goo blog サービス終了のお知らせ 

黒式部の怨念日記

怨念を恐るる者は読むことなかれ

新旧朝ドラは炭水化物つながり

2025-04-03 06:38:47 | ドラマ

年度が替わり、朝ドラも新旧入れ替わり。「おむすび」の次が「あんぱん」だから炭水化物つながりである。ただし、ご飯は米と水だけで作るのに対し、パンは、小麦粉の他にイースト菌、砂糖、塩を入れるからプレーンでもカロリーが高そうである。

その「おむすび」は平均視聴率が最低だったとメディアが騒いでいるが、このご時世ネットとかいろんな視聴方法があるのだから視聴率でドラマの良し悪しが決まるわけではない。にもかかわらず視聴率どうのこうのと言ってるところが前朝ドラ以上にオールドメディアのダメなところである。

それでも、本作がつまらなかったという意見には同意する。いろんな出来事が起こるのだが毎度さらりと解決。その際、いかにもって台詞が吐かれ、思わせぶりな音楽が鳴るのだが中身がない。音楽もこんな使い方をされたら迷惑である。だがこれはあくまでも私見。本作をもって「朝ドラ最高傑作」と呼ぶ人がいても一つも不思議ではない。そういう方は半年間楽しまれてご同慶の至りである。

それに対し、新作の方は、第3回にして大事件。松嶋菜々子演じる未亡人が子供を親戚の家に置いて再婚のために出て行ってしまった。子供が見送る松嶋菜々子の背中の長写し。余計な台詞や音楽や演出はない。くるくる回るパラソルが印象的であった。「チムドンドン」では生活苦のため東京の親戚の家に預けられることになった少女時代のヒロインがたちどころに戻ってきたが、子供に「すぐ戻る」と言った松嶋菜々子演じる母は戻ってきそうにない。因みに、「チムドンドン」は朝ドラワースト1レースのトップランナーだったが、「おむすび」という強敵が現れてその地位が危うくなった。

「カムカムエヴリバディ」の再放送は有り難いことにまだ続いている。「おむすび」とは対照的に、登場人物の奮闘努力が時間をかけて丁寧に描かれ、それが報われずに挫折するが、一つも無駄な話はなく、すべて後々の話につながっている。昼の12時台はこのドラマと「あんぱん」の再放送が連続し、私にとってのゴールデンアワーとなった。

「カムカムエヴリバディ」は「ちりとてちん」と脚本家が同じであり、二作とも私の朝ドラベスト3の候補である。だから同じ脚本家が書いた大河ドラマ「平清盛」も期待したのだが、清盛が敵と切り結んでいる最中に「戦のない世の中を作るのじゃ」と言った時点で冷めてしまった。刀を交わしている最中にそんなことを言ってる暇があるか、ということである。あくまでも私の感想である。


ごろごろしながら朝ドラを見て鶏胸肉を喰らう件

2025-02-26 18:38:06 | ドラマ

大久保で働く外国人の声を集めた番組で、「日本人は働いてばかり」「こんなの人生とは言えない」「こんな国は日本だけ」「故国が別で良かった」と言っている外国人がいた。彼は「50歳を過ぎたら、働くのをやめてゴロゴロして暮らす」のだそうだ。きみきみ、日本人にもいろいろいるからね。さすがに50歳ってことはなかったけど、私などは同年代の人達がまだまだ働いているというのに早々に廃業して「ごろごろ」して今に至っている。ただ、なんとなく居心地の悪さを感じるのは、同年代の知人に「働け」とはっぱをかけられるせいもあるが、自分自身もこれでいいのかという気分が少しはあるからである。日本人のDNAがそう思わせるのであろう。生物学的に言うと、日本には、淘汰によって、一生働けなければ落ち着かない遺伝子を持った人ばかりが残ったということだろう。

そうやって日本人は働きに働き、あさイチで「正しい休み方」などという特集が組まれるのだから世話はない。そういう特集で語られる情報は往々にして二番煎じで新鮮味に欠けるものだが、今朝の特集はなかなかに見応えがあった。鶏の胸肉とレモン(クエン酸)を1週間とり続けた人の数値がMCをして「計測器が壊れてるんじゃないの?」と言わしめるほど劇的に改善したのである。こういう情報番組はよく棒グラフを使って「こんなに改善しました」と騒ぐのだが、その棒グラフの多くは途中が二重の波線で省略されたものだから実際は微増減に過ぎなかったりする。私に言わせればインチキである。だが、今朝のあさイチは絶対値のデータを使っていて、それがものすごかったのである。私が早速スーパーに行って鶏胸肉を購入したことは言うまでもない。

ところで、以前の私は朝ドラが大好きで、旧ブログのネタの多くは朝ドラがらみであった。もし、その習性が今でも残ってたら、今、朝ドラは今作1本と過去作2本の計3作を放送してるから、ゴロゴロ生活には持って来いである。だが、3作のうちの一つ「カーネーション」は残り1か月となり、ヒロインが尾野真千子からベテランの某女優さんに交代したから(初回放送時、この交代劇に私は激怒した)視聴対象ではなくなった。今作の視聴からは既に脱落している。残るはカムカムエヴリバディのみである。すなわち、私のゴロゴロ生活が充実するか否かは、ひとえにカムカムエヴリバディにかかっているのである。幸い、このドラマは、その期待に十二分に応えてくれている。午前中はこのドラマの昼間の放送を待ってどきどきしながらゴロゴロし、午後は、視聴によって得た感動をかみしめながらゴロゴロするのである。

因みに、私がつまらないと思う朝ドラ(に限らずドラマ)は、過去の話を登場人物にさせて、無理やり誰かをいい人に祭り上げるドラマである。その語りはいかにも深刻ぶるし、音楽もいかにもって感じである。それに対し、感動するドラマは、語りで済まさずに実際に演者に余計な説明なしに演じさせるドラマである。


管理栄養士

2025-02-05 14:25:03 | ドラマ

しばらく朝ドラのヒロインは留守で、ギャルが画面を占拠していた。先週の月曜日に久々にヒロインが登場し、管理栄養士になるための勉強中だったから、お、ここから管理栄養士になるために奮闘努力する話になるのかと思ったらその一瞬だけで、すぐさまギャルまみれの画面に戻った。で、今週の月曜日にヒロインが戻ってきたと思ったら、なんと管理栄養士になって4年が過ぎていた。試験合格はナレーターの一言で片付いた。だから奮闘努力の様は描かれなかった。たしかに、運動選手や芸術家には、努力する姿を人前で披露しない人がいる。いかにも何にもしてない顔をしていて、実は影でうーんと努力をしているのである。だが、ドラマが努力する過程を描かなければどうするの?とも思うのだが。

因みに、私が「管理栄養士」の存在を知ったのは昔の朝ドラである……のはたしかなのだが、その作品名等について、私は記憶違いをしていたようである。私の記憶はこうであった。作品名は「ひらり」。ヒロインのひらりが相撲部屋の専属の栄養士になろうとする。だが、あき竹城演じる先輩女性に「これからは管理栄養士」と一喝される、というものである。だが、改めて「ひらり」について調べてみると、たしかにひらりは栄養士試験をめざし栄養士の学校の受験にうかった(そのあたりの奮闘努力ぶりが、今朝ドラと違って綿密に描かれていた)。だが、あき竹城は「ひらり」に出ていない。「ひらり」で先輩女性(すみれ)を演じてるのは阿知波悟美であった。すると、ひらりに「これからは管理栄養士」と言ったのはすみれさんだったのか?だが、私の脳にインプットされたこの台詞の声の主はどう考えてもあき竹城である。

そこで、あき竹城が出演した他の朝ドラを調べてみた。すると、田畑智子がヒロイン「なずな」を演じた「私の青空」にあき竹城が出演している。しかも、なずなは「管理栄養士を目指している」とある。これだ。私の脳にインプットされた「これからは管理栄養士」は「私の青空」におけるあき竹城の台詞であったことがほぼ判明したと言ってよいだろう。

ちなみに、「ひらり」ではひらりの姉のみのりの恋愛事情も描かれていて、当時、日本中はこちらの方にやきもきしたものである。今上陛下(当時は皇太子であらせられた)が「みのりさんはどうなるのでしょう」とのたまったというニュースも報じられた(その意味で、「ひらり」は皇室御用達ドラマである)。


大河「源義経」の音楽が武満徹だった件

2025-01-15 18:40:59 | ドラマ

「天と地と」も古いが、私がリアルタイムで見た最古の大河ドラマは1966年の「源義経」である。だから、私の判官贔屓はこのときからである。義経役はしゅっとした二枚目だった。演じたのは歌舞伎役者の尾上菊五郎さんで、寺島しのぶのお父様であらせられることを知ったのはずーっと後である(ついさっきだったりして)。

最も印象に残っているのはテーマ音楽。作曲したのが武満徹であることを知ったもずーっと後である。つうか、武満徹という人が偉い作曲家であることを知ったのも同じくらい後である。

一ノ谷の戦い(鵯越の坂落とし)で騎馬多数が坂道を駆け下りるシーンは大迫力だった。まるで、京都競馬場で各馬が第3コーナーの坂を駆け下りる様を見ているようだった(と言っても、当時は京都競馬場のことなど知らないから、これは記憶に残ってるシーンに現在の感想を後付けしたものである。なお、昨年、放送されたブラタモリによると、京都競馬場の第3コーナーの坂は土手の名残だという)。今から思うと、多分、坂道を駆け下りるシーンはカメラを斜めにして撮って、だんだんと水平に戻していったんだと思う。だが、実際は(と言っても、はっきり分からないことが多いらしいが)、崖をえっちらおっちら下っていったかもしれないそうだ。その際、大事な馬に怪我をさせてはいけないとばかり馬を背負って崖を下った武将もいるという(当時、馬は高価で、現在なら自動車を買うに等しかった)。だったら、駆け下りるのは無理だろう。えっちらおっちら説の状況証拠になりうる。

壇ノ浦の戦いのシーンも印象的だった。関門海峡の話題が出ると常に壇ノ浦が頭に浮かぶのはそのせいである。潮の流れが速く、日中に潮の向きが変わることもそのときインプットされた(源氏の勝因の一つ)。ただ、義経が敵の船の漕ぎ手(かこ)を射るという禁じ手を使ったことは知らなかった。このドラマにおける義経は徹底的に「いいもの(ヒーロー)」であった。

義経主従が頼朝に追われて西国に逃げようと船出して嵐に見舞われた際に平家の面々の亡霊の出方に注目していたら、海面に横一列に並んでいて行儀がよかった。

義経が最期を迎える衣川の戦いについては、印象的な事柄が3点ある。その1。弁慶の立ち往生。弁慶役の緒形拳の形相がすごかった。その2。観念した義経がお堂に入るシーン。一人で入っていって家来が外から火をつけた。史実では義経が妻子を殺して自害したそうだが、そういうシーンはなかった。その3。防戦に努める義経の家来が、刀が刃こぼれをおこすたびに井戸の中から別の刀を取り出す様子が打出の小槌のようだった。

そう言えば、女性の登場人物の記憶がまるでない。静御前などは必ず登場したに違いないのだが。私の興味が向かなかったのだろう。男女のことなど1ミリも興味のないお子ちゃまな私であった(見始めたときは小学1年生である)。

衣川の戦いの後、戦場跡を訪れた頼朝が義経を偲んで「(義経は)まだ○歳であった」と言うのを聞いて、一緒に見ていた親に、ねー、なんで自分で殺しておいてあんなこと言うの?と聞いた覚えがある。納得のいく答を得た覚えはない。

この作品以来、義経が登場する大河ドラマは全部見てるが、その描かれ方はだいぶ変わってきた。壇ノ浦の戦いでかこ(水夫)を射させる様子も衣川で妻子を殺めたことも描かれるようになった。特に「鎌倉殿の13人」の義経(演:菅田将暉)はダーティーさが極まっていた(でも、こんなんだったかも、という納得はした)。だいたい大河は同じ時代を何度も描くから遠くない将来また義経を見ることになるだろう。それがどんな義経かは興味津々なところである。


ヒーローがトイレで倒れてはまずい件

2025-01-15 12:33:04 | ドラマ

少女マンガで男色と言えば聖徳太子を描いた「ずるてん」(山岸凉子の「日出処の天子」)を忘れてはいけなかった。こちらも1980年代。1980年代の少女マンガは男色ブームだったのだろうか。いずれにせよ、当時、中高生でこれらを読んだ世代は中東の近代史や日本の古代史の勉強ができて幸運である(まっこと、これらのマンガは歴史のお勉強になる)。その「ずるてん」での聖徳太子の最後の登場シーンは、女性相手だってやろうと思えばできるのだ、と言って子作りをするシーンだった。そう、男色家で鳴らした戦国武将だって跡継ぎをこしらえるために女性ともいたしていた。例外が上杉謙信である。謙信は女性とまぐわったことはないと言う。

前回、その上杉謙信を「戦国最強」と書いたことについて、武田信玄を擁する山梨の人は「異議あり!」だろう。私が謙信好きなのは1969年に放送された大河ドラマ「天と地と」の影響である。父は山梨出身だが、その父方の祖母が「謙信の方が強かったらしいなぁ」と言っていたのも、山梨の人ですらそう言うんだからということで私の中の謙信最強説の補強材となった。祖母が新潟から山梨に嫁に来た事実は随分経ってから知った。

昨年暮れにNHKが放送した大河特集には「天と地と」で謙信を演じた石坂浩二等々の「大河俳優」が出演し、昔見たシーンが映し出されて懐かしかった。「天と地と」からは川中島の戦いにおける謙信・信玄の一騎打ちのシーンが放送された。そうそう、馬上から切りつける謙信に対して扇で応戦する信玄。勝負の決着が着かないうちに信玄の家来がどやどややって来て謙信は馬で走り去ったのであった(だいたい記憶通りだが、記憶よりも信玄の家来が肉薄して謙信は危うかった)。

このドラマでは、謙信の少年時代を演じた子役が上手だった。謙信少年が悪さばかりするのでお守り役の侍が責任をとって腹を切ろうとするところに謙信少年が飛び込んできて「○○(その侍の名前)、腹を切るな」と言ったのを覚えている。その次の回から石坂浩二演じる青年になった謙信が登場し、その初登場回で「俺は初めて人を斬った」と言うのだが、当時子供だった私はこの「俺」に違和感を感じたものだった。侍の一人称は「わし」「拙者」等々だろう、「俺」はないだろう、という違和感である。あと、史実では、謙信はトイレで脳溢血で急死するのだが、ドラマでは甲冑を着けたまま家来の腕の中に倒れ込む最後だった。やはりヒーローには応分の死に場所があり、トイレではまずいようだ。なお、謙信が男色家であることを匂わせるようなシーンについては一切覚えがない。お子ちゃまだったから見ても分からなかったろう。

件の「大河特集」には渡辺謙も出てたから、「独眼竜政宗」の1シーンも放送された。実母が政宗を毒殺しようとするシーンである。政宗にトリカブト入りの食事を与えた後、実母役の岩下志麻が「母の慈悲じゃ」と言ったあと、あっ、この後「許せ」と言うんだ、と思ったら当たりであった。なかなか覚えているものである。38年前か。「天と地と」(56年前)に比べれば昨日放送したようなものだ。認知症だった母は、7,80年前のことはよく覚えていたものである。