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黒式部の怨念日記

怨念を恐るる者は読むことなかれ

しらばっくれるマスコミ/警察官になればいい

2025-03-26 10:04:59 | テレビ

テレビ100年の特集番組の中でも過去のニュース報道を検証した番組は見応えがあった。テレビ自身がテレビの危うさをよく語っていた。

例えば、浅間山荘事件。現場の実況中継の様子は小学校の教室内のテレビで見たが、救出された人質の方が入院してる病院にテレビが詰めかけ、無断で病室に入り、無理やりインタビューをとり、その中の「うどんが食べたい」だけを切り取って流し、それに対して「人が一人亡くなっているのにうどんが食べたいとはなにごとか」と社会が炎上し、凶器が送りつけられる事態となったなんて初めて聞いた。テレビ局の乱暴な取材と「切り取り報道」は今も昔も変わらないということである。

それから松本サリン事件。このときは私も大人になっていたから、マスコミのひどさについてリアルタイムで憤っていた。つまり、事件現場近くの第一通報者を犯人視する警察の話を鵜呑みにし、その人を犯人と決めつけた報道をずーっと垂れ流した。もちろん、真犯人である教団が圧倒的に悪いが、テレビ等のマスコミも二つの悪さをしている。一つは無実の人を犯人扱いしたこと。もう一つはそれによって真犯人の特定を遅らせたことである。すなわち、個人と社会の両方に対して悪事を働いたということである。特番では、テレビ報道の「早さと真実性」のせめぎ合いだと言っていたが、早さを求めれば結果的に誤報が生じるのはある程度やむを得ないだろう。だが、間違えたのならはっきり「間違えました」と言うべきである。しかも、誤報と同じくらい目立つ方法で。例えば、トップで(新聞なら第1面で)報道した内容が間違っていたのならトップ(一面)で訂正すべきである。これをやらないでしらばっくれるもんだから、テレビや新聞は「オールドメディア」と揶揄されてその信用性が地に墜ちているのである。

だが、たとえ切り取りがあったとしても「うどんが食べたい」で炎上する方もどうかしている。ずっと命の危険にさらされていた人質が解放されて「うどんが食べたい」と言って何が悪いのか?警察への感謝の念を述べないのがけしからん、ということか(実際、被害者はインタビューの冒頭で感謝の念を述べているのに切り取られて放送されなかったのだが)。当時のことを振り返った関係者が、視聴者みんなが警察になったかのようだった、と述懐していた。なるほど、コロナ禍のときも、自粛警察が蔓延したっけ。そんなに警察になりたいのなら警察官になればいい。そう言えば、昔、なんかの用で警察署に行ったら入口に警察官募集のポスターが貼ってあって、眺めてたら警察官が寄ってきて「あなたもどうですか?」と声をかけられたことがあったっけ。


ロンパールーム/オペラアワー

2025-03-23 12:07:57 | テレビ

テレビ100年と言ってNHKが騒いでいるが、公衆に向けての試験放送・本放送が始まったのは100年前よりずっと後で、さらに、日本でテレビが普及したのは、最初は今の上皇陛下のご成婚のときであり、次は1964年の東京オリンピックのときだったそうだ。私の実家にテレビ(もちろんモノクロ)が来たのは、その第二波のときであり、私の脳内にあるテレビ映像の最古の記憶は東京オリンピックの閉会式である。

一つ、奇妙な記憶がある。「ロンパールーム」という子供番組(日本テレビ)があったのだが、ある日NHKを見てたら画面に「子供は4チャンネルに変えなさい」という案内が出て、それでチャンネルを変えたらうつみみどりさんが司会を務めるロンパールームが放送されていて、以後、この番組を見るようになった、という記憶である。長じてから思うに、この記憶はきわめて怪しい。テレビ局が他のテレビ局の番組を奨めるなんて考えられない。だが、かと言って、私がロンパールームを見始めた理由について他の記憶は皆無である。私の余生において、いったいこのことの真否が解決される日が来るのだろうか。来ないっぽい(だが、あたためていた疑問が数十年の時を経ていきなり解決することもある。例えば、ゴジラ映画の「宇宙大戦争」で、ゴジラとキングギドラがくんずほぐれつしながら海に落下した後、登場人物が「ゴジラとラドンは死んだのかしら」と言うのだが、私は、ラドンは海に落ちてない(急にいなくなったが)、だからラドンの生死を案ずる台詞は変だ、と思っていた。ところが、最近、映画を見返してみると、なんとくんずほぐれつの中にラドンもいて一緒に海に落下していた。半世紀に及ぶ謎が解けた瞬間であった)

うつみみどりさんは、その後、大人向けの番組に出るようになり、その番宣CMの中で、新番組で相方を務める愛川欽也さんが「(うつみさんが)「鏡よ鏡よ鏡さん」とはもう言わない」と言っていた(この記憶は確かである)。そう、「鏡よ鏡よ鏡さん」は「ロンパールーム」のエンディングでうつみさんが鏡を手にして発する決まり文句であった。

昨夜、NHKが「テレビ100年」を記念して特集番組を放送していたので、懐かしいモノクロ番組をたくさん放送してくれるのだろう、と期待して見たら、懐かしい番組の放送はちょびっとで、ひな壇後段に並んだ現役アナウンサー達が前列に並んだ先輩アナウンサーを一生懸命よいしょしていた。よく見るヴァラエティの構図である(芸人さんをアナウンサーに変えただけ)。だから最近のテレビはつまらないんだよな、と思った。唯一、野口アナウンサーがブラタモリでタモリさんとブラブラしたときの話は「おっ」と思ったが、番組を仕切った芸人さんが全くブラタモリを知らない風でとんちんかんな話をして興ざめだった。

アナウンサーの話をするんだったら、せめて後藤美代子(故人)さんの話を聞きたかった。クラシック音楽番組のナレーションと言えばこの人だった。こうもり序曲に続いて「オペラアワー」と言う後藤美代子さんの声こそ、確かに記憶の中にしみ込んでいる。