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【EU Film Days 2013】『メン・アット・ランチ』 (2012) / アイルランド 他1本

2013-06-04 | 洋画(ま行)


原題: Lón sa Spéir (Men At Lunch)
監督: ショーン・オ・クーローン

EU Film Days 2013 公式サイトはこちら。

【EU Film Days 2013】『メン・アット・ランチ』 ページはこちら。


「摩天楼の頂上でランチ(Lunch atop a Skyscraper)」という写真がある。
「ビルのクロスビーム(横桁)に腰かけ、地上256メートルで足をぶらつかせながら昼食をとる11人の建設作業員をとらえた白黒写真で、ニューヨーク市のロックフェラー・センターにあったRCAビル(1986年にGEビルディングと改名)の建設中に撮影された」(wikipediaより)ものであり、写真でアメリカを語る際に代表的に使われてみたり、アメリカを象徴するに値する1枚と言われている。恐らくこの写真自体は目にしたことがある人も多いことだろう。

55分という短い尺の中で、この1枚の写真から派生してきた諸々のことを語る本作。
撮影者と撮影日はおよそ特定はできるものの、被写体として写っている人に関しての細かい情報は何もない。何故なら彼らは名も知れぬ移民たち、いつでも代わりが利く存在だったからだ。誰かが来れなくなったら他の誰かがそこに入るだけの存在、しかしながら都市建設のためには必要不可欠な人々。たまたまその日に屋上に上がって作業をしていただけの存在だったに過ぎない。

それでも様々な人々が「この写真に写っている人物と関連がある」と名乗り出ている。移民の国アメリカならではの話で、しかも摩天楼というランドマーク的な建物、あるいは将来歴史的建造物にもなりそうなものに祖先が携わったとなれば、それはそのままアメリカを支えた血筋を継承していることとなり当然誇りだからだ。
あの写真は自分の父だ、祖父だ、叔父だと名乗り出たとしても、ではその因果関係は?と問うたところでしっかりと証明されてもいないので、それが果たして真実かどうかも定かではない。それでも人々は、この1枚の写真の背景にあるものをいろいろと想像し、祖先たちの過去の難行に想いを馳せ、そこから苦難を乗り越えて今に至るまで生きてきた自分たちを誇らしく思う。建国から年月があまり経っておらず、昔の話を辿れる国ならではの反応とも言えよう。1本の映画としてこのエピソードを簡潔にまとめており、後世にとっても貴重な参考資料となる可能性もありそうだ。


★★★☆ 3.5/5点






<同時上映>

『ニュー・ボーイ(新しいともだち)』 (2007) / アイルランド
原題: New Boy
監督: ステフ・グリーン



この10分強のショートフィルム、現在と過去の情報が的確に伝えられて、短い時間でも観客の共感をしっかりと呼んでいるところが秀逸。しかも背景としてはかなり複雑なものなのに、一瞬にして飲み込ませている。

いついかなる事情が起きようとも、子どもたちが連帯を結ぶ力は限りなく強い。倒れてもへこたれずになお立ち上がって走っていく彼らの生命力を見る。

★★★★ 4/5点








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