20年前の追憶(2002年9月5日)
何時の頃からか、旅行などに出かけると必ず蕎麦屋を探し昼食を取る事が一つの楽しみになった。
最近では、数日前に訪れた那須高原の蕎麦屋だ。
別荘が点在する樹木の深い道路を走らせていたら、小さく蕎麦とだけ簡単に書いた板が立っているのを見つけた。
建物などは見えず、まさかこんな場所に蕎麦屋など在るはずがないと思いつつ、横道に入ってみると、200m程入り別荘風の真新しい木造家屋の前で行き止まりになった。
引き返そうと思ったが、車を降り建物に近づいてみると、 "手づくり蕎麦 ほし"と書かれた控えめな看板らしきものと、無地のノレンが下がっているではないか。
"手打ち蕎麦"と書かれた看板やノレンはよく見かけるが、"手作り蕎麦"と書いているのは、今まで見たことも聞いたこともなく珍しく思った。
ノレンをくぐると、靴を脱ぎ板の間のテーブル席に案内された。
蕎麦屋と言うより懐石料理かフランス料理が出てきそうな店の佇まいのような感じたが、品書きを見れば、まさしく蕎麦屋だ。
品書きに「夫婦二人でやっていますのでお待ちいただく事もあります」とも書きそえてあった。
昼メニューを注文し、蕎麦茶を飲みながら大型ガラス窓越しに奥深く見える自然林を見ていると、野生の動物達が顔を出しそうな雰囲気の店である。
新しい蕎麦との出会いに期待が膨らむ。
二八蕎麦と十割蕎麦が別々のざるに盛られ運ばれてきた。
細打ちでのど越しの良い上品な蕎麦である。
シメジの佃煮に大根おろしと彩りが良いキュウリ・ニンジン・ダイコン・キャベツのぬか漬が付いた。
これがまた美味い。
タレに粗くおろした辛味大根を入れ十割蕎麦を噛みしめて食べた。
辛味と蕎麦の食感が絶妙である。
しばらくすると続けざまに3組のお客が入ってきた。
こんな場所に訪れるお客は、さぞかし美味い蕎麦を食べさせてくれるからなのだろう。
営業時間は11時30分~売り切れ次第閉店、夜は蕎麦会席の予約のみの営業とも書き添えてあった。