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今日の記憶を一言半句

18年の肩の荷が下りる

退職後の2005年から、国の天然記念物、雁の一種「オオヒシクイ」の保護活動を続けて来ました。

雁の仲間では一番大型で、翼を広げると180cm以上にもなる大きな鳥です。

並んで飛ぶ姿は「鍵になり竿になり」と歌われたり、万葉集ではホトトギスに次いで詠まれている古来から愛された雁です。

 

今日は、そのオオヒシクイを保護する会が、新型コロナ禍を経て4年ぶりに総会を開催しました。

本日、私は18年続けた事務局長を退任しました。

 

18年を振り返ると、会を発足した当初の草創期は、地元民や行政の理解が得られずに相当のエネルギーが必要でした。。

 

まず、保護することの大切さや活動の内容を、2つのツールを使い、情報を発信することをはじめた。

保護活動への理解と協力を得るため、ホームページを開設したのと会報を発行した。

市民が目に触れやすい市の公共施設の各所に会報を置き、活動の必要性などを知ってもらい、知名度を上げることをした。

 

越冬地周辺の住民や行政の協力が不可欠であり、地道で気の長い活動を継続してきました。

その結果、次第に住民も行政も我々の活動に理解を示してくれるようになった。

そればかりか、協力するようにもなり、活動の内容も大きく変化した。

 

活動を始めた2004年頃のオオヒシクイ飛来数は60羽前後でした。

その数が、17年後の2021年には4倍近い216羽にまで増加した。

新聞とかラジオやTVに取り上げられるようにもなった。

毎年メディアからの取材要請が多くなり、新聞報道や放送があるたび、オオヒシクイ保護への関心が深まり、今ではメデアの取り上げてくれることで、会の活動がしやすくなっている。

 

18年の間には思いがけないことも。

秋篠宮殿下がプライベートで探鳥にお越し頂いたことも。

前野鳥の会会長の亡き柳生博さんの訪問を受けたり、著名な方々が観察に訪れたこともあり、さらに知名度が上がった。

成田空港第3滑走路建設に伴い、越冬地上空を通過する航空機が及ぼす環境アセスメント作成に、当会の観察データが信頼を得て、5年前から毎年定期的にヒアリング要請があり対応をしている。

2021年のみどりの日には、長年の活動が認められ、「自然環境功労者 環境大臣表彰」を受賞した。

 

私が事務局長交代に至るまでの道のりも、長い時間を要した。

後継者を育成し、保護活動を長く継続していくことも大きなテーマでした。

 

毎年、小中学校4~5校に出前授業に出向きます。

その中に、自然環境にとても関心の深い地元出身の校長先生に出会った。

その校長先生の定年退職を待ち、退職した7年前に直接自宅に押しかけ、将来の保護活動の中心になって欲しいと直談判した。

幸いに私の考えを理解し賛同してくれた。

会員として入会してもらい、2019年に会長を引き受けてもらった。

積極的に行動し、会員からの信頼も厚く、それに校長だっただけに地域や行政に顔が広い。

何よりも活動の大きな力になっている。

 

私の後任に、適任者を選んでくれた。

本日無事に引継ぎを終えました。

 

そんな訳で、18年の肩の荷が下りたわけです。

これからは直接に活動などせず、一会員として見守っていきたい。

 

来月の後半には、今年も3000kmもの北から渡って来るでしょう。

すでに、今年も安心して越冬できる環境作りに、地域の人達や行政と一緒に準備を始めています。

 

18年の活動だから、まだまだいろいろなことが蘇えってきますが、長くなるのでこれで終わりにします。

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