29 18:22:22 | 映画

『マインクラフト/ザ・ムービー』 2025年、アメリカ、1時間41分。を観た。
スティーヴが子供の頃から憧れていた採掘現場はキューブで出来た異世界に繋がっていた。異世界に入ったスティーヴはその世界で様々なモノを創り上げていく。地下のブタの女王はあるアイテムを使って異世界全てを手に入れようとするがその事を知ったスティーヴは愛犬デニスにアイテムを託し地上世界に放った。

コメディとしてボケっ放しではなくツッコミが有り、そのツッコミが「そんな事有るか!」などの否定形ではなく「なんで?」などの疑問形なのが作品に合ってて良かった。否定形のツッコミも有ったかもしれない。
疑問を持ちつつそれをでもまあいいかと受け容れる。それはこの映画自体が何でか知らないがキュープで出来た異世界が有ったという所から始まっていて、そこを否定したら映画を受け容れる事も拒否する事になりそうで、だから映画全体のトーンを疑問を持ちつつ受け容れる方向にしたのではないだろうか。なんで?でもまあいいか、と。
ジャレッド・ヘス監督の作品『ナポレオン・ダイナマイト(旧バス男)』と『ナチョ・リブレ/覆面の神様』しか観ていないがちょっと変わったものを受け容れるという方向で一致しているのではないだろうか。

ジャック・ブラックがいつも通りと言うかいつも以上に元気でうるさい。本作の前に声だけの出演をした『ボーダーランズ』のロボット役では世間にはそれが受け容れられなかったみたいだけど本作ではどうだったんだろうか。
ブタの女王に丸い奴呼ばわりされていたが宇宙では基本的に物体は球体になるんではないだろうか。キューブで出来た本来丸っこいブタが世界を支配しようと企むが本物の丸い奴(黒人女性も丸っこかった)がその前に立ちはだかるのは宇宙の真理を表しているのか。重要な所で使われたアイテムもキューブで出来た球体の形状をしていた。

姉弟のお姉ちゃん役を演じていたエマ・マイヤーズが可愛かった。コメディ演技も上手い。なので出演作のネットフリックスのミニドラマシリーズ『自由研究には向かない殺人』を観ている。6話で完結と観やすそうなので。


『サイレントナイト』

2025-04-28 23:10:53 | 映画

『サイレントナイト』 2022年、アメリカ、1時間44分。を観た。
ギャングの車が銃撃戦を繰り広げながら暴走していた。その後をトナカイのクリスマスセーターを着た男が必死に走って追いかけていた。

小池一夫先生の様な始まり方。物語の冒頭は掴みが何よりも大切で例えば裸の金髪女性が街中を走っているといった様な。みたいな事をいしかわじゅん先生がBSマンガ夜話で話していた。

シンプルな復讐劇でそのシンプルさが良かった。特訓シーンも有りで荒唐無稽とも言えるがそれがジョン・ウー監督らしくもあり、かつての香港映画の様でもありで良かった。
アクションも良かった。ジョン・ウー監督のアクションは激しさが有ってそこに型としての決めの美しさみたいなものに美学やこだわりが有るのだと思う。本作にもその美学は有ったけど主人公がギャングのアジトに攻め込むシーンの階段でのアクションではワンカット風(つないでたのはなんとなく分かった)に撮っていて、スローモーションの印象が強く長回しの印象はなかったけどやれば上手い事が分かった。ハリウッドなので別にアクション監督がいたのかもしれないが。

ジョン・ウー監督の娘さんアンジェルス・ウーが警官役でちょっと出てた。今やジョン・ウー作品の常連。
ギャング役で見た目厳つくてがっちり系のデイヴ・バウティスタの様な格闘アクションがかなり出来るアジア系の俳優さんがいたけど名前が分からない。


『アマチュア』

2025-04-28 11:33:45 | 映画

『アマチュア』 2025年、アメリカ、2時間3分。を観た。
CIA分析官チャーリー・ヘラーの妻が出張先のロンドンでテロリストの人質になり殺害される。チャーリーの上官はテロリストの情報を掴んでいたが公にされたくない事情が有り動こうとしない。チャーリーは自ら決着をつけるため上官にある交換条件を突きつけ暗殺に必要な訓練を受けるが教官からは暗殺者失格の評価を得てしまう。

クリント・イーストウッド監督・主演の映画『ルーキー』(1990年)の中で「アマチュア」が決め台詞になっている事は忘れられない。

内容は自分にはちょっと難しかった。なんで上官がチャーリーの事を追ってるんだっけ?と途中で見失いかけたがチャーリーが上官の公にされたくない情報を掴んでいるからだった。だったらチャーリーと協力してテロリストを始末すればウィンウィンだったのでは?チャーリーがその情報を交換条件に使った時点でお互いの信頼関係も失ってるから協力は出来ないか。職務だけの関係で信頼関係なんてそもそも初めから無かったとも言えるし。

ネタバレ有。
テロリストのリーダーがカッコつけてチャーリーに銃を渡して自分を撃つように差し向けるが実際チャーリーに銃口突き付けられたらビビるってのはなんだったんだろう?それをクライマックスにするにはカッコ悪過ぎると思うがテロリストのリーダーなんて実際カッコ良くなんかないよという事なのか。
CIAでデスクワークのチャーリーと違う現地活動の人も重要な役割なのかと思ってたけどロシアにひょっこり現れてコーヒー飲んでちょっと喋って役目は終わった。

ヨーロッパを股にかけているがトルコが西洋と東洋の中間点(地理的にも文化的にも)というのはマイケル・ウィンターボトム監督の『イン・ディス・ワールド』(2002年)を観て知ったが2025年でもそんな感じだった。