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第093話 New World おだ

2021-11-16 11:59:54 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第九十三話 

「国際聯盟」が結成され、平和的な国際秩序が形成されたかというと、まったくそんなことはなかったw。
東に国際紛争があれば、すぐにツイステ合州国が行って「そんな面白いことには俺も混ぜろ」と軍事介入し、西の小国家間に緊張が高まればダイシン帝國が双方に軍事援助をして煽っていたのが、まずは国聯安全保障理事会にその解決策が諮られることになった。

しかし、この会議は、常に紛糾した。
ツイステ合州国とダイシン帝國のプロパガンダ合戦、多数派工作、コーライの事務総長の無能のマリアージュによって、国聯の平和維持活動は画餅にすぎないと参加国が理解するのにさほど時間はかからなかった。

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第23回臨時国聯安全保障理事会
この会議では南北に分離したスーダラ国の平和維持活動に関して対策が話し合われていた。
スーダラ国は、まあぶっちゃけ、世界の趨勢にはまったく影響を及ぼさない小国であり、近年戦略物質として注目され始めた油田が発見されるまでは、ほぼ無視されていた。しかし、民族問題とその石油利権がこんがらがって、南北スーダラに分かれ、悲惨な内戦が起こっていた。

米国国聯大使、サマンサ・オバサ
「南スーダラが民族自決を訴えて、圧政から逃れて独立したのは必然。国聯はその独立を支援すべきです!」

ダイシン帝國国聯大使、花春節。
ちなみに彼女はコーライでの活動が評価され、順当に出世。
国聯大使という重責を担うまでになっていた。
「南スーダラ勢力は、テロリストのローグネーションであり、地下資源を占有するための利益集団でしかありませんわねえ」

こんな調子で、国聯内でも対立。手をこまねいているうちに、悲惨な虐殺事件が頻発するようになる。
平和なニュウヨックでいくら舌戦を交わしていたところで、国聯の無能さが露わになるだけというのは、双方勢力も合意し、スーダラへの平和維持活動軍が派遣される事になった。
主に北スーダラには、ダイシン帝国派閥の国家群が、維持軍を供出し、南スーダラ側には、ツイステ合衆国側の諸国から成る混成軍が派遣されることになった。
しかし、ふざけたことに北スーダラ側にはダイシン帝國本国もちゃんと軍隊を派遣したのに、南スーダラ側にはツイステは自国の軍隊を派遣せず、コーライ・モトヒノ・オパール・カレー共和国などにぶん投げたwww。

国聯維持活動の目的の平和維持のために、国際聯盟スーダラ派遣団の交戦規定には、厳しい制限が加えられていた。
持って行ける装備は軽装備、自衛戦闘に使用できる兵器の制限、スーダラ人同士の戦闘が起きても介入して戦闘を止めることなど不可能な無理ゲーであり、派遣された軍人達のフラストレーションは相当なものであったという。

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モトヒノ軍は先のグンマー戦争で塹壕線突破などと言う戦術思想的で旧態化が著しい90式戦車をすっかり様変わりした現代戦に対応させるための後継機種の開発が全力で進められていた。本流は、他国と同様に戦車同士の戦いに対応できる正統的な主力戦車であり、その系統は後に10式戦車という、まあ妥当な兵器に結実した。一方で、変なことをしないと気が済まないのもモトヒノ人であるw。
正統的な主力戦車であるツイステの無敵戦車M-1が市街戦でヒドイ目に遭ったり、コーライの暴風戦車が歩兵相手に惨敗したという戦訓を元に市街戦を想定した高性能戦闘車両を考案した。
それが、98式多脚戦闘指揮車「レイダー」である。まず、履帯を廃して、6脚の足で機動するようにした。
平地では履帯の戦車には敵わなくても、ジャングルや市街地では多脚式の方が機動性に勝るという判断である。
この世界ではゴーレムという魔導遺物があったため、多脚式への心理的抵抗は低かったし、魔導モーターという発掘技術もあった。
戦車の弱点である、視界の問題も、昨今ドッグイヤーで進歩している魔導センサーや通信管制能力類のモトヒノの最新技術を惜しみなく導入し、対歩兵戦闘には留意し、大口径砲こそ無かったがチェーンガン・機銃などで制圧力を高めた。対戦車には、主力戦車を指揮して共同で当たるという、理論上は実に素晴らしい最新兵器であった。
モトヒノ・スーダラPKO派遣軍には、この先行試作型98式多脚戦闘指揮車「レイダー」が4機投入されていた。
監視任務には、その卓越したセンサー能力・通信管制能力が有用であろうというもくろみもあっての実戦試験配備である。

その日も、モトヒノ陸軍の多脚戦車試験部隊隊長のムクゲ中佐率いるレイダーの小隊は、スーダラのジャングルで監視任務のパトロールに就いていた。
実戦を想定するなら、本来、ジャングル迷彩塗装をされているべき機体は、国聯平和維持軍の規定により、真っ白に塗られ、LN(国聯)の文字が記されていた。
先行する機体が、ジャングルに埋設された対戦車地雷を踏んだ。
戦車の履帯や底部のミッションを損傷させて足を止めるのを目的とした対戦車地雷は、もちろん比較的脆弱な多脚戦車の足を破壊し、擱坐させた。
構造上、地面から本体まで距離のあるコクピット内の搭乗員は無事ではある。
擱坐した僚機を囲んだ残りの機体、皮肉にも優れたセンサーを持つレイダーは、大勢の北スーダラの武装勢力に包囲されつつあることを察知した。
とはいえ歩兵勢力程度であれば、本来、充分なチェーンガンや機銃で武装したレイダーの敵ではない。むしろ戦車が苦手な対歩兵戦闘の為に設計されたのだ。
その能力を十全に発揮すれば、敵性勢力の排除も僚機の救出も難しくはないはずであった。

ムクゲ中佐
「指揮本部へ、レイダー4が触雷し擱坐。敵歩兵勢力に囲まれつつある。交戦許可を。」

ザザというノイズ混じりの音声魔導通信に
「国聯PKO交戦規定により、交戦は許可できない。威嚇射撃のみ許可する。救援部隊を派遣する。」

「!」
ムクゲ中佐は、衝撃を受けた。しかし、宮仕えの悲しさ。
敵歩兵部隊に散発的な威嚇射撃を開始する。
命中弾のない北スーダラの武装勢力は、調子に乗り、次第に大胆になっていく。
ダイシン帝國から流れてきた新型対戦車ミサイルを持ち出した。これはまだ成形炸薬弾頭では無かったが、粘着榴弾の開発には成功しており、未だ複合装甲の開発されていない今世界の装甲車両には実に有効な兵器であった。
脚部や本体にミサイルの直撃を受けて、次々に撃破される。
救出部隊が到着した時に生存していたのは、ムクゲ中佐だけだった…。
彼はこの後に失踪し、モトヒノで映画化決定するような大事件を起こすのだが、それは別の物語である。

ちなみに、同様な目に遭いそうになったコーライ軍やカレー共和国軍は、そんな非現実的な交戦規定などガン無視して、バンバン撃ちまくっていたので、北スーダラの雑多な小火器で武装した武装勢力如きに壊滅的な被害を受けるようなマヌケな事態は起きなかったという…。
そしてコーライ軍は、景気よく弾を撃ちすぎて、補給がショート。
弾をほとんど撃たないモトヒノ軍から、急遽、弾薬を融通してもらうという、現場での麗しい戦友間の交流があったが、現地指揮官がコーライ国会に召喚され、モトヒノに助けて貰うなどとんでもないと更迭されたw。



2 コメント

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Unknown (チキンサラダ)
2021-11-17 13:13:20
ムクゲ中佐の元ネタが何か考え中...
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Unknown (ryouchin)
2021-11-17 17:10:20
答えを見てしまいたい人には
https://www.youtube.com/watch?v=MFwlVjX4E1U
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