働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

新しい時代の働き方に関する研究会 第1回報道と第2回案内

2023年03月28日 | 働き方改革
第1回 新しい時代の働き方に関する研究会に関する報道
働き方改革関連法の見直し(2024年)に向けて
NHK NEWS WEB(「コロナ禍でテレワーク普及 新時代の労働政策など議論 初会合」2023年3月20日配信)によると、厚生労働省は「新しい時代の働き方に関する研究会」の議論を踏まえ、「新たな時代にふさわしい労働政策や制度の在り方」について検討を進めるとともに来年(2024年)予定されている働き方改革関連法(労働基準法などの労働法規)見直しにも反映させたいという考えをもっているらしい。だから、労働法学者が一人だけという研究会構成に危惧がある。

なお、参集者の一人から「労働法制が分かりにくくなっているとして、新たな働き方に対応した法律を考える際には、法の趣旨や目的が明確で実効性の高いものに整理するよう求める提言も出されました」と、NHK NEWS WEBは報じている。

コロナ禍をきっかけに働き方や働く意識が大きく変わる中、厚生労働省は新たな時代にふさわしい労働政策や制度の在り方について検討するため、有識者による議論を始めました。

コロナ禍でテレワークの普及が進んだことをきっかけに、働く場所や時間が多様化し、仕事に対する価値観や意識も大きく変わってきていると指摘されています。

こうした中、厚生労働省は労働問題の研究者や法律の専門家など9人で作る研究会を発足させ、20日、初会合を開きました。

会合では、委員から「テレワークや育休を取り入れた自分らしいキャリアに関心が高まっているが、うまくいく場合ばかりではなく何かを諦めて折り合いをつけるか、転職や起業をするかの選択につながっている」として、キャリアパスの支援を検討すべきだという意見が出されました。

また、「世界中から働き手を確保しようという動きが出ていて、多様な人材を活用する際の公正な労使関係を規定するルール作りが課題だ」といった指摘もありました。

さらに、労働法制が分かりにくくなっているとして、新たな働き方に対応した法律を考える際には、法の趣旨や目的が明確で実効性の高いものに整理するよう求める提言も出されました。

厚生労働省は研究会の議論を踏まえ、新たな時代にふさわしい労働政策や制度の在り方について検討を進めるとともに来年、予定されている働き方改革関連法の見直しにも反映させたい考えです。(「コロナ禍でテレワーク普及 新時代の労働政策など議論 初会合」NHK NEWS WEBS)


第2回 新しい時代の働き方に関する研究会 開催案内
第2回「新しい時代の働き方に関する研究会」は2023年3月29日に開催、議案は「有識者からのヒアリング」。

第1回「新しい時代の働き方に関する研究会」の資料4「今後の進め方について」(案)には、「ヒアリング」は「シンクタンク」と「企業」とのみ記載されていたが、第2回研究会では「有識者」からとなっている。

この記事「新しい時代の働き方に関する研究会(厚生労働省の新たな有識者会議)」の追記「第1回 新しい時代の働き方に関する研究会 資料」の中で「事務局(厚生労働省)が準備した案どおりになるとすれば、ヒアリングはシンクタンクと企業からしか行われないようだが、関係団体、労働組合、労働法に詳しい弁護士、労務問題に詳しい社会保険労務士などからもヒアリングを実施してもらえないだろうか、とも思う」と意見を記載したことも少しは影響したのか知れないが、第2回研究会では有識者からのヒアリングが実施される。ただし現時点(2023年3月27日)では、有識者が学者からなのか弁護士からなのか不明。

有識者が事務局(厚生労働省)案どおりシンクタンクの研究員だけということもあり得る。そういうことであれば、シンクタンクのからのヒアリングを「有識者からのヒアリング」と変えただけのことになる。

追記:第2回 新しい時代の働き方に関する研究会 資料
本日(2023年3月29日)、第2回「新しい時代の働き方に関する研究会」資料が公開された。

(1)経済社会構造の変化と新しい時代の働き方
資料1の外部有識者は山田久氏は株式会社 日本総合研究所調査部副理事長。

山田久氏は資料1「経済社会構造の変化と新しい時代の働き方」の「労働政策の課題」において次のような具体策を述べている(資料1の20頁)。

その山田氏の提言の中でも「集団的労使関係による対等性確保」「(フリーランスの)団結権」「集団的労使関係の再構築」「拡張適用の容易化(組合非加盟労働者の保護)」「適切なデロゲーションを担保する従業員代表制の導入」「産別組合の機能強化」といった個別的ではなく集団的労使関係に係るワードに注目した。

今後、現場力・品質力を維持・強化しつつ革新力を高めるため、内部労働市場の利点を維持しつつトータルな外部労 働市場の機能強化が必要で、そのための主な具体策は以下の通り。
1)労働法制
労働者の職務選択意思の尊重 労働契約解除の適正プロセスの確保(労働者意思の尊重、再就職支援サービス、 集団的労使関係による対等性確保)、キャリアブレイク制度 フリーランスに対する労働保護(団結権、労働時間規制、 最低賃金、労働保険)、教育訓練に関わる労働時間規制の柔軟化 2)能力開発支援
産学官連携による企業横断的・社会横断的な仕組みの整備
3)外部労働市場整備
日本版O-NET(ジョブタグ)の普及・改善による外部労働市場の標準化(共通言語の確立)
職業紹介事業のガイドライン(労働者サイドに立ったキャリアコンサルティング機能の強化)
4)集団的労使関係の再構築
拡張適用の容易化(組合非加盟労働者の保護)、適切なデロゲーションを担保する従業員代表制の導入、 産別組合の機能強化(第2回 新しい時代の働き方に関する研究会 資料1)(厚生労働省サイト)


(2)近年の日本労働市場の動向について
資料2の外部有識者・小林祐児氏はパーソル総合研究所シンクタンク本部上席主任研究員。

小林祐児氏は資料2「近年の日本労働市場の動向について ―主に就業者意識と人事管理の面から―」の最後のページで「今後の人的資源管理に求めたいこと」として「個人の『多様化』(人材のダイバーシティ)を『孤立化』(支えの無い個)に直結させない人事管理」を提言。

例として「リスキリングにおける『学びの共同体化』」「テレワークにおけるコミュニケーション円滑化のためのITC投資・組織開発支援」 「社内キャリアにおける『集合的なキャリア支援』(≒個別支援)」「越境学習支援」をあげ、そして「労働政策においても、上記のような企業の動向を後押し・支援するような方向性が望まれる」と結んでいる。

追記:第3回 新しい時代の働き方に関する研究会
第3回「新しい時代の働き方に関する研究会」が2023年4月7日に開催される。議題は「構成員からのプレゼンテーション」。

新しい時代の働き方に関する研究会(厚生労働省サイト)

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