石破さんとトランプさんの会談について、某局は「大成功」との声を紹介。だが、別の某局では論調が違うに違いない。案の定「いったん成功。しかし(なんたらかんたら)」との声を紹介。自局が言わせたいことを言ってくれる人をかき集めるのはご苦労さんなことである。いや、論調が違うのは当然。みんなが同じならまるで大政翼賛会で危険である。だが、各メディアとも「公明正大」を謳いながら実は左右いずれかに寄っているのはずるい。アメリカのメディアは堂々と「○○党支持」をぶちあげて論調している。それとも、日本のメディアは、真に自分とこの意見が「絶対的真理」だと信じているのだろうか。だったらまるで活動家である。そう言えば、バカな国民に「教えてあげる」風な物言いをする記者もいる。記者会見の場で活動家のアジ演説のような弁論をぶつ記者もいる。
その「アジ演説」をする記者さんは、自分がしゃべりすぎなことは分かっているが、支持してくれる少数者もいるので、その人達のためにがんばる風なことを言っていた。少数者の代弁は必要なことである。議席の少ない政党も応援する人がいる限り存在価値がある、と当の党(駄洒落ではない)の人はがんばっておられるのだろう。だが、少数にも限度がある。ドイツ語学校で先生がしつこく言っていたのは「ドイツでは5%の得票のない党は議席が与えられない」という話。「5%」をものすごく強調していた。この規定が日本に導入されたらやばい党がいくつかある。
実は、最近論調の違いを一番感じたのは日米首脳会談のことではなく、ミュンヘンで開かれた安全保障会議に登壇したアメリカの副大統領のヴァンスさんの演説に関してである。日本では、ウクライナのことがあまり触れられなかったことを報じているが、ドイツのニュースが大々的に報じたのは、ヴァンスさんが「EUでは表現の自由が制限されている」等々のEU批判を繰り広げたこと。ドイツのメディアは、「これによって戦後培われてきた米欧の関係が崩れ去った」「歴史的転換」等の論調で、大事件として報じている。