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『メガロポリス』

2025-06-22 07:58:41 | 映画
『メガロポリス』 2024年、アメリカ、2時間18分。を観た。
近未来、アメリカの大都市ニューローマ。新たな都市開発計画を巡って計画局局長カサエルとキケロ市長は対立していた。分断した社会を憂い理想の未来を語るカサエルにキケロの娘ジュリアは惹かれていく。
自らが開発しノーベル賞を受賞した夢の新素材メガロンで理想郷を創り上げようとするカサエルはその後ろ楯となっている伯父で銀行家クラッスス3世の後継者争いにも巻き込まれていく。

アメリカでの興業は大失敗とも言え、評価的にも良く言って問題作とされる作品。
2000年代以降のコッポラ監督作品は観てないのも有るけど小ぢんまりとして目立たない作品だったと思う。それがここに来て80歳を過ぎてから大作映画を作り上げて、それが良くも悪くも話題を集めたのが凄い。
カサエルが謳った理想の世界はコッポラ監督の理想でもあるのだろう。今のハリウッド映画の大作映画で監督自らの理想を高々と謳い上げられる作品がどれだけ有るかと言えばそんなには無いと思う。映画を作るのであれば理想を語り、そして芸術としても素晴らしい映画に全てを捧げる覚悟を持て。というこれからの映画界へのコッポラ監督のメッセージなのだろうと思う。
そのメッセージには感銘を受けるが映画としてもうちょっと分かりやすくて面白かったら良かったなと思う。ローマ帝国の歴史が下敷きになっていて、芸術作品の鑑賞には教養が必要という事なんだろうけど。

プロモーション等も含めてコッポラ一家総出な所もある。ソフィア・コッポラも何らかの形で関わっているんだと思う。ニコラス・ケイジはどうなんだろう?。もしかしたらカサエル役にはニコラス・ケイジも考えたりしたのだろうか。年齢的にはちょっと合わないのかもしれない。なんだかんだいってニコラス・ケイジも還暦だし。赤いちゃんちゃんこは着たんだろうか?

『28年後…』

2025-06-20 23:14:06 | 映画
『28年後…』 2025年、イギリス=アメリカ、1時間55分。を観た。
人間を凶暴化させ爆発的に蔓延するウィルスにより英国は世界から隔離された。それから28年の月日が経った。

ネタバレ有。

前2作とは趣が変わっててあんまり面白くなかった。そう感じたのはシリーズ3部作の完結として2年4か月後の『28か月後…』を期待していたからなのだろう。
28年後なら趣が変わっても当然だと一応理解は出来る。監督のダニー・ボイルと脚本のアレックス・ガーランドが『28日後…』以来復帰でその二人でやるなら前と同じ事の繰り返しをやってもしょうがないという事なのかもしれない。
予定では本作から新たに3部作を始めるという事らしい。人間が凶暴化するのはある意味自然に還ったとも言える。ウィルスに感染していない人間もまた人間同士で殺し合う凶暴な姿は前2作品でも描かれていて、ウィルスに感染してもしていなくてもどのみち人間は凶暴なのであって、だったら自然に還った凶暴性の方がまだましなようにも思える。年月が過ぎて凶暴性だけじゃない所も芽生え始めているようだし。そして新種も誕生して、これで知能も芽生えたら『猿の惑星』みたいになっていくような。『28日後…』の最初はチンパンジー始まりだった。

人の死についても深く描いていこうとしているみたい。死は必然とするなら今の人類が全てが死んで滅んだとしてもそれも必然で、今とは別の人類による新たな始まりであるのかもしれない。

レイフ・ファインズの登場はまたこんな役で出てると思ってちょっと笑ってしまった。もう30年近く前になる映画界に颯爽と登場した時は美男子だったのに。『ハリー・ポッター』のあの人が転機だったのかと思うが、その前にレクター博士シリーズの『レッド・ドラゴン』(2002年)が転機の前兆だったのかも。

『コルチャック先生』

2025-06-16 17:03:25 | 映画
『コルチャック先生』 1990年、ポーランド=ドイツ、1時間58分。を観た。
ナチス・ドイツによるワルシャワ侵攻が始まる。ユダヤ系ポーランド人ヤヌシュ・コルチャックは小児科医、作家、児童養護院院長として子供達の人権を守る活動を積極的に行っていたがナチスは多くのユダヤ系の子供達への迫害も容赦しなかった。

戦後80年を記念してリバイバル上映。
アンジェイ・ワイダ監督の作品を観るのは初めて。監督作品でタイトルを知っていたのは『灰とダイヤモンド』くらい。
第一次世界大戦、第二次世界大戦、東西冷戦での共産化するポーランドを描いた社会派作品を多く作られて高く評価されたらしい。本作もその中の一本という事でいいのだろう。

コルチャック先生がどれだけ頑張って支援が有ったとしても出来る事は限られている。子供が守られる時代が平和な時代と言えるのだろうと思う。自分達だけが守られている平和ではない時代が都合のいい人間がいて、またそんなのが権力を握っていたりしてどうすればいいのか。
コルチャック先生は若い頃(子供の頃だったか)お金の無い世界を作れば人間は平等になるのではと夢想した。みたいな事を言っていた。いわゆる共産主義、社会主義なのだろう。それは無理かなと考えを改めたみたいだけど、その後ポーランドも共産主義社会になって結局腐敗する姿をコルチャック先生が目にしたら何を思っただろう。それでも子供達を守る活動を続けていたか。

YEBISU GARDEN CINEMAにて。上映前に座席にボーッと座っていると、かつてここでK-POPグループが歌い踊ってファンの方が熱烈な応援をしていたのだなあと、実際にその場にいた事はなかったけどそんな平和な歴史をしみじみ思う。

『ドールハウス』『見える子ちゃん』

2025-06-15 16:42:07 | 映画
『ドールハウス』 2025年、日本、1時間50分。を観た。
不慮の事故で5歳の娘芽衣をなくした鈴木夫妻。以来悲しみのどん底にいた妻の佳恵は骨董市で見つけた古い日本人形に芽衣の姿を重ねる事で元の生活に戻ろうとしていた。夫妻共々が人形をかけがえのない存在とした生活が続く中で娘真衣が誕生し次第に人形の存在は忘れられクローゼットにしまい込まれる。それから5年後、しまい込まれていた人形を真衣が見つけアヤと呼び人形遊びをし始める。

矢口史靖監督の新作はホラー。とは言ってもやっぱり笑えるホラーなんじゃないかと想像していたが始まって早々に笑えない状況になり、最終的にしっかりとオカルトホラーをやり切っていた。最後の方で感動作になりそうな感じがしてヤだなヤだなーと思っていたがそこからちゃんとオカルトホラーとして終わらせたのがとても良かった。

西田尚美さんは矢口作品にいつも出てると勝手にイメージしていたが、多くは出てるけどいつもという事ではなかった。本作も『WOOD JOB』(2014年)以来10年振りとなるのか。
安田顕さんが出てるのは怖いな怖いなーの稲川淳二さんに似てるからだろうか。



『見える子ちゃん』 2025年、日本、1時間38分。を観た。
亡霊が見える女子高校生。通う高校にはある曰くが有った。

こちらは青春ホラーで青春映画としてまとめ上げた感じ。
ホラーはショッキングシーン以外は退屈な事が多いように思う。ホラーだからなのか日本映画だからなのか。
どんでん返しのアレは途中で分かったがもう一つは見事にやられた。

代理教師役の人は京本政樹さんの息子さんだった。なので元きゃんきゃんの山本博美さんの息子さんでもある。



『ドールハウス』では除霊するのは寺(あまり役には立たなかったが)で、『見える子ちゃん』では神社。その違いはなんなんだろう?もしクリスチャンの霊だったら寺も神社も役に立たないのだろうか。
霊が見えるってのも元々は目の病気なんだと思う。それがシャーマニズムにある意味利用されてこの世での行いが悪霊を生み出すとされて。だから悪い事したら駄目だよという戒めの意味も有って。鰯の頭も信心からでそれの良い面も有るのだろうけど信仰心をビジネスにしている人もいるのが常々どうにも気に入らない。

『殺しの分け前/ポイント・ブランク』

2025-06-15 06:44:47 | 映画
『殺しの分け前/ポイント・ブランク』 1967年、アメリカ、1時間32分。を観た。
アルカトラズ島で秘密裡に行われている取引現場を襲撃し現金強奪を計画する三人の男女。当初の計画に反して殺人を犯し現金を手に入れたマルを激しく非難するウォーカーは妻であるリンと共にその場を離れようとする。マルはウォーカーも撃ちリンを連れて現金を持ち去った。ある組織の下で強奪計画が行われていた事を知ったウォーカーは復讐を始める。

アルカトラズALCATRAZとはスペイン語で海鳥の意だとか。ちなみにアルバトロスはアホウドリの英名。
『アルカトラズからの脱出』では脱獄の際に扇風機を改造したドリルを使う。真夜中にドリルを使ったら音でバレるんじゃないかと思っていたが、島だから岸壁に波打つ音がうるさいくらいなんじゃないだろうか。潮流が激しいと言われていた様な気もする。だから多分音ではバレないはず。『ショーシャンクの空に』ではたまたま雷雨の日(その日を選んだのか?)でパイプを壊す音がかき消された。

初見、メル・ギブソン主演の『ペイバック』(1999年)は確か本作のリメイクじゃなかったけ?と薄っすらとした記憶で観てるとちょっと既視感が有りつつ、でも微妙に違う様な感じもしていた。二作とも『悪党パーカー/人狩り』を原作としているという事で、リメイクと言うよりそれぞれのテイストでの映画化なのかも。
『悪党パーカー』シリーズの何本かは映画化されている。ジェイソン・ステイサム主演の『PARKER/パーカー』もその内の1本。

若干分かりづらい。ウィキペディアに載っていたあらすじを読んで補完できた。ウィキペディア情報を鵜呑みにしがちなタイプ。
ウィキペディア情報を得る前はウォーカーは亡霊なんだと思って納得してみた。1967年にはアルカトラズ刑務所は閉鎖されていてシチュエーション的に亡霊が出てもおかしくないように思えたが亡霊では説明がつかない所もあるので結局なんだったのかよく分からない。

リー・マーヴィンの出演作品はほぼ初めて観たかも。フィルモグラフィを見ると確か『デルタ・フォース』を観てる気だけはするけど『デルタ・フォース』に関しての記憶はチャック・ノリスが主演で監督がメナハム・ゴーランだけ。
系統的にはいかつい系のニック・ノルティやトミー・リー・ジョーンズの先輩になるのだろう。リー・マーヴィンの先輩となるのは誰だろう?
アンジー・ディキンソンにかなりの勢いで結構しつこく殴りかかられてもほぼ微動だにせず受け止めていたのがカッコ良かった。強めのビンタも一発されてた。
アンジー・ディキンソンは『殺しのドレス』のシャワーシーンのなまめかしさが印象深い。

シネマート新宿にて。7月に上映予定だった『SPL/狼よ静かに死ね』は残念ながら諸般の事情により上映中止だとか。

『パフィンの小さな島』

2025-06-09 18:09:33 | 映画
『パフィンの小さな島』 2024年、アイルランド=イギリス、1時間20分。を観た。
アイルランド西部の小島、トンガリ島。様々な小動物が仲良く暮らし、海鳥ニシツノメドリのウーナも両親と弟と友達と毎日楽しく過ごしていた。新しく島にやって来た同じく海鳥エトピリカのイザベルとも友達になりたいウーナは積極的にアプローチするがまだ島に馴染めていないイザベルのガードは堅かった。

道徳的な物語で汚れてしまった心が洗われるよう。動物アニメの弱肉強食問題はどうしてもついて回るが。

平面で表されるアニメーションでいかに立体で表すか、立体のように見せるかが長い間のアニメーションの命題だったのだろうと思う。構図だったりカメラワークだったり陰影をつけたり。立体であるかの様に見せていくテクニックを磨き上げていく間にCGの出現によって立体への表現は劇的に進化して今やCGアニメが主流になっている。本作もカテゴリーはCGアニメになるのかもしれないが立体的表現を敢えてしない事で独特な映像になっている。この表現方法だとスペクタクルなシーンとかには不向きだと思うが本作の様な優しい物語にはピッタリだと思う。

日本語吹き替え版のみでの上映。ナレーションはチョーさん。クレヨンしんちゃんではしんちゃんのじいちゃんでヒロシの父の野原銀の介。なので聞き覚えがあるが、他の人はオスかメスかくらいは最低限分かるがキャラクターの声としては特徴が無く感じられる。あのキャラクターの声ってどんなだったけ?と思い出そうとしても思い出せない。英語なら分かるのかと言えば分からないだろうけどもうちょっと声としての特徴は有るのかもしれない。
そこら辺は普段から日本のアニメーション作品を熱心に見ていないからなのだろうけど。

ニシツノメドリもエトピリカもああいう鳥が実際にいる事を本作で知った。どちらもチドリ目ウミスズメ科ツノメドリ属で英名にはパフィンPuffinが入っている。
レイザーラモンRGさんが公式サイトにコメントを寄せている。多趣味なRGさんはバードウォッチングも趣味の一つ。

『ガール・ウィズ・ニードル』

2025-06-09 09:22:04 | 映画
『ガール・ウィズ・ニードル』 2024年、デンマーク=ポルトガル=スウェーデン、2時間3分。を観た。
第一次世界大戦末期のデンマーク。夫ピーターが出征し縫製工場で働くカロリーナは借り家の家賃を滞納し退去させられる。連絡が途絶えたピーターが生死不明な状況の中、縫製工場の御曹司ヤアアンの優しさにカロリーナは惹かれ二人は結ばれる。

ネタバレ有。

大体酷い事しか起きない。カロリーナもいわゆるヒロインらしい清廉潔白な人物かというとそういうわけではなく、戦時下に逞しく生き抜くには誰もが綺麗事だけでは済まないという事だろうけど、それでは辛すぎてなんのために生きてるんだろう?と思ってしまう。戦禍でなくてもその疑問は起こるが一つ生きる理由が有るとすれば本作の最後の笑顔なのだと思う。あの笑顔でこの映画自体にも救いが有った。
闇の児童斡旋をして更に裏の顔を持つダウマもその笑顔だけに限らない多くの笑顔を守ろうとしていたと逆説的に言えなくもない。多分ダウマが生きてきた人生と、これから生きていく子供達の人生を照らし合わせた結果悲観的な答えが出てしまって決してやってはならない事をしてしまったのだろう。
最初に出てきたカロリーナが退去させられる部屋に入居する母娘の母親も多分切羽詰まった状況に追い込まれていたから娘にああいう事をしたのではないか。落ち着いた生活環境になれば多分優しいお母さんなのだと思いたい。本作には子を持つ女性が複数人出てくるがそれぞれの状況に合わせてなんだかんだで子供の事を想っている。それの何が正解なのかと言えばそれも子供を笑顔にさせられるかなのだと思う。
本作に出てくる男は頼りにならない。ピーターはカロリーナに寄り添うがある事情を抱えている。一応男もいないと子供は出来ないわけで、男がもっとしっかりせい!という事ではある。

『MaXXXine マキシーン』

2025-06-07 08:56:12 | 映画
『MaXXXine マキシーン』 2024年、アメリカ、1時間43分。を観た。
1985年、ハリウッド。ポルノ映画でスターとなったマキシーン。それは足掛かりにすぎず一般作品のオーディションを受け続けていた。ホラー映画のオーディションで新進気鋭の監督の目に留まり念願の主役の座を勝ち取るがマキシーンの周囲では連続して殺人事件が起こり、そして6年前のテキサスの農場での出来事を知る人物がマキシーンとの接触を図ろうとしていた。

ネタバレ有。

「スターになるためには怪物にならなきゃダメ」みたいな事をハリウッド女優のベティ・デイヴィスが言ったとされる。ベティ・デイヴィスもかなり我の強い人だったとか。
マキシーンが怪物となってスターになる物語だったのだろう。STARとMONSTERでは発音が違うのだろうか。殺人老婆パールも相当な怪物だったけどそのパールをぶっ殺し、更にはパールもした親殺しをする事によってマキシーンは怪物となり大スターへと変身する。まさか大スターに変身出来るとは思っていなかったのでその辺は見事だったんじゃないだろうか。1作目からは想像しづらい所に物語が着地したなと思う。
カルト教団が絡んでくるのはタイ・ウェスト監督が『サクラメント 死の楽園』(2013年)を撮ってる人なので納得だった。本作でのカルト教団がハリウッド、映画業界、エンタメ業界を悪魔の巣窟とする考えも納得出来なくもない。もしエンターテインメントという虚飾の概念そのものが存在しなかったら物凄い退屈ではあるだろうけど怪物を生み出す事もなくもうちょっと誠実で平和な世界であったかもしれないとも思う。

マキシーンのモデルはマドンナだったりするのだろうか。舞台となっているのは1985年でマドンナは1984年の『ライク・ア・ヴァージン』で音楽界のスターとなった。その猥褻な登場は当時の人から非難が有っただろうと思う。
ケヴィン・ベーコンも1984年の『フットルース』でブレイク。それ以前には1982年のホラー映画『13日の金曜日』に出演している。
マドンナもケヴィン・ベーコンも本作で言われる怪物かと言えば多分そうではないとは思う。違う意味での怪物かもしれないが。怪物経由でスターになったマキシーンは当然だけど相当特異な存在で映画史に残るのかもしれない。ヒッチコック作品『サイコ』(1960年)が引き合いに出されていて、『サイコ』があんまりよく分かっていないのだけど『サイコ』の主人公ノーマン・ベイツも映画史に残るキャラクターでそれに匹敵するキャラクターになったのか。

バスター・キートン似の人がキャンタマ潰されていた。最近観た西部劇映画『皆殺しに手を貸せ』でも潰されていた。男の弱点と言えばキャンタマ。いざという時以外そこはあえて狙わないというのがこれまでの不文律。格闘技でははっきりと禁止されているがこれからの世界では当然狙われていく事になり、これまである意味無防備であったキャンタマを守っていかなければならない時代になっていくのだろう。
野球のキャッチャーはそれ専用の防具をユニフォームの中に装着している。


『X エックス』『Pearl パール』

2025-06-04 15:00:33 | 映画
『X エックス』 2022年、アメリカ、1時間45分。を観た。
1979年、テキサスの農場で空き家を借りて無断でポルノ映画が撮影される。出演を足掛かりにしてスターになる事を夢見るマキシーン。農場主の老婆パールはマキシーンに妖しげな目を向ける。

三部作の完結編が公開されるので復習。劇場で観た時は居眠りした。終わりの方で少しウトウトしただけだと思っていたが後半の辺りはほとんど覚えていなかったので少しのウトウトではなかったみたい。居眠りしたからではなくて記憶力の問題も有るが。
恐怖が起こる原因はエロスにあり。と、言いたいのではないか。貧困とか飢餓も有るし、信仰も有ると思う。信仰に関してはチラッと触れられる。
愛も含まれるエロスへの執着が人間に残忍な行為を起こさせてしまう。



『Pearl パール』 2023年、アメリカ、1時間42分。を観た。
1918年、テキサスの農場の娘パールは若くして結婚した夫が出征し実家の両親と共に暮らしていた。父親は病に臥せ母親は農場の経営にも頭を悩ませていた。いつかスターになる事を夢見ているパールに母親は厳しい目を向ける。

劇場公開時にはシリーズモノを避けていた時期だった。今も出来れば避けたい。マーティン・スコセッシ監督が本作の事をベタ褒めしていたのは気にはなっていたけど結局観なかった。
三部作の完結編の予告をチラッと目にしたらケヴィン・ベーコンが出ていて、どうやら1980年代のハリウッドが舞台になりそうなので興味が湧いた。
この先シリーズの3作目となる『28年後…』も公開されるがそちらも気にはなっている。

若さへの執着が殺人衝動となったパールの約60年前の若さに満ちていた頃、若いが故に自分の思い通りには行かず行き詰まるパールは最初の殺人衝動に駆られる。そこには少しエロスも絡んでくるが前作ほどではない。本作の場合はエロスよりもエゴなのだろう。エゴの強さの点でもパールとマキシーンは重なる所が有り、それが三部作の完結編でどう結び付くのか。
本作と前作の間には空白の60年間が有るけどそこはもう空白のままでいいか。

マーティン・スコセッシ監督が本作のどういった所をベタ褒めしていたのか詳しくは知らない。1918年が舞台となっていて、その頃なのかもうちょっと後なのかクラシック映画へのオマージュを全然詳しくない自分でも感じ取れるがシネフィルでもあるスコセッシ監督にはそこら辺も余計にグッと来る所なのではないかと思う。
クラシック映画のスタイルを思わせながら血みどろのスラッシャー映画として容赦ない。終盤のミア・ゴスの独白とエンドクレジットのあの表情がクラシックとスラッシャーを融合させた結果になるんではないか。悲劇のヒロインであるが悲劇を起こした張本人でもあるという。

『導火線/FLASH POINT』

2025-06-02 17:35:32 | 映画
『導火線/FLASH POINT』 2007年、香港、1時間27分。を観た。
中国への香港返還前夜の1997年。香港警察マー刑事は犯罪人逮捕のための数々の暴力行為が問題視され警察音楽隊へ異動させられる。音楽隊での活動も熱心に行っていたマー刑事に兼ねてから追っていたベトナム人移民三兄弟逮捕の絶好の機会が訪れ現場復帰を命じられる。

シネマート新宿にて。近々日本での上映権利が切れるとの事で取り敢えず最終上映になるみたい。
思えば製作された2007年から3年か4年経ってから日本ではディスク化されて、全く知らない作品だったけどたまたまレンタル店の新作コーナーで見かけてたまたま借りて観たのが初めてだった。その後都内では今は無きシネマート六本木で劇場公開を果たして劇場公開作品となり、取り敢えずの最終上映はシネマート新宿にて。音響にこだわりの有るシネマート新宿ならではなのかクライマックスでの音圧がビシビシと来た。

今やドニーさんの数ある代表作の内の一本にまでなったのではないだろうか。それに加えて『トワイライト・ウォーリアーズ/九龍城砦』で新たなファン激増のルイス・クーの出演作品という事でも注目を集めている様で8割近く埋まっていたと思われる客席には女性客が多かった。本作のルイス・クーの不死身っぷりは恐らく有る『トワイライト・ウォーリアーズ』の続編でももしかしてと思わせる。香港映画ならもしかしてが実際に起こりそうだし。気功の人も。

クライマックスの激闘を観るために本作を観ていると言える。警察署内でのドニーさんとルイス・クーのやり取りも面白くて良かったけど、そういう所を観るともう少しソフトな香港版『あぶない刑事』になった可能性も有ったのかなあと思うがドニーさんの怒りのハードアクション全開を突き進む。
銃撃戦からタイマン勝負へと続くアクションシーンはやはり見応えが有る。銃撃戦ではマー刑事はたまたまだけどライフルを手に取るが、たぶん映画内とかにおいてライフルはスナイプの場面で一撃必中として使われる事が多いんじゃないだろうか。マシンガンは数撃ちゃ当たるみたいな感じでショットガンもそこまで狙いは正確な感じはしなくて、ハンドガンも遠距離での正確さという点ではライフルには及ばずといった感じ。動き回るアクションも込みでの銃撃戦でライフルはなかなか選ばれないと思うがそれを敢えて手に取らせてライフルならではの銃撃シーンのカッコ良さをを見せてくれる。
追記、軍隊モノだとライフルをメインとして使われるか。追記終わり。
ドニーさんとコリン・チョウのタイマン勝負は質、量(時間)共に最高。これでもかという位に見せてくれて(実際には3分とかそれくらいなのかも)、それでいて質は全く落ちない。始まりから既に凄いのにそこからどんどん上がっていく。


映画館に置いてあったチラシ

入場特典のチラシ

製作20周年で7月に上映される『SPL/狼よ静かに死ね』のチラシ

今月リバイバル公開『殺しの分け前/ポイント・ブランク』のチラシ

『ダーティ・マネー』

2025-06-02 10:00:38 | 映画
『ダーティ・マネー』 2024年、韓国、1時間40分。を観た。
兄貴分、弟分の刑事コンビは兄貴分の愛娘の手術費用を捻出するため違法行為に手を染めていた。ある時中国系組織が荒稼ぎしている大金の輸送ルートを知り強奪を企てる。

ネタバレ有り。

恐らくフィルムノワールにはなるのだろうと思う。破滅に向かって一直線なのは強奪現場での行動で確定だけど刑事でありながら悪事に染まっているその弁解のためか愛娘が何らかの大病を患っている。フィルムノワールで破滅に向かっているのならそんな弁解はいらないと思う。ただただ己の欲望のために破滅に向かって一直線なら一応納得は出来たかもしれない。
そもそもいらなかったと思うが、父親が悪徳刑事のままでいなくなるというのは娘にとって相当悲惨で、弟分からその事について何かしらの説明は有ったのかもしれないがその悲惨さをフィルムノワールとして活かさず、悲惨な出来事がまるで無かったかの様なファミリードラマな結末には納得いかなかった。

『犬の裁判』

2025-06-01 23:52:01 | 映画
『犬の裁判』 2024年、スイス=フランス、1時間21分。を観た。
人間の作った法律により殺処分の危機にある犬のコスモス。飼い主からの依頼で弁護士のアヴリルは中世以来となる動物が被告人の裁判の弁護を引き受ける。

犬が主役のほんわかコメディ、もしくはその騒動に巻き込まれる人間が描かれるヒューマンドラマの線も有るかなと思っていたがその両方を合わせた感じだった。
人間が勝手に作ったルールに運命を左右されるコスモスの姿に人間社会の弱者の姿も重ねられる。中世以来許されていなかった人間以外の動物が法廷に立っただけでもいくらかの進歩は有ったし、諦めなければ古臭いルールをぶっ壊せる時が必ず来るという事なのだろう

コスモスを演じたコディはカンヌ映画祭で最優秀犬賞パルムドッグを受賞。納得の賢さだった。
本作のテーマからすると人間の基準で選ばれる最優秀"犬"賞もいつかは無くならなければならないが。
今は男女共に俳優と言わなきゃいけないみたいだけどそうなると男優賞、女優賞の括りもなくなっていくのか。

『紅い眼鏡 4Kレストア5.1chバージョン』

2025-05-27 07:00:02 | 映画
『紅い眼鏡 4Kレストア5.1chバージョン』 1987年、日本、1時間56分。を観た。
増加する凶悪犯罪に対して創設された警察内組織「対凶悪犯罪特殊武装機動特捜班」通称「特機隊」。武装強化服「プロテクトギア」に身を包んだ特機隊は犯罪者に恐れられるが、暴力的な捜査手法は批判を呼び遂に解散命令が下される。命令に対して反乱を選んだ特機隊メンバーは徐々に追い詰められその中の一人都々目紅一(とどめこういち)だけが海外に逃れる。それから3年後、都々目紅一はトランクを手に日本に帰国する。

初見。ここ最近いつか映画館で観たいと思っていた映画を観られる機会が有って本作もその内の一本。初見ではないが『ミッドナイト・ラン』、『アビス』の140分版、『アルカトラズからの脱出』、『ビッグ』、『プレデター』なども映画館で観たいと思っているがなかなか上映される機会が無い。大体30年40年前の作品なので上映権が切れてるのか。

内容が理解出来たかというとあまりよく分かってはいない。
戦後日本の軍国主義からの転換と、1960年代の反権力の運動がなし崩し的に終わりを迎えた事が下敷きになってんのかなとは思う。国家、社会の在り方は何かの拍子でコロッと変わってしまう。本作の場合は元々権力側についていて言ったら「権力の犬」と言えるのだろうけどその犬でも権力者の使い捨てにされて、俺たちは一体なんだったのだ?権力側にいた自分と権力に捨てられた自分どちらかが真実でどちらが虚構なのかそれともどっちも虚構なのか。その答えを求めていたのかも。結局は無かった事にされたり忘れ去られたり捏造されたりで真実には辿り着けない。
それをギャグを絡めて描くのは当時の押井守監督の代表作がギャグアニメ『うる星やつら』だったからだろうと思うが、それとは別に押井守監督の学生時代には学生運動が下火になっていたのも大きいのではないか。下火になってくすぶっている姿を見てしまいそれをギャグにするしかなかったのかも。

なかなか見る事の出来ない永井一郎さん、大塚康生さんの姿が見られたのが良かった。玄田哲章さんのダンスも。千葉繁さんの美尻も。

『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』

2025-05-26 10:47:11 | 映画
『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』 2025年、日本、1時間30分。を観た。
隕石の衝突によってお菓子と人間が仲良く暮らす世界。スーパーアイドルグループ"たべっ子どうぶつ"は世界ツアーを終え地元のスイーツランドへ帰ろうとしていた。その帰路の専用ジェット機に突然謎の物体が張り付くがなんとかスイーツランド空港に着陸する。グループのリーダーらいおんくんがその物体を調べると物体はフワフワで甘く口の中で溶けた。

評判が良いのは耳にしていたが実際観たら評判通りだった。取り敢えず技術的な面であんまり日本製のCGアニメは観ていないけどいつの間にかとんでもなく進化していた。世界でもトップレベルと言ってもいいんじゃないだろうか。本作以外のCGアニメも凄い事になっていたりするのだろうか。
製作スタジオはマーザ・アニメーションプラネット。今まで聞いた事はなかったが調べると現在はセガの子会社だとか。その関係かソニックの映画のCGを担当したみたい。
監督は『放課後ミッドナイターズ』の竹清弘監督。本作と『放課後ミッドナイターズ』では大分テイストは違う様に思うが両方とも面白い所で一緒。脚本の池田テツヒロさんは役者の池田鉄洋さん。脚本家としても活躍されている事は知っていた。

ある言葉が重要な文字通りのキーワードになっている。その言葉は日本独特なもので世界で意味が一致するものは無いのだとか。その言葉を正確に言おうと頑張る幼児に泣けた。

世界での公開で大ヒットもするのでは。各国の映画館で登場するお菓子を販売したり。『ガンバの冒険』のCGアニメの時も世界で通用すると思ったので自分の見込みは当てにはならないが。
お菓子の食べ過ぎ、栄養の偏りが批判されたりはするかも。そこら辺の事は映画に限らず常に批判されたりしているのか。

歯磨きの推奨も一緒にした方がいいと思う。次回作でLIONライオン株式会社とコラボするとか。
ポリンキーやうまい棒などの駄菓子業界での他社コラボはしていた。ポリンキーは『マダガスカル』シリーズのペンギン的な役割。
菓子パン界のレジェンド御大アンパンマン師匠とのアッセンブルとかも期待してしまう。
思うに今まで気付かなかったがバイキンマンは虫歯菌の事なのか?見た目はそれっぽい。「あんぱんをどうぞ」と言われて食べた後には歯を磨かないと虫歯になってしまう。アンパンマンがいるからバイキンマンはいて、と言うか戒めとしてもいなければならない。そのバイキンマンの歯はいつも真っ白で綺麗。「歯ーひふーへほー」もそういう事なのか。

『八甲田山』

2025-05-25 19:28:43 | 映画
『八甲田山』 1977年、日本、2時間49分。を観た。
明治35年(1901年)10月、弘前大八師団第四旅団本部にて会議が行われる。来たる日露の開戦に備え寒地装備と寒地訓練の必要性を唱える参謀長は極寒期の八甲田山での訓練および調査を提案。会議に召集されていた青森歩兵第五連隊と弘前歩兵第三十一連隊は実質上の命令と受け止め、翌年に現地の人間から「雪地獄」と恐れられ踏み入る事の無い厳冬の八甲田山での雪中行軍の準備に入る。それぞれ別ルートを進む計画は明治36年(1902年)1月20日に弘前歩兵第三十一連隊が、遅れて1月23日に青森第5歩兵連隊が出発した。

午前十時の映画祭15にて。

初見。公開当時テレビCMでも使われた「天は我々を見放した」は覚えていた。「八つ墓村の祟りじゃあ」の『八つ墓村』も1977年の公開。多分両方ともドリフの全員集合のコントでも使われて大笑いしてそちらの印象も強かったのかも。
そんな事も思い出すし、映画には懐かしい俳優さんや、今や超ベテランの方の若い姿もたくさん見られて良かった。
大竹まことさんの名前がエンドクレジットに有った。汗で下着が凍って凍傷になったため気が触れてふんどし一丁になって雪原に飛び込む役だったらしい(ウィキペディア情報)。
ビートたけしさんもまだ売れていない時に有名映画にエキストラで出た苦労話しを面白おかしくされていて、それが本作だと思っていたけど本作ではなくて『二百三高地』だった(ウィキペディア情報)。『二百三高地』は1980年の作品だから丁度漫才ブームの頃で、でもまだそこまで有名ではなくちょい役という感じでの出演だったみたい。で、ちょっとだけ映ってる時に既に持ちギャグでやっていた「コマネチ」の形をやったら監督に起こられたとか。まあ真面目な映画で急にがに股になって股間の所から両手を左右に45度の角度で上に高速で上げると同時に首を横にカクッと曲げる奇妙な動きをされたらそれは監督が怒るのも当然。

八甲田山をよく分かっていなかったが八甲田山という単独峰ではなくていくつかの火山で構成された火山群だとか。その山々の間に湿原や温泉が有る。
実際に雪深く積もる八甲田山で撮影をしていてその凄さはしっかりとフィルムに残されている。

実際に起きた悲劇の映画化だけどこれを美談と受け止めてはいけないのだろう。戦争が有ったからこその悲惨な事故として二度と起こしてはならない教訓として。
押井守監督が"ぴあ"の渡辺麻紀さんとの対談連載でリドリー・スコット監督の『ナポレオン』について話す回で、戦場で重要なのは兵站(へいたん、物資の補給、運搬)であると話されていてなるほどと思って、本作を観て改めてよく分かった。雪の山道で人力でソリに乗っけた大荷物を運べと言われたらもうそれだけで悲劇。

ある人の決断が全て裏目に出るが、それは脚色としての事なのかもしれないがそういう全部裏目に出る人も実際に存在するのだろうと思う。自分の事を考えてもこれまでの幾つかの決断は裏目の方が多かった様な。本作の中のあの過酷な状況では何を選んでも裏目だった可能性も有ったと思うがそれでも決断をしなければならないのは辛い。